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どんな世界でも月は美しい  作者: 雪野 透
第1章 【人生の転機】
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6話 悉(つぶさ)に救えない①

はぁ〜〜。


ガヤガヤした雰囲気のクラスの中、俺は1人で静かに長い長ーい溜息を吐いた。


なんでたろう。なんで来ちゃったんだろう、俺。


いくら新学期とはいえ、新入生ってわけじゃない。もうグループが出来あがって人間関係が確立しているのは当たり前のはずなのだ。


俺はそれを知っていたはずなのになあー!?


……なのに。どうしてかなあ。昨日の雪の言葉が頭の中で反復して、絶対に行かなきゃっていう謎の使命感に駆られて学校来ちゃうなんてなぁ。

もう単純すぎかよ小学一年生の純粋ボーイかよ!? 単純明快すぎてつまらない推理小説並みだよ!?!?

ああー……なんでかなあ。俺って本当は馬鹿だったのかなぁ。


俺、偏差値88でIQは170あるのに馬鹿だったのかなぁ。これは何かの間違えだったのかなぁ。何度テストを受けても、偏差値はほぼ変わらなかったから本当の実力だと思ってたのになぁ。そっかー、俺は馬鹿だったのかぁー。


……ていうさりげない自慢がしたかったんじゃなくて! 今俺が置かれている状況の憂鬱さを伝えたかったんだ! 本当だよ!?


ということで、今俺が置かれている状況を説明すると……周りには5〜6人くらいのグループが何個か出来ていて、ぱっと見、みながワイワイガヤガヤと騒ぎ立てていて五月蝿いしやかましい。

その中でも数人は、誰と話すこともなく読書をしたり机の上に突っ伏したり課題に追われていたりしているようだ。彼らには友達がいない、若しくは異常に少ないのだろう。

どこのクラスにもこういう人達はいるのだろう。


ちなみに俺は、モチ後者側だっ!!

だが俺は他の奴らとは違う。課題など毛頭提出する気はないのだ。なので、イヤホンをして寝ているフリをしながらチラチラとまわりの様子を伺っている。

このクラスの人だと、28人くらいは無理そうだな。それなりに話せそうなのは4人くらいか。

……キツいな。俺は昔からよく人間観察をしていて、あの程度の本質を見抜くことが得意だ。それが表面上の仮面である可能性もあるのだが、大体はその仮面を剥ぐことができる。隠すのが相当に上手な人は別として。


俺は五月蝿い人が苦手だ。勿論そういう人たちに沢山、良いところがあることも知っている。知った上で、苦手だと感じている。

一緒にいると疲れるし、鬱陶しいと感じるのだ。

俺は、そんな自分が、五月蝿い人よりもよっぽど嫌いだ。

こんな気持ちがなければ、友人がいたかもしれないのだから。


きっと何処かで、クラスの真ん中でゲラゲラと笑い合うあの人達を羨ましいと思っているのだろう。

煙たがり敬遠する心の裏で、な。

閲覧ありがとうございます。雪野です。

特に言うこともないので……次回も乞うご期待!

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