第0話 十年前
初投稿になります。はじめまして。
誤字脱字、お見苦しい文章あるかと思いますが、作者側としても、見つけ次第手を加えてより良いものにしていく所存です。
どうか、暖かい目で見守ってください。
僕があの不思議なおじさんと出会ったあの日から、もう十年になる。
転校したばかりで友達と呼べるものがいなかった僕は、専ら一人で遊んでいることが多かった。
そんな時に、僕の隣にあの人はいた。
詳しい経緯は覚えていないが、何かしら会話をした後、自然とあの人の家に招かれた。
今日ならばかなり問題のあるエピソードだが、当時は幼かった僕は、なんの疑問も抱かずに、それからというもの、時々おじさんの家に遊びにいっていた。
おじさんの家にはゲームが沢山あった。といってもTVゲームのようなものではなく、オセロやチェスなどの、所謂ボードゲームが、数え切れないくらいあった。
僕は毎日違うゲームで、おじさんの対戦相手になった。
おじさんは強かった。もちろん子供と大人の思考能力の差というものはあっただろうが、小さな僕でも、直感的にそう感じることができるほどに、おじさんはゲームを知り尽くしていた。
勝つことに拘るおじさんが僕は好きだった。勝つ方法を知っているおじさんを尊敬していた。常に勝ち続けるおじさんのようになりたいと思った。
おじさんの家に行くようになってから半年が経過した時、おじさんはあるゲームを買ってきた。
“バトル•リフレクション”
手札のカードを使って相手のライフをゼロにする、TCGと呼ばれるものである。
そのゲームが僕らの心を掴むのに時間はかからなかった。僕とおじさんは毎日のようにそのゲームで遊んだ。カードを手に入れ、デッキを組み、お互いの戦略をぶつけ合う。勝ち負けが決まるとお互いにデッキの反省を行い、さらに高めあっていく。そういったサイクルを繰り返していた。
結局のところ僕がおじさんに勝ったのは、一番最初に行った構築済みデッキでの一戦だけだった。その後の戦いでは気持ち良いほどの全敗。どんな時でもおじさんは強かった。
そんな時がまた半年続いた。そしておじさんとの別れは、唐突にやってきた。
僕が小学二年生に上がったとき、おじさんは忽然と姿を消した。
引っ越しの準備などは行わず、大量のゲームが散らばったままの部屋をほったらかしにして、おじさんの存在だけが、消えてなくなっていた。
机の上にあった封筒には、今まで遊べて楽しかったという礼と、やらねばならない用事ができたから出ていくといった旨の記述がされた手紙が入っていた。僕に向けての別れの手紙だった。手紙の最後には、
『何があっても自分の力を信じること、限界を超える強い意志を持つこと。それが約束できるなら、このカードを君に預ける。』
そういった言葉が追加で残されていた。
僕は封筒の奥にあったカードを取り出し、すぐにデッキに組み込んだ。そして、おじさんと過ごした一年間を思い出し、一人大声で泣いた。
僕の名前は春原大地、当時七歳。
あれから大きく成長した僕は、今では気の合う友人と共に、充実した学園生活を送っている。
そして、“バトル•リフレクション”は――。
第一話の投稿ですが、かなり間隔が空いてしまうかと思われます。
「本命のついでに気が向いたら読んでやるか」といった感じで気楽に構えていてください。