プロローグ
俺は一人街を歩いていた。街は駅の付近にあるということもあり、それなりに人があふれかえっている。雪が靴のそこに張り付き歩き辛いが、足取りは確かだった。
行く当ては決まっている。ただ、時間をつぶしていた。
今は雪の降る高校二年の冬。思い出せばもう1年も前になる。
そのときも俺はこの街を歩いていた。
〜1年前〜
「あ〜、ヒマ……」
平日の放課後、することもなく一人で街の散策に来ていた。健全な高校生であったが、さすがに街を独りで歩いているのは俺ぐらいだ。たった今、コンビニから出てきた中学生ぐらいのカップル。仕事終わりに寄り道をしていく会社員。たいていは友人、恋人とかと楽しげに歩いている。
街は、駅前の近くということもあり、それなりに。という感じににぎわっている。その中を一人、行く当てもなく漂っていた俺は、まるで自分は違う世界を歩いている。そんな錯覚を覚えた。ちらつく雪が拍車をかけている。
一人でいるのは別に人が嫌いというわけではない。
ただ、人とつるまないのだ。
誰かを思いやる。それが苦手なのだ。
そんないつもと変わらぬ日常――――――
「おっと、」
普通どうりの目線で歩いていたが俺の足元、膝あたりになんかぶつかった。見ると、小学校低学年ぐらいの少女が俺を見上げていた。
少女は、真っ白なコートに艶のある長い髪が人形のような印象を与える、しかし妙に希薄な気配に違和感を覚えた。
「大丈夫か?」
俺は少女を怯えさせないようになるべく優しくしたつもりだった。でも少女はそのまま何も言わず、俺には目もくれず脇を抜けて走っていってしまった。
俺は特に何も思わなかった。ただ何気なく、少女の走る先をしていると……
「おい!あぶないぞ!」
叫んだ瞬間、それまで少女がいたところにトラックがあった。つまり少女は車道に飛び出していたのだ。
少女が走ったとたんトラックが突っ込んだ。
しかし、赤信号だから当然といえば当然だ。トラックのほうも何か轢いたと思ったらしく車を止め、降りて確認しに来た。
もちろん俺も駆け寄った。
「おい!あんたなにやってんだよ!」
感情のままに怒鳴りつける俺をトラックの男がビクッっとして俺を見た。しかしそこで俺は彼の顔には見覚えがあった。
「あっ、あんたは……」
知ってるオッサンだった。オッサンも俺を知っていた。
「ああ君は、金城君か、びっくりしたよ。」
このオッサンは俺の家の近所に住んでいるトラック運転手(輸送会社勤務)だった。白髪交じりの気が利くオッサンで特に悪い印象もない。俺の一家がこの街に引っ越してきた時からの知り合いであった。
ちなみに俺の名前は「金城 京平」っていうんだが。
「いやぁ。私も子供を轢いたかと思ったんだけどね。誰も轢いてないみたいだよ。」
その言葉を聴いた瞬間、何か違和感をオッサンから感じた。しかしそれはすぐに気のせいだったかのように感じなくなった。
俺はトラックに下を確認したが誰もいなかった。
どうやら、何とか回避したようだ。それにしては少女がどこにも居ないのが気になるが、俺の反対側に行けば確かに見失ってしまう。
「じゃあね。私は急ぐから……」
話は終わり、私は急いでいるから、といった風情でオッサンはトラックに戻り、
トラックは行ってしまった。
俺はどうにも腑に落ちなかったが、しばらく交差点を眺めた後、帰ることにした。悩んでいたところでどうしようもないからだ。
翌日、俺は学校が終わってから、街には行かず、家でゆっくり過ごすつもりだった。俺の家の今には大きなコタツがある。雪の降る寒い地方だが、冬はこのコタツだけで何とかしのぐのだ。
テレビの前でコタツに入りながら、雑誌を見ていた。
「京平、あんた学校でもうテストの結果出たんだって?」
だんだん睡魔が近づいてきたころ、母が聞いてきた。
我が親愛なる母、金城由紀は、訳あっていない父の分も働き、女手ひとつで俺を育てていた。
「ああ、かばんに入ってるよ……」
俺は、遠まわしに自分で確かめてくれ。といってテレビの電源をつけた。
するとテレビのニュースが目に入った。
「えー、今日の午後5時28分。トラックが暴走運転をし、電柱に激突。運転手は病院に運ばれたがまもなく死亡しました。運転手の身元はわかっており、市内在住の……」
間違いなく、近所のオッサンだった。
不思議系ファンタジー的な何かを予定してます。
バトルシーンや恋愛などもどうにか入れたいと思います。どうかよろしくお願いします。




