第十五話 「襲撃者」
「で、ここがそのショッピングモールか・・・」
いきなり話が飛んだが、ここに来るまでには特に何もなかった。
強いて言うのであれば、桜井の守護霊、ヴァリエがずっとハンサムスマイルをくれること、秋元が駅の改札口で挟まったことぐらいだ。
「つーかこんでね?」
秋元がだるそうに言う。確かにこの人ごみの中を5人で歩き回るのは大変というか困難だ。
まだオープンして間もないから混んでるのは仕方ないが・・・
「うん。それでね!いい事考えたの!」
大竹が叫ぶ。
「なぁに?」
谷木がゆっくり聞く。
「グループわけをするの!」
また大竹が叫ぶ。
「いいねぇ。それ」
まるで(といか確実に)打ち合わせをしたように谷木が答える。
「まって・・そしたらみんなで来た意味が・・・」
桜井の反対、どうやら桜井は打ち合わせをしていなかったらしい。
「まあまあ、いいからいいから!はい!これくじね!赤丸が書いてる人と書いてない人に分かれるから!」
そう宣言すると大竹はみんなにくじを押し付ける。
「まっ、まてよ・・・ちゃんとシャッフルしないと・・・」
俺は反射的に言う。というか絶対仕組まれてた・・・
「あ、赤丸だ。」
桜井が無邪気に言った。
「なんもねぇか、まぁこれで俺は両手に花だなぁ」
秋元がのんきに言う。
ということは・・・もう見るまでもないだろうな・・・
「・・・赤丸。」
やっぱり俺は赤丸だった。
「よし!決定ね!じゃ四時にここ集合で!ほら、二人とも行くぞぃ!」
大竹が二人を引っつかみ颯爽と人ごみに突っ込んでいく。
残された俺と桜井。
「・・んじゃ、俺らも行きますか。」
正直どうしていいのやら・・・
「は、はい・・・。」
桜井は桜井でなんか照れてる(だがそれがいい)し、ヴァリエと真が後ろからまるで保護者のような視線を送ってくるのもなんか落ち着かん。
ってこういうときどうすればいいのか・・・秋元に聞いとくべきだったか?
「なんか見たい店とかある?」
普通ならウィンドウショッピングみたいなことをしたいが、混んでるため、のんびりまったり・・・というわけにも行かず、行きたいところを絞って行動すべきだろうな。
「えと・・じゃあこのファッションショップに・・・」
そうして俺たちは人ごみに突っ込むことに・・
「あ!あの・・・離れないように・・・手・、い、いや、何でも・・ないです。」
桜井が顔を真っ赤にしながら言った。
というか本当に二人っきりなら、自分から積極的になったかもしれない。
でも・・・しかたないか。
「いいよ、ほら」
といって桜井の手を取る。
若干俺の手汗が気になるが、桜井が安心した顔を見せた時、俺もなんかうれしかった・・・恥ずかしかったけど。なぜか真に目をあわせられなかった。
「・・ふぅん。」
リアクションしたのは真ではなくヴァリエだった。
嫉妬してるのかな・・・(怖ぇぇ
「ところで知っているかな?守護霊さん。」
ヴァリエは真と世間話を始めた。
守護霊同士の会話は俺にとっては珍しかった。
「最近、頭脳を持った悪夢がいるとか・・・」
頭脳?
「・・・それは厄介ね。普通悪夢は感情だけで動くから、戦闘がワンパターン・・・戦略なんてないけど、頭脳があると・・・」
真が俺にもわかるように解説してくれた。
「そうそう、それから集団・・・部下や手下を持つようになるものもいるようだ。」
さらに恐ろしいことをヴァリエは言った。
「どうして・・・最近になって悪夢が強くなっているのかしら?」
真が俺の肩に乗りながらいった。
「さぁ、しかしどこかで強力な霊力でも発生しているのだろうか。」
そうこういっている間に、桜井が行きたいと言っていたファッションショップに着いた。
そこからはいたって普通の・・・デートだった。
仕組まれたとはいえ、楽しかったのは言うまでもない。
そこからまたフラフラ店を見て周り、アイスを買って食べていると・・・
ブブブブ、ブブブブ、
携帯がなった。
「ってやべぇ、もう四時半だ!」
うっかり、時間を忘れた。
何たる不覚・・・・
「もしもし、?」
とりあえず電話に出る。
桜井は少し恥ずかしそうにうつむいていた。
「あ、金城君〜?」
大竹だった。どうせ電話番号は秋元が教えたのだろう。
「いや〜、楽しいのはわかるけどさ〜時間だからそろそろ帰ってきてね!」
なんかすごく恥ずかしい。
俺と桜井をくっつけたのは間違いなくこいつだが、待ち合わせに遅れるぐらい遊んだのは俺たちだからな。
「わかった。すまんな」
さっさと話を終えて桜井を見る。
早く行こう!てきな顔をしていた。
「よし、早くいかねぇっと・・・」
また桜井の手を引いて人ごみを掻き分ける。
「むぅ・・」
ヴァリエが少しうなった。
もう少しで出口。といったあたりだろうか。
それでもこの人ごみなので、うまく進めない。
つないだ手だけは、離さなかった。
「・・・?」
真が何かを気にしている。
ドスン、
何かが落ちる音がした。
その途端、人ごみが騒ぎ出した。
「何だ?」
このショッピングモールの出口は、大きなガラス張りになっていて、またそこにシャッターが下りるようになっている。どうやらそのシャッタ−が勝手に降りてしまったらしい。
人がうごめいている。出口がふさがり混乱が広がっている。
「あの・・どうしたのでしょうか?」
まだ五時前だぞ?閉店には早すぎるし、シャッターはでかすぎるから、おそらく機械で管理しているのだろう、それならば、いったいどうして・・・
「仕方ない、他の出口から・・・」
ピンポンパンポーン
「ただいま、お客様に大変な迷惑をおかけしています。プログラムの故障と見られますので、しばし、店内にて待機お願いします。また現在どの出口も封鎖されております。大変ご迷惑をおかけしています・・・」
アナウンスが状況を告げてくれた。とすると。
「とりあえず外に連絡しようよ。」
桜井が携帯を出すが・・・
「え・・?圏外って、どうして?」
さっきまで電話ができていたのに、シャッターが下りた途端圏外に・・・
少し心当たりがあった。
守護霊セーレの力、空間操作。
烙印を発生させ、その中の空間を自在に操る方法。
しかし、ここには烙印がない。それにセーレがこんなことをする意味がない。(あの後どうなったが知らないが・・・)
「(真・・どうなってるんだ)」
やはりこんな事態には霊が絡んでるはず。
「おかしい・・・あのシャッターには特別何もないの。何か錯乱電波か何かが出てるんじゃ・・」
「とりあえず、あのシャッターが元に戻るか、ぶっ壊せばいいんだ。外の連中もこっちがどんな状況かわかるだろ。少し待とうぜ。」
そういって桜井を安心させた。
ヴァリエはなにやら思考中だった。
俺は楽観していた。時間がたてば誰か外から助けてくれると・・・
ダァン。バァン。
二回の爆破音。
その衝撃は人たちの混乱へと変わり、波のように広がってゆく。
「なんだ!?」
ピンポンパンポーン
「安心しろ、まだ誰もいない駐車場を爆破しただけだ、大人しくしていれば死者は出ない。」
アナウンスから聞こえてきた声、それは明らかな脅迫だった。
十五話突破記念。
全話にサブタイ付けました。




