表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ジェットコースターの奇妙な噂

作者: 神名代洸

裏野ドリームランドって遊園地知ってる?

そこのさ〜ジェットコースターがマジでヤバイって話らしいよ。

昔さ〜、もう何年も前の話なんだけど、事故があったみたいなんだ。

で、何度も修理点検をしてるのに決まった時間になると止まるらしい。

何でだろうね。

非常用ボタンを押したわけでもない。

でもね、止まっちゃうんだ。

その時間ってのがね、事故が起きた時間なんだって。

怖いよね。

でもさ、そう言うのこの暑い夏にはもってこいじゃない?

肝試しみたいでさ。

で、彼氏と一緒にその問題の時間に動くであろうジェットコースターに乗ることにしたんだ。彼氏はこう言うの割と好きな方で、喜んで一緒に乗ってくれた。


『でさ〜、事故があったみたいなんだけど、知ってる?』ってLINEで友達に聞いて見たの。そしたらさ〜みんな違うこと書いてくるんだよ。


1人はこう言うの。

「なんかさ〜、走ってた時に建物内に入った後外出るじゃん。その時にさ〜頭だけがない人があったって聞いたことあるよ。」って言うんだ。

別の1人は違うの。

「機械が勝手に停止しちゃうんだ。原因もわかってない。」って。

別の1人はこう言うの。

「縦回転する時にさ、ロックが外れて落ちた人がいたらしいよ。」って。

みんな違うこと言うからどれが本当の事故かわかんない。

どれもありそうで無さそう…。

で、自分で実験してみることにしたんだ。

彼氏は了解済み。

まぁ、信じてないってのが正解かなぁ〜。

順番まで後5人待ち。

意外と人が少ない。

事故が原因か?

それともそれにまつわる噂が原因?


少し待つと順番が来た。

乗り込むのは後ろの方がいいんだけど、空いてるかなぁ〜?あっ!空いてる!!ラッキー!

ルンルン気分で乗り込んだ。

この後の恐怖の体験をこの時の私たちはまだ知らない。



係員の人がロックがかかってるかを1人づつチェックする。

そして全てにロックがかかってるのを確認するともう1人に合図を送る。

スタートボタンを押させるためだ。



ガタン…ダダダダダッ。ヒュー!

「わぁ〜。風が気持ちいい。」

「だな。でもちょっと音うるさくないか?」

大声で互いの会話を楽しむ。


「きゃー!」「わぁー!」

周りの景色を見ている余裕はあまりない。スピードが速い。

上下左右に体が揺れる。

っと思ったら建物内に入った。


問題の場所だ。よっく目を開けて前の座席の人を見た。暗くてよく見えないや。


外に出た瞬間に何かが頬に当たった気がした。気のせいか?

頬に手を当ててなぞってみると赤かった。

たいした量ではない。ほんの一滴程度。

前の人にも変化は無し。

この噂はただの噂の様だ。


今度は縦に一回転するコースだ。

無重力状態になる一瞬が気持ち悪い。

その時カタッと音がした気がした。

小さな音ではないから彼氏も気づいてるか?横を見て見た時に私は目を疑った。彼氏の座っていた場所にあるロックが解除されていたのだ。

彼氏は…いる。でも真っ青な顔をしていた。

一瞬が長い時間に思えた。

真っ逆さまに落ちる!そう思ったが、ロックがかかり、ことなきを得た。その様子は下で見ていた観客や係員も同様で叫び声が聞こえていた。

そして最後の曲がりコースを終え、ジェットコースターは無事についた。


「大丈夫だった?」「あ、ああ。何とかな。でもビックリしたよ。いきなり外れたからさ。これが噂の話で真実の事故か?」

ジェットコースターから降り、階段を下りながら振り返ると係員が問題のあたし達が座っていた場所の点検を始めていた。

何度もロックと解除を繰り返す。だが、また同じことが起きるといけないと思ったようで、そこだけ使われないことになった。でも普通に動かすつもりのようだ。次々と人を誘導して入れて行く…。


にしても気になるのは頬についた血の雫。

でも誰も何も起こってない。

何があったんだろう…。

前を歩く人の後ろを付いてくと、出口に出た。


「うーん、気になるなぁ〜。」

「何が?」「この血だよ。誰のだったんだろう…。」「それを探すのは無理だって。それよか他のも乗ろうぜ。」「まって!もう一度だけ乗ってくる。もしかしたら何かわかるかもしれないし…。」「あっ、おい!ったくしょうがねーなぁ。でもまたあの恐怖があったらやだよな。俺は見てるだけにするか。」

「そっ、じゃあ私だけ乗ってくるよ。待っててね〜。」


私はそう言って彼氏をその場に残しジェットコースターへの階段を上って行った。


「あら、また来たのね。今度は彼氏さんはいないの?」「あっ、そうなんですよ。私だけ。噂が怖いらしくって…ダメだよね。こういう時の男子って。」「あなたは怖くないの?また怖い間に合うかもしれないのに…。」「うん、信じてないから。一応検証して友達に教えてあげる約束だし。」


座席に座り、ロックをかける。

今度は最前席だった。

後ろが見れない…。

仕方ないか。



動き出したジェットコースター。

さっきと同じだ。。。

徐々にスピードがついていく。

お尻が揺れる。

今度は周りの景色と自分の周りを見て見た。

冷静だ。

建物内に入るまで特に何か変わったことはなかった。

建物内に入ってすぐにドスンという音が前から聞こえた。何かが落ちた音のようだ。ただ暗くてよくはわからない。

スピードは落ちないまま建物内から飛び出した。そこで見たものは…。

人だ。

人が目の前に倒れてる。

いつ落ちるのかヒヤヒヤしていたが、突然ガタンと言ってジェットコースターが止まった。

「きゃー!」「きゃー!」

悲鳴が響き渡る。

係員も持ち場を離れ、慌ててこちらへ向かってくるようだ。2人走ってくるのが見れる。

私達はロックがかかっているからその場から動けない。


しばらくしてようやく係員がやって来てホッとした。しかしここは建物のすぐ近く。降りる場所は係員の指示に従う事になった。

倒れている人はどうやら男の人の様だ。

頭から血を流している。

もうジェットコースターはしばらく乗れないなと思った。事実その場に残し、警察官がやって来て騒然となったのだ。

男性はすでに亡くなっており、現場検証により滑って落ちたことがわかった。

また事故だ。


時間はちょうど同じ時間だった。

噂の時間と同じ…。



私はその事をLINEで友達に伝えたよ。そしたらね、噂は何種類もあるらしく、よくわからないと言ってたなぁ〜。

だからかなぁ〜、LINEで教えた子達誰1人としてこの遊園地には遊びに来ないんだよね〜。

さてははかったか?


彼氏もこの裏野ドリームランドにはもう来たくないという。


事実彼氏とは来なくなった。

友達とは行くよ。

でもね、何故か友達みんなジェットコースターの噂について知ってるんだよね〜。

一度だけ「乗ろうよ。」と言ったことがあったんだけど、拒否られたんだ。

きっと事故の事を知ってるんだよね。

それでも私が目の前で目撃した事は知ってるのだろうか?


言ってしまいたい気持ちと内緒の方がいいという気持ちがぶつかり合い、悩んだ。結局は言えずじまいだ。


遊園地に来ると時々チラリと見てしまう。

あのジェットコースター…どうなったんだろうねって。

その時轟音と共に何かが走る姿を視界に捉えた。そう、ジェットコースターだ。

今日も調子よく走っている様だ。

人もそこそこ乗っている。


果たしてあの噂を知ってなおかつ乗っている人はいるのだろうか?

係員も知っているのかな?


聞いてみたい気持ちが勝って聞いたことがあるが、噂は知っているという。じゃあなんで仕事してるの?と聞くとそれが仕事だからねと答えた。


他の噂も気になる。

それは人数が変わるというもの。

写真を撮るんだけどね、走ってる時に。

人数が違うんだよ。

偶数で乗ってるのに、写真には奇数になってる。

よっく見てみると、ぼやけた人が1人写っている。どうやら女性の様だ。

ロングの髪がなびいていた。

それも最後列の1つにだ。

何故いつも最後列が開けてあるのか不思議だったのだが、噂でそこに座った人が事故で亡くなっているらしい。

例の首無し客の様だ。

何故首がついてるのかって?ジェットコースターが動いていると首があらぬ方向に動くんだそう。横に座ってた一緒にいた人がそんな事になったので怯えていたのだ。

それからだ。乗せることがなくなったのは。

これは未だに噂として残ってる。

他の噂は変わるのだけど、これだけは変わらない。ということは事実なのだろう。

実際私がジェットコースターに乗る時も最後尾だけは紐がかけてあったのだ。乗らない様に。


トントントンと軽快に降りて行く足音。ジェットコースターの建物から降りてる足音だ。


「で?どうだった?」

「どうもこうもないよ。はい。」

そう言って写真を一枚渡す。

彼氏にはわからない様だ。

じゃあ、もう一枚。

一枚は彼氏と一緒に乗ったやつ。全部の席が埋まっている様だが、最後尾だけが誰も乗ってない。で、2枚目。

これは観客もまばらで…でも、最後尾に人が乗っている様だ。でも待てよ?確かそこは暇が縛ってあったはず。

慌てた彼氏は再度よく見比べて見た。

確かにひと…らしきものが写ってる。

慌ててその場に落としてしまった写真を私は拾い上げた。


「ちょっと何してんのよ。」「悪い、悪い。」

拾い上げた写真を見た私は一瞬固まった。

写真に写る女性の顔がこちらを向いている様に見えたのだ。

慌ててカバンにしまい、この話は御開きとなった。



今日もほら…ジェットコースターは動いてるよ〜。噂を乗せたまま。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ∀・)“噂”というのがミソな作品ですね。オチの度肝を抜いてくる感はホラーファンとして何とも心地が良かったです。わからないからこそ怖いものがある。 [気になる点] ∀・;)最後の宣伝文句、ボ…
[一言] 僕の作品にも評価おねがいします! 
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ