第325話 目覚めた眠り姫
すう、ふう、という寝息に気づき、僕は振り返る。そして、クスリと笑ってしまった。
この部屋は居心地が良くて、本を読むのにぴったりな空間だ。しかし今夜に限ってはたくさんの物が床に散らばっている。
猫じゃらし、ネズミの玩具、そして猫用のおやつなどなど、足の踏み場もない……というほどではないか。気をつければ歩くことはできるからね。
あーあ、こんなに散らかしちゃって。
そう思いはするけれど、大きなクッションに半ば沈むようにしてエルフ族、そして猫族がすやすやと眠りについているのだから、起こしてしまうのは少しだけ可哀そうに思えてしまう。
順にベッドまで運ぼうかな。そう思って近づいたけれど、気持ち良さそうな二人の寝顔に、またも僕は笑みを浮かべてしまう。そして、ちょっとばかり気が変わる。ふわりと毛布をかけてやり、その隣に僕もお邪魔することにしたのだ。
ミュイを挟むようにして寝そべると、濃い眠気が僕にまで届く。ゆっくりとした寝息に包まれるというのはなぜか気が安らぐし、いつの間にやら僕のまぶたまで重たくなってくる。うーん、これは気持ちがいいぞ。二人がぐっすり眠ってしまうわけだ。
すんすんという音に気づき、目をわずかに開ける。するとピンク色の鼻がすぐそこにあって、髭が触れてくるほど近くから嗅がれていたことに気づく。
この子はやっぱり猫の匂いがするな。
鼻の表面が乾いているのは、眠いせいなのだろうか。
そう思っていたときに、うとりと意識が揺らぐ。
眠りについている人の身体はとても温かい。そして、どこかほっとする。
お片づけを放置してしまったことに罪悪感がないわけじゃないけれど、たまにはお行儀の悪いことをしてもいい気がする。大丈夫だよ。また後で、起きたときにちゃんとするからね。
ぐゃ、という猫族の不思議な寝言を聞きながら、僕はゆっくりと夢のなかに入ってゆく。
こたつを買ったら彼女は喜んでくれるだろうか。そんなことを考えているあいだに、たくさんの眠気が押し寄せてくる。
そして、とぽんと沈むような感覚を僕は味わった。これが異なる世界に旅立ったという合図なのだろうか。
§
ヂッ、という音が頭のなかで響く。
それと同時に視界のわずかなブレが治り、ザリーシュは人知れず安堵の息をそろそろと吐く。今のは引きちぎられた右目の神経が、どうにか通ってくれる音だった。
ああ、無事で良かった。
ヴェイロンの作る鎧は信じがたいほどの性能であり、生命力そのものが内包されている。だから傷だけでなく鎧自体まで治せるのだが、さすがに目を失ったのは初めてのことだ。治る保証などまったくない。
指先がまだ震えていることに気づき、ザリーシュは押さえ込むように強く握りしめた。
「傷は癒えても、心に負ったものまでは癒せまい」
ザザという砂混じりの音声が響き、目を向けると長い黒髪の女が座っていた。氷漬けの洞窟だというのに月を眺めるように上向いており、夜という時刻のせいか表情は穏やかそうに見える。
いや、視界にはマイナス38度という表示がされている。この兜を決して脱いではならない極寒だ。背中にうすら寒いものを覚えつつザリーシュは苦笑する。
「いや、俺はそう弱い男じゃない。心の傷など元からない」
「ふ、それは癒されたから言えることじゃ。ここではない場所で、ゆっくりと時間をかけて癒された。だから以前までのおぬしとは少しだけ違う」
なにを馬鹿なと言いかけた。しかし否定の言葉がなぜか喉から出てこない。
ざあっと脳裏に浮かぶのは新緑の景色であり、遠くの湖畔では手漕ぎボートを作ろうとするリザードマンたちが見える。
ほら、早く行こうよと言い、手を引いてくる娘は健康的に焼けた肌の持ち主であり、歯の白さはまぶしいほどだ。
「…………イブ」
想いの込められた声が勝手に出てくる。慌てて手でふさごうとしたが、厚い兜があることをすっかり忘れていた。誤魔化すように指でごしりとこすり、そして深々と息を吐く。
俺が指輪の支配から逃れていることに、ウリドラは気づいているのだろうか。実力の底がまったく見えず、世界の隅々まで把握しているような気配さえある。気取られていてもおかしくはないが……。
ゆらりと揺れる尾は竜のものであり、それを見つめているときにまた声をかけられた。
「癒せる傷と癒せない傷がある。そして、癒せるか癒せないかは己でも分からぬ。だというのにあの娘は、飽きもせずにおぬしを癒しておったぞ」
知っている。分かっている。新たな国で過ごした日々のことを俺はまだ覚えているのだ。
まるで夢で見た情景のようだと思う。目覚めたばかりのいまなら思い出せる。だが、しばらくするとだんだん忘れてゆく。それがなぜか惜しいと思い、ぎゅうと己の腕を掴んだ。
「こうして外れたのも、その指輪が役目を終えたのやもしれぬな」
不意打ちのようにそう言われても、さほど動揺しなかった。
やはり悟られていたかと思うし、ちょっとした悪さを親に知られたような気分でもある。ほんの少しだけ後ろめたさを覚えて、ゆっくりと立ち上がる。はずみで凍っていた氷がバラバラとこぼれ落ちた。
「……少し、見回りをしてくる」
そう言い、ウリドラの元を去ることにした。
幸いなことに呼び止められることはなく、半ば逃げるようにしてザリーシュは極寒の地を歩む。しかし、歩けども歩けども脳裏に浮かぶ情景が消え去ってくれることはなかった。
びょうびょうと吹きすさぶ雪混ざりの風が、ふっと静まる。
辿りついた空間は穏やかな空気で満ちており、どこからか月明かりが差し込んでいるのか青色に染まっている。大質量の氷が見せてくれる透明な輝きに、しばしザリーシュは見惚れた。
ほうと息を吐き、氷に触れる。
穏やかな日々を過ごしたのはいつぶりだったろうか。
もうずっとずっと昔のことで、周囲の者たちをまだ信じていたころだったと思う。
顔立ちと血筋が良く、また機微を察することができたせいか、言い寄ってくる異性は数多かった。しかし俺は森で出会ったダークエルフの娘をどうしても忘れられず、柄にもなく手紙をしたためたものだ。
ただ名前を教えてくれただけなのに、俺は特別なことのように感じた。そしてまた会いたいなと考えていたときに、忌まわしい戦争が起きてしまう。強国によって呑み込まれてゆく渦中は地獄そのものであり、決して消えぬであろう心の傷を負った。
なのに、いまは「そんなこともあったな」と思い、苦笑できるくらいの感傷しかない。怒りが沸くことはなく、遠い過去のこととして考えられるようになった理由は分からない。だが、脳裏に浮かぶのはまぶしいほどの笑みを見せるダークエルフの娘だった。
思っていることを正直に言い、笑う。
そんな風にまともな会話ができたのは、彼女だけだというのは少しだけ切ない。気難しく、傷つきやすく、人目につかないところでぼろぼろと泣く娘が、本当は羨ましいと思った。俺も泣きたかったのだ。でないと本当に壊れてしまいそうだったから。
「俺が手塩にかけて育てたダイヤモンド隊も、プリスが統主となったか。滅びた王家の血を継ぐ女性だ。捨てられた廃王子がかしづくのもそう悪くはないが、ロマンスとしてはありきたりだな」
あえて自虐的に言ってみたが、やはり怒りは沸かなかった。
どちらかというと、あのカズヒホに料理を習っていたという事実こそが最も忌まわしい。思わず「ぐおお!」と唸り、己の頭を抱えてしまうほどに。
「ふざけやがって、あのカズヒホ! 眠そうな顔をしておいて、次から次へと新しい調味料や食材を持ってきやがって!」
料理は好きだ。芳醇なソースの奏でる調べはまさに音楽のようであり、調和によって生み出されるあの味わいはなにものにも代えがたい。ぺちゃくちゃおしゃべりしている婦人も、料理をひとくち食べるだけで黙らせることができるのだ。
「……厨房か。俺の夢だったな」
一人きりであることに安心したせいか、ついしんみりとした声が出てしまった。
昔は良かったのだ。イブと旅をしていたときは、好きに作ることができて、あの娘は美味しそうに食べてくれた。いつか料理人になってもいいかもしれないという考えさえ沸いた。
しかし、立場が変わると己や周囲の在り方がかわる。
厨房に立つことはおろか、好きな味を食べることもできなくなった。
毒が入れられることまで考えると、調理はダイヤモンド隊の者に任せざるを得ないし、そもそも迷宮や戦場に出かけていることばかりだ。粘土のようにふざけた味の保存食を口にしなければいけないことも多々あった。
などと昔のことを思い出しながら、ザリーシュは小袋を取り出す。ころんと手のひらに転がり落ちてきたのは、黄金色の指輪だった。
前もそうだった。
これを外してから、俺は転落していったのだ。
守るべき地位や資産などがなければ、ああして厨房に立つこともできたということには軽く驚かされる。
あのときの俺は、陽当たりの良いカフェテラスでレシピについて考えて、美味くできあがるだろうと算段をつけてから取り掛かっていた。極上の食材があり、水もまた澄んでいる。石窯などの設備もまったく問題がないのだから、美味さは保証されているも同然だ。美味すぎるぞと大げさに言う客たちもなかなかに愉快だったな。
「俺はただ美味い飯を食いたかったわけじゃない。祖国の、母の味をどうしても忘れたくなかっただけなんだ」
ダイヤモンド隊は己の手から離れて、膨大な資産の大半が国に奪われた。
いまの彼はまったくの無力であり、以前よりずっと弱くなったと誰もが思うことだろう。しかし、それを否定するかのように目が金色に染まってゆく。
クン、と彼は匂いを嗅ぐ。
厚い兜で覆われていようとも、猟犬のように危機や変化を彼は嗅ぎ取る。己が臆病であり、また弱いことを認めてから目覚めた技能は、己自身だけでなく、周囲の者たちを守るための力となった。
第六感的な感覚により、闇が凝縮しつつあることを悟る。このまま逃走することも可能だったが、ザリーシュは金色に染まった目で、その一点をじっと凝視する。
ぽたり、となにかが垂れる。
ぽたりぽたりと垂れるそれは血の匂いがするもので、ぽとととと、と垂れてくる量がさらに増す。
悪魔系の魔物だと瞬時に気づき、警戒心をもう一段階ほど高める。しかし逃走はまだしない。どこかで嗅いだ匂いのように感じられたせいだ。
それは徐々に質量を増してゆき、足のような形に変わる。それが氷上を歩き、ザリーシュに近づくまでのあいだで女体が仕上がってゆく。目に見えない人体の型があり、そこに血が注がれるような光景だった。
ここでようやくセンサーが働き、ピピッという警告音を鳴らす。肉体の概念が極めて乏しい存在なのだなとザリーシュは改めて知った。
目前に立っていたのは、妙齢の女性であった。
長く、たなびく髪は束状であり、生気のない瞳は月を思わせる金色だ。眉尻が落ちた表情はどこか幸薄そうで、この極寒のなかだというのにまぶしいほどの太腿が露わにされている。
めりはりのある肉づきのせいで、いい女だと人々は絶賛するだろう。しかし、ザリーシュは、ざわりと総毛立つ。
見間違うわけがない。かつてオアシスの地で戦った女、血溜まりがそこに立っていたのだ。全身が痺れてしまい、指先さえ動けないのは、ただ怖れと驚きによるものだ。魔術の類ではない。
開かれた唇は、まるで血を呑んだばかりのように赤く、そのまま深呼吸するように幾度か胸を動かす。両手で己の喉に触れながら、彼女はじっくりと息を絞りだした。
「ア……、あー……」
静寂で満たされた空間に響くのは彼女自身の声であり、生気のない目がわずかに細められる。
「声、出た……」
にいと笑みらしきものを浮かべて、女は素足で歩む。
気色の悪い女だ。ひたひたと歩くその足跡には、黒いつぼみのようなものが芽吹いてゆき、そして枯れてしまう。オアシスの地で戦ったときもそうだが、生命というものをまるで感じられず、戦う者が身にまとうべき殺気らしいものもあまりない。
剣を抜くか、抜かざるべきか。
以前のザリーシュであれば即座に抜いていた。それは間違いない。命を脅かす存在であるのだから、抜刀しないなどあり得ない。しかし、長いあいだダークエルフに癒されたおかげだろうか。異なる選択肢を彼は選んだ。
「なかなか綺麗な響きの声じゃないか。砂国の次は氷国で会うことになるとは思わなかったぞ、血溜まり(ボルゾイ)」
あえて軽口を叩きつつ、旧友の仲であるかのような態度で迎える。すると彼女はニイと口元だけで笑い、身長差があるせいかやや上目遣いで眺めてきた。
目眩がするほど濃い血の匂いがもうっと漂っている。しかし、背筋が整った立ち姿には気品さえ感じられるという変わった女だ。
「ザリー、シュ。嬉しい。来てくれて。胸。どきどきする」
こらこらこら、乙女のようにはにかむな。リンゴのように頬を赤く染めてしまう様子には愛らしさしか覚えないが、さらに近づいてきて、隣の氷壁に背を預けてくるとは思わなかった。
「……お前は悪魔だろう。なぜ俺に話しかけてくる」
そう問いかけると、まだちゃんと話すことはできないのか、あー、うー、と唸った後に、悪魔は指先を向けてくる。己の胸元には魔女から手渡された品がある。月と星の刻まれたペンダントだ。
「? なんだ、これのおかげだとでも言うのか?」
うんうんと悪魔はうなずく。うまくコミュニケーションできたおかげだろうか。ややだらしのない笑みが女の顔に浮かびかけて、さっと己の手でそれを隠していた。
なにがなんだか分からない。敵であるのは間違いないが、なぜ恋人同士のような立ち位置で会話することになったのだろうか。
しばし迷い、ザリーシュは通信を使うことにした。
あれもあれで得体の知れない相手だし、どうして俺の周りにはまともな女性がいないのだろうと嘆きもする。ああ、こんなにもイブが恋しくなるとは思わなかった。
『ウリドラ、貴女のことだからこちらの様子も見ていただろう。血溜まりについてどう思う』
いくら遠くにいようとも魔導竜はすべてを見通しているような存在だ。彼女であれば分かるだろうと思い、相談することも以前のザリーシュであれば決してできなかった。
しばしの間を置き、脳内にぼそぼそと魔導竜の声が響く。
『わしには見えぬぞ。悪魔は定めた世界のなかでしか決して存在できぬのだ。その魔物はおぬしにしか見えぬし、決して触れられぬ』
『どういうことだ? なぜ俺にしか見えない。魔女から与えられたペンダントのせいか?』
『いいや、あれは目印のようなものに過ぎぬ。追いかけられたのは事実じゃが……どうにも腑に落ちぬ。人間の雄に恋焦がれるような悪魔などそうはおらぬ。もしやおぬし、魔物に好かれるようなことをしでかしたのではなかろうな』
そんなバカな。命懸けの戦いのなかで、好意を伝えるわけが……。
えへへと笑いかけてくる悪魔に、ザリーシュは全身の血がざあっと抜けてしまうような思いをする。
した。確かにした、かもしれない。
抱擁を交わしたのは事実だし、きざったらしい言葉まで口にした気がする。
――幸の薄そうな女性というのは、実に俺好みだ。何を与えれば喜ぶのかと、考えに耽ふける楽しみがある。
ああ、言ったわ。確かに俺は言った。
己の迂闊さに頭を抱えたくなるが、だけどあれは挑発的な意味合いだったのだから、誰からも責められはしまい。そう思っているのはザリーシュだけだったのか、さらに悪魔はこちらに近づいてくる。もうちょっとで肩が触れ合いそうな距離だ。
『ふむ、それと血じゃな。互いの血が混ざったことで、おぬしらのあいだに厄介な絆が生じておる。呪いのようなものじゃが、目印をつけたあたり、あの魔女も気づいておったやもしれぬぞ』
目の前にいる悪魔からごくごくと血を飲まれて、とても嬉しそうに笑いかけられたことがある。
絶命の最中でのできごとだったせいで悪夢のように感じられたし、実はそこそこのトラウマになっている。あれ以来、悪魔と聞いただけで身がすくむ。
内心で頭を抱えたい思いである。
理不尽であり、なぜこんな目に遭うのか理解できない。
生来のたらしだと言われてきたが、まさか女性相手に怯える日がくるとは思わなかった。
そのときに、悪魔の手が滑り込んできた。指と指のあいだにするんと潜り、そして握りしめてくる。
――ビイイイイイッ!!
けたたましく鳴ったのは鎧の警戒音だ。内蔵されている管理機構によって、とてつもない危機が迫っているのだと伝えている。
全身の筋肉を働かせて跳躍しようとしたのだが、なぜかびくとも動かない。視界は黒いもので徐々に浸食されており、かすれた声で「なにを……!」と言うのが精いっぱいだ。
やがて、警告音は消える。表示されていたものがすべて一斉に消えたと思ったときに、ばしゃりと鎧は砕け散る。繋ぎ目がすべて解かれたかのように、がらがらとそれらは氷上に落ちた。
「…………ッ!」
驚きのあまり声も出せない。握りしめてくる女の手がさらにリアルなものとして感じられただけでなく、冷気が肺に入り込んでも凍りつくことはない。それどころか澄んだ空気として感じられたことに、ザリーシュはまるで理解できなかった。
きらきらと輝き、宙に漂っている燐光のおかげだろうか。まるで紋様のようであり、複雑に絡み、溶けあい、そして分離する。これのおかげで冷気をまるで感じないのかもしれない。
「んフ、やっぱり、かっこいい」
ぎこちなさのだいぶ消えた笑みがすぐそこにあり、なにを言えばいいのかザリーシュはまるで分からない。分かるのは、彼女自身も徐々に変わりつつあるということだ。
血が長く伸びてゆき、それが細かな装飾品として悪魔を飾る。いずこかの姫君のように髪飾りが組まれてゆくだけでなく、豊かな乳房をより誇張するように装飾されていった。
ミルク混じりの体臭といい、丸みを帯びた肩といい、より人に近づいた。いや、近づいてきた。こうしているいまも試行錯誤しているのか、尖った耳を飾るようにカキキと巻き角を構築しながらもより魅力的な女になろうとしている。
真っ白な肌には赤みが差して、ぷっくりとした唇もまた女性的なやわらかさが見て取れる。それは以前の血溜まりにはない女としての魅力だった。
「私は、メル・ボルゾイ・セントヴェンテ。エーと、私の国、招待する」
にぎにぎと手を握りながら悪魔はそう言う。
「ああ、嬉しい申し出だが今日のところは遠慮しておこうか。待たせている人がいるからな」
紳士的な口調でザリーシュはそう答える。
きっぱり断ったというのに悪魔は目が線になるまで笑い、そして「ようこそ」と口にした。
視界は虹色に変わり、細かな氷の粒がそれを飾る。
頭上には冴え冴えとした月が浮かび、足元に見えるのは巨大な神殿だ。円形に組まれたものはすべて凍りつき、それは流れる小川さえもが同様だ。
やはりウリドラの元を離れるべきではなかった。
そうザリーシュは心の底から後悔した。
◆お知らせとお詫び
日本へようこそエルフさんのTVアニメがスタートしました!
MBS/TBS/CBCを始め民放放送が始まっておりますので、ご興味のある方は下記サイトをご参照くださいませ。
▼TVアニメ公式サイト
https://welcome-elfsan.com/
また、1月18日に小説版10巻が発売開始されます。
ついに大台を迎えることとなり、ここまで支えていただいたことに心から感謝しております。
▼【電子専売】日本へようこそエルフさん。 10
https://firecross.jp/hjnovels/product/1967
以上がお知らせとなり、ここからはお詫びとなります。
途中で日光旅行編を挟みましたが……すみません、話の順番を整えることがうまくできませんでした。
ちょいちょいと簡単に変えられるわけではなかったらしく、断念いたしました。
もろもろのお仕事が済みましたので、Web版もぼちぼち書き進めていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。




