一休さんは逆転の発想にハマっているようです
「なぁ、お前一休さんって知ってるか?」
「あぁ、あのトンチで有名になった坊さんだろ?」
「そうそう、あの坊さんがこの前庄屋さんちでメシをごちそうになった話を知ってるかい?」
「えーっと、確か蓋を開けずに椀の飯を食ってみろって言われて、逆に椀をひっくり返して器の方を開けたんだっけな」
「おっ、お前なかなか詳しいね。そうそう。一休さんはそのトンチをずいぶん気に入ったらしくてね。
逆転の発想っていうのかい。最近は出されたトンチを全部それで解いちまうらしいんだ。例えば…」
ある日のこと…
庄屋さんから招待された一休さん。屋敷の前に行ってみるとそこには橋が架かっている。橋の前には立て看板が置いてあり「このハシわたるべからず」と書いてある。
ポクポクチーン
なるほど、「このハシわたるべからず」。ならば、逆に庄屋さんに向こう側からこちらへ渡ってきてもらおう。庄屋さんが隠しているスキャンダルを橋のこちら側にばらまいてやる。
パパラーッチ
ドタドタドタ!!
「やめてくれ一休さん!!そのネタをばらされたらワシ等一家は路頭に迷っちまう!勘弁してくれ!」
うふふ、庄屋さん。橋を渡らずお会いできましたね。
なるほど、さすがは一休さん!
別の日…
将軍様に呼ばれた一休さん。
「一休よ。この衝立から毎晩トラが出てきて困っておるんじゃ。なんとかしてくれんかね」
しかし、いくら待ってもトラは衝立から出てきません。さてどうする一休さん。
ポクポクチーン
将軍様。衝立から出てこないトラをなんとかするためには逆に衝立の中に入ってしまえば良いのです。
ブツブツブツ…えーい!!
「な、なんじゃ!!一休さんが呪文を唱えた途端、ワシの体がペラペラに!
し、しかも、うわぁー!衝立に吸い込まれる!」
衝立の中に吸い込まれた将軍様へ絵の中のトラが襲いかかる!!
「うわぁー!誰か!誰か助けてくれぇ!」
突然の襲撃に慌てる将軍様でしたが、武芸に秀でていたおかげでなんとか虎を退治することに成功しました。そうして、虎を退治したとたん、将軍様の体は衝立から飛び出します。
うふふ、さすがは将軍様。お美事でございます。これでトラに悩まされることは二度とありませんね。
なるほど、さすがは一休さん!
「…なるほどなぁ。それは確かに逆転の発想だ」
「そうだろう? さすがは一休さんだよなぁ」
「…ところで、庄屋さんの秘密を暴いたり、将軍様を呪文で衝立の中に封じ込めたり、一休さんてのは本当にタダの坊さんなのかい?」
「さて、一体どうだろうねぇ。
気になるんなら、お前が一休さんに聞いてみればいいんじゃないかい?勿論トンチでな」
ポクポクチーン