デート
デート当日、僕は電車に30分乗り、
待ち合わせ場所である、
隣の県の◇駅の出口でナツミさんの車が到着するのを待っていた。
こんな風に、遠くで待ち合わせなんて、お忍びデートみたいで、いいね。
数分後。
「レイトくん、おはよー。」
声の方を振り向くと、
ナツミさんが近づいてくるのが見えた。
ナツミさんは、
普段よりもメイクをし、髪も整えて、
なおかつサングラスをしていた。
いつもよりも可愛いナツミさん(それでも一般的にはブスだが)を見て、
嬉しくなる反面、
ナツミさんは、すっぴんで、凄いブスの方がいいのになーとも思っていた。
そう思いながら、やっぱり僕はダメだ、おかしい。
ブスしか愛せなくなってしまったのかなーって思う。
運転し出すと、ナツミさんはサングラスをはずし、
いつもの、細すぎる目を見せる。
「外で、人と会う時はこのサングラスをしてるんだよね。
他人にブス顔を晒したくないから。」
そんなことないよ、
ナツミさんの顔はブスすぎて愛おしいよ。
運転に集中するナツミさんは、凄く真面目な豚顔だった。
「運転にまだ慣れてないから、余裕ないんだよねー。
運転中の会話もできないけど、ごめんね。
その分、音楽流すから。」
ということで運転中は無言で無表情なナツミさんだった。
無表情だと、メイクの意味もほとんどなく、
いつものブスな顔が飛び込んでくる。
僕はその横顔を見ては、ムラムラを止められなかった。
デートでは
アウトレット、水族館、映画館などいろいろなところを回った。
どこに行ってもナツミさんはサングラスを付けていたため、
ブス顔は見れなかったが、
擦れ違う女性の全員がナツミさんよりは可愛かったので、
僕は誰にも負けないブスな女性とデートできてるんだと思えて、嬉しくなった。
そんなこんなで1回目のデートが終了した。
そして2回目のデートの時に、
ムードも高まっていたので、
夕方のとある公園で、
「ナツミさんのことが好きです。付き合って下さい。」
と告白する僕。
「いいよ。というか、もう付き合ってるみたいなもんだしね。」
その瞬間、僕は喜びにつつまれ、
「ナツミさん、キスしてもいい?」
「もう早いなー・・・いいよ。」
てなわけで、
僕達のファーストキスは、夕方の公園だった。
夕陽に照らされたナツミさんの顔は、
本当に養豚場にいそうな豚みたいなブスで、
とても可愛かった。
僕は、こんなにもブスな女性とキスできて幸せだった。