突然の告白
「どうしたの? レイトくん。」
ムラムラしていた僕は、
ナツミさんが部屋に入るや否や、ナツミさんをまじまじと見ていた。
まじまじと、顔から足まで全体を。
顔は、いつもと変わらない。
細い目、鼻の穴が丸見えの鼻。うん、ブスだ。というか豚だ。
胸は、服の上からでは確認できないが、いつもと変わらない。
貧乳だ。
今日もいつもと変わらない、
ブスで貧乳なナツミさんじゃないか。
何を間違えたら、こんな容姿の人を好きになるんだ!?
冷静になれよ、自分。
「いい加減にしなさーい!!」
まじまじと見すぎていた僕に、ナツミさんが怒る。
その瞬間、ドキッとした。
ナツミさんの初めて見る、少し怒ったような表情・・・・。
ヤバイ、いい!!
怒った表情も、豚みたいでブスには変わりないんだけど、
僕にとっては天使に思えた。
こんな豚みたいな顔した人が天使!?
僕もとうとう頭がおかしくなったのかな?
いや、これが、恋は盲目ってやつか。
好きになっちゃうと、全てが好きになる感じの・・・。
僕は、恋心を自覚し始めていた。
「もう、さっきから何なのよ!!
ぼーっとしてて、今日のレイトくん、変だよ。」
そして家庭教師の時間が始まるも、僕は上の空だった。
そりゃあそうでしょ。
好きな人を目の前にしちゃあ、冷静でいられないよ。
ほとんど勉強が手につかず、時間が終わる。
「ホント、これで時給もらうの悪いわ、お母さんに。」
「ねぇ、何か悩みがあるなら言ってみて。そうじゃないとお母さんに申し訳ないよ。」
家庭教師代のことなんてどうでもいいのにと思いながらも、
僕は言うべきか悩んでいた。
もじもじしていると、
「早く言ってみなさい! 何でも聞いてあげるから。」
「言いたいような、言いたくないような・・・。」
「もう、じれったいわね。言ってみなさいよ。
悩みがあるなら、人に言ったほうがスッキリするわよ。」
「言っても、引かない?」
「引かないわよ。何でもいいから言ってごらんなさい。」
「実はさ。」
「うんうん。」
「ナツミさんのことが、好きなんだ。」
・・・・・・・。
遂に、僕は、言った。
言った後、恥ずかしくて俯いていたが、
顔を上げると、ナツミさんが目をぱちくりさせて、
「いやいやいや。レイトくんにはもっと素敵な人がいると思うよ。」
「それじゃーね。」
と、逃げるように去って行った。
引かないって言ってたのになぁ・・・。
ま、仕方がないか。