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回想 水分けの遺跡

※ 長いです。

 かつてこの世は、栄華を極めた。


 人類は己が身に宿った魔法の力を手足のように使い、空を渡り、海を越え、山河を思うままに書き換えた。

 世界は夜を忘れ、人々は、魔法と文明と文化を、これ以上無い高みへと昇華させた。


 不夜の時代を築いた人類は、けれどもすぐに行き詰まり、つるべ落としの落日に見舞われた。


 彼らは、魔法を忘れてしまったのだ。




「……ユーリぃ」

 人の手もろくに入っていない雑木林に、足音と声が響く。

「あきらめて帰りませんかー? 冒険者になったって、急に強くなるわけじゃないんですよー?」

 前を歩く黒髪の少女は、一切なんの音も聞こえていないような調子で、ずんずんと突き進んでいくばかり。

「ユーリぃ、やめましょうよー。私達だけで遺跡探索なんて、無茶ですってばー」

 (がん)として聞く耳を持たないその態度に、私はほとほとため息が出て、肩を落とした。


 事の発端(ほったん)は、2ヶ月前にさかのぼる。

 私がお世話になっているシュネーザフィーア家。その一番上の姉に当たるユーリが、このたび、めでたく冒険者ギルドの審査に合格し、はれて正式な冒険者となったのだ。

 その後しばらく、簡単な依頼をこなしながら冒険者の仕事を覚えることに専念していたユーリだったが、今月に入ってすぐ、私にとんでもない話を耳打ちしてきた。

「未公開の遺跡を調べたい」

 私はもちろん反対した。なにしろ未公開には未公開なりの理由があるのだから。


 古代遺跡というのは、800年以上前に滅亡した、古代文明の名残だ。

 それまではるか高みにあった魔法文明は、ある時根幹から崩壊し、多くの機能を失った。

 行き場をなくした文明人は数知れず、あるものは崩壊を止めようと奔走し、あるものは荒地を拓き、それらよりも多くの人々が飢えて死んだ。

 崩壊の原因。それは、都市機構の大前提であった魔法を、人類が操れなくなってしまった事だった。

 どうやらその現象は、70年……およそ人間の一生ほどの時間で、全世界をくまなくおおいつくし、急速に文明は力を失った。


 現代。光銀によって魔法を思い出した私達は、未知の力の使い方を、古代文明から読み解き始めた。

 当時の建物は、取り壊す手段もなく放棄され、現代に遺跡として各地に残されている。

 しかしそれらは、当時の人口からすると圧倒的に数が少なく、今となってはボロボロで、調査は容易ではない。

 そこで立ち上がったのは、当時この大陸を丸ごと治めていた大国の魔法庁――名前は古代文明の名残で、当時は公立学校などを管轄していたらしい――だった。

 魔法研究学会という研究組織を新たに立ち上げ、遺跡の調査はまず彼らがおこない、安全性が確保されれば、一般の魔法使いにも開放することにした。

 魔法研究学会の活動はすでに200年ほどとなり、古代魔術と精霊魔法の2大派閥が生まれたりと、順調に大きくなっていったが、現在までに開放されている遺跡は、片手の指で足りてしまうほどしか存在しない。


 いかに古代文明が偉大だったとは言え、普段使いの建物が、何百年も手入れ(メンテナンス)されずにいて、残っているはずがない。

 倒壊の恐れがある建物は、まず一般解放されない。

 それ以外の、比較的まともな状態で残っている遺跡は、だいたいが石造りの宗教施設だ。

 そういう施設には文明由来の品が少なく、運が良ければ書籍が生きのこっている、といった具合だ。

 古代文明に関する研究価値がないと、地元の住民が勝手に住み着いてしまったり、そもそも取り壊されたりする。もはやこれは遺跡ではない。

 そういう事情で、古代遺跡のほとんどは未公開で、さらに言えば、ちゃんと立っている間に公開される確率は、1割にも満たなかったりする。

 古代遺跡というのは、そういう世界なのだ。


 私達が今向かっている水分けの遺跡は、文明由来の鉄筋コンクリートの建物で、やはり倒壊の危険があるとして立ち入り禁止になっている。

 内部の調査は、学会によってとっくにおこなわれているはずで、いまさら乗り込んでもきっと骨折り損にしかならないだろう。


「そもそも、なんだって古代遺跡なんです?」

「なんでって……ロマンだから。それ以上に理由が必要?」

 さも当然とばかりに返ってきた答えに、思わずポカンとしてしまう。このヒト頭大丈夫か。

「嫌なら帰れば?」

「それはできません。おばさまから監視を任されてるんですから」

 あからさまにうんざりした顔になるユーリを睨みつけながら、それに、と続ける。

「最悪の場合、助けを呼びにいく誰かが必要でしょう?」

「あっそ。勝手にすれば?」


 雑木林を抜けると、いくらかの平原の先に、そのビル群はあった。

 倒壊した建物の残骸を踏みつけるようにして、4本のビルが、天に向かってのびている。

 さながらバビロンの塔を思わせるその姿は、晴れやかな秋空の下で、異世界のような雰囲気をかもし出して不気味だ。

「これ……」

「ほら、はぐれるよ」

「あ、待ってください」


 瓦礫が散乱する街だった場所を、苦心しながら進んでいく。

 あちらこちらに立ち入り禁止の黄色いテープが張ってあるが、古いのか荒らされたのか、ほとんどが残骸となっている。

「ミイラとか、出てきませんよね……」

「人間のはないんじゃないかな」

「……じゃあ何のミイラなら出てくるんですか」

「ネズミとかゴキブリとか」

「ひっ」

 ユーリの足は迷いなく、中央のバビロンに向かっている。

 他の瓦礫の山も一応、遺跡ではあるのだが。興味はないのだろうか?


「ついた」

 玄関先につくころには、すっかり汗だくになってしまった。

 瓦礫の山というのは、普通の山道とはまた違ったつらさがある。

「本当に、行くんですね?」

「ここで待ってる?」

 ちらとビルのてっぺんを見上げる。

 仮にこれ全部が壊れたとしたら、逃げ切れるはずがない。

「もうここまで来たら、一緒に行かなきゃ意味ないでしょう」


 ひしゃげてはずれた入り口の、錆びたフレームを乗り越える。

 全面ガラス張りだったらしい正面の壁は、廃墟(ぜん)とした吹きさらしで、時間の残酷さを感じる。


 ガラス片の上にはほこりがうずたかく積みあがり、うっすらと、比較的最近ついたらしい足跡が見える。黄色いテープを残していった調査隊だろうか。

 フロアの片隅には、誰が置いていったのか、ゴミ袋らしきねずみ色の塊が積み上げられている。


「これ、何をどう探索するんですか? 文献の(たぐい)は、もう引き上げられてますよね」

「まあね。でも、古代文明では、紙の情報って主流じゃなかったらしいんだ」

「はい?」

「なんでも、電子回路とか、HDDとか、そんな名前の記憶媒体で情報をあつかってたらしくて、書き込んだり読み取ったりを魔法でしてたんだってさ。おかげで、衰退時代まっさきに消えた」

 古代人のよくわからない発想に、首を傾げる。

 紙を使えばペン1本ですむのに、いったいなんだってそんな回りくどいことをしたのだろう。

「そのキオク媒体というのは、まだここにあるんですか?」

「まあ再調査がなければ、ね。電子メモリー技術系の解析はつい最近出来たばっかりだから、当時ここに来た調査隊に、HDDだのフラッシュメモリだのって言うけったいな電子製品は手に負えなかったはず」

「はぁ……」

 この人は何を言っているんだろう。遺跡に入ってから、ちょっとテンションがおかしい。


「それで、そのえいちでぃーでぃーは、どんな形をしているんですか?」

「さあ」

「……ちょっとぉ」

 あっけらかんと返されて、眉間にしわがよる。この娘は。

「考えならあるんだ」

「どんな?」

「まず、それっぽい機械を探す」

「はいはい」

「んで、片っ端から読み取り魔法をかける」

「……えー。そういうの、人海戦術でやる作業ですよ」

「仕方ないじゃん。他に手がないんだから。それとも何? メーディアはひと目みて機械の役割がわかるわけ?」

「う」


 ほこりっぽくてギシギシいう廊下を、2人仲良く並んで歩く。

 途中でたまに見かける、ほこりをかぶった黒い物体が、死体のように見えてギョッとする。

 もし今ユーリに何かあっても、ひとりで来た道を引き返すガッツは出そうにない。


 かたやユーリの方は、今までに見たことがないぐらい目を輝かせて、早く行こう早く行こうと、私の手を引いてくる。

 あやうく転びそうになってびびる。

 砂と埃と、あとよくわからないものにまみれるのは、絶対いやだ。


 手当たりしだい、開けられる扉をかたっぱしから開けていく。

 1階はほとんど、大机の周りにグルッと椅子が置いてある部屋とか、流しだけが入ってる部屋とか、椅子っぽい何かが乱雑に積みあげられた場所とかばかり。

 機械類はほとんど見当たらない。

 玄関ホールの中にあった大仰な飾り階段はすでに落ちていたので、調査隊の足跡を頼りに、外周部にひっそりと取り付けられた内階段を使う。

 2階は、1階とはかなり趣きが違って、飾り気も何もない廊下が真っ直ぐにのび、等間隔に似たような扉が並んでいた。

 これは、簡単に迷子になれそうだ。


 最初に目についたドアを開ける。

 中は1人用の机が、5つばかりひたいをつき合わせて並んでいる。特別、目立って異質なものは無い。

「なんですかね、ここ」

「仕事部屋、ってところじゃない?」

「仕事部屋……?」

 古代を舞台にした物語(ドラマ)では、多くの人間が昼夜を問わず、休みなく働いている場面(シーン)がしばしば登場する。

 どこそこから契約をとるだとか、わが社の店の経営がどうのとか、そんな感じの話を、それらしく演じるのが定石(セオリー)である。

 しかし、史実とはかなりへだたりがあるらしく、考古学者からの批判は声高だ。

 古代人がこの部屋で何をしていたのか? うかがい知るのは難しい。


「当時は、ひとりに1台コンピューターが当たり前だったんだってさ。もっとも、文明崩壊が終わったときには、ぜーんぶくず鉄になっちゃったけどね」

「見てきたように言うんですね」

「面白いでしょ?」

「いえ全然」

「むぅ」


 ユーリはおもむろに、床に落ちていた黒い鉄片を持ち上げる。

記憶(リコルド・)読込(アスコルターレ)

 青い閃光が瞬いたかと思うと、光のスクリーンが目の前に立ち上がり、こまごまとした数字を表示する。

「これが記憶媒体ですか?」

「そう。フラッシュメモリの1種で、ここの接続端子(コネクタ)を他の記憶媒体に差し込むことで、その記憶媒体の一部としてあつかうことができるんだ」

「えっと……何の意味が?」

「そうだなぁ……大型の記憶装置から、特定の情報を取り出して個人コンピューターに持っていくとか……まあメモ紙みたいなもんかな」

 なるほど、大型の記憶装置は、図書館の持ち出し禁止の蔵書、といったところか。


「それにしても、そんな専門知識を、どこから持ってくるんですか?」

「んー? 普通に見せ売りの本に載ってるけど」

 ふと、ユーリの本棚の一番目立つ場所に並べられた本を思い出す。タイトルはたしか、暗黒大陸(ムー)

「あれ、完璧なガセネタだと思ってました」

「失礼な。捏造はエンターテイメントの範囲内だよ」

 捏造自体はしてるのか、暗黒大陸(ムー)


「さっきの魔法もそこから?」

「いや、今のは親父直伝」

 頭の中に、気前のいいパン屋の主人の顔が浮かぶ。

 古代趣味はお父さんゆずりだったか。

「まさか、やけに張り切って冒険者を目指していたのは、実はお父さん孝行……?」

「んー。まあそういうことにしといてよ」

「あ、違うんですね」

 むしろ、長女がパン屋を継いでくれそうにも無いと嘆いていたお母さんの孝行をしてほしい。


「うーん」

「この数字、何の意味があるんですか?」

「この列が出荷数、隣が売上数、売上金額、全体の売上数に対する割合。まあ、営業成績というか、商品の解析というか」

「はぁ……」

「うーん……商品名がよくわからないな。他のシートに分割されてるってところなんだろうけど。どこだー?」

「そんなもの、調べてどうするんですか?」

「商品リストから、ここが何をあつかっていた会社だったかわかる。んで、運が良ければ、新商品を作った時の資料が出てくるかもしれない。廃れた技術1個再現できれば、 現代の魔法技術は10年進むよ」

 なるほど、それはすごい。


「うまいこと運べば、歴史に名を残せる。これぞ古代発掘のロマン」

「なるほど、名誉欲ですね。わかります」

「……まあ、うん。そうだね。なんか釈然としないけど」

 ユーリが苦虫をかんだような顔を向けてくる。何かおかしなことを言っただろうか。



 読み取り魔術を教わり、わからないなりに記録を展開していく。

 とはいえ、今とはずいぶん文字も変わっているので、ただ文章を読むだけなのに時間がかかってしまう。

「ふぅ……ここは諦めて、次の部屋に行きませんか?」

「……だね。どこかにサーバールーム……資料室みたいなところがあるはずなんだ」

「資料室ですか」

「タワー型の大型コンピューターが何台も並べてあって、熱でダウンしないように、冷房がはりめぐらせてあったはずなんだ」

 ユーリの指が、天井を指す。

 さして大きくもない窓からの光だけでは、とうてい天井に何があるのかは見通せない。

「空調を見て探すっていうのは、だいぶ無理がありそうですね」


「その部屋、大型の機械が何台も入ってるんですよね?」

「ん? たぶんね」

「相当、広い部屋って事になりません?」

「ああ……いわれてみれば」

「階段を上がっていって、他と違う構造になっていないか調べれば、ちょっとは時間を短縮できるんじゃないですか?」

「いいね、やってみよう」


 気軽に言ったわりに、けっこう重労働だった。

「あーもう、どんだけ高いのこのビル」

「まあ、2ケタ越えたらどこも一緒じゃないですか? 再現不可能って意味で」

 埃っぽくて暗い、その上いつ崩れるかわからない。景色も代わり映えしない。

 閉鎖的な階段を上るというのは、かなり精神的な負担になるらしい。

「今何階?」

「えーっと……8階?」

「全然じゃん」

「私に言われても困ります」

 ふと、ユーリの口調が、普段に比べてくだけている事に気がつく。

 かなり無限階段がこたえているようだ。



 もう自分たちが何階にいるかもわからなくなったころ、流れ作業で新しいフロアをのぞき込む。

「あ、ここ……」

 目の前には、廊下もドアもなかった。

 ビルの反対側の窓まで見渡せる広い部屋に、真っ黒な壁が整列している。

「やった、サーバールームだ!!」

「ひょっとして、これ全部が記憶媒体ですか?」

「たぶんね。ちょっと状態は悪そうだけど……」

 言うが早いか、私の横を颯爽とすり抜け、小走りに黒い筐体に取り付く。

「ちょ、ちょっと!! まさか、これ全部調べるんですか!?」

「むろーん!!」

「ウソでしょう!? 何日かかるんですか!!」

 スチャっと大げさな仕草で、ユーリが黒い鉄片を出す。さっきのあれだ。

「特に機密度の高い、重要っぽいデータを、こいつに転送して持ち帰る」

「そんなことできるんですか?」

「今入ってる分のデータは消えるけどね」


「これひとつで、どれぐらい持ち出せるんですか?」

「んーっと……かすれて読めないな……たぶん辞書3冊分は入るとおもうけど」

「え」

 あまりに容量が大きくて、開いた口がふさがらない。

 そうか、わざわざ魔法を使ってまで読み書きするのはそういう理由か。

「運良く中身が破損していなければ、ね」


「ここに並んでるサーバマシンの大半は、普段使う情報とか、たいして重要じゃないデータを入れてある、戸棚みたいなもの。で、この部屋のどこかに金庫があって、重要な情報はそこにはいっているはずなんだ」

「さっき言ってた、廃れた技術に関する資料って、どっちですかね」

「金庫の方じゃないの?」

「でも、日ごろ使う必要があったかもしれませんよ」

「うーん……よし、ふた手に分かれよう。メーディアは金庫サーバを探す、あたしは古代技術に関する情報をかたっぱしからダウンロードする」

「……逆じゃなくていいんですか?」

「メーディア、古代文字すらすら読める?」

「無理ですけど……金庫サーバって、どうやって見つけるんですか」

「まずアクセスしてみて、さっと情報を出さないやつがいるはずなんだ。鍵がかかってるんだよ」

「なるほど、鍵ですか」

「ひょっとしたら複数台あるかもしれない。何か目印をつけて、次のサーバを調べて」

「了解です」


 あけてもあけても、調べていないサーバマシンは減らない。

 ここはさながら、大図書館だ。

 全体の半分ほど調べても、まだ鍵のかかっている金庫は見つからない。

 ひょっとして、このフロアにはないのだろうか。


記憶(リコルド・)読込(アスコルターレ)

 ここも、一度読込をかければぱっと情報を差し出してくる。

 何ヵ所か読めなくなっているのは、故障だろうか。

記憶(リコルド・)書出(パルラーレ)

 ユーリの呪文が聞こえる。あれが、データの転送とやらだろう。

記憶(リコルド・)読込(アスコルターレ)

 青白い光が、鈍い音を立ててはじけ飛ぶ。

 弾かれた。

「ユーリ、ひとつ見つけました」

 言うが早いか、音を立ててユーリが駆けつけ、鍵付きに張り付いてしまう。

「ゆ、ユーリ?」

「ああ、これが実物の電子錠……場末の企業であっても情報保護に手を抜けない、情報戦国時代……その遺物が今目の前に!!」

 長くなりそうなので、また残っている機械群に魔法をかける作業に戻る。

 しかし、なぜ古代文明というだけでああも目の色が変わるのだろうか。不思議だ。


「解けた!!」

 いきなり大声で叫びながら、ユーリが立ち上がる。

 どうやら、解けたのは鍵のようだ。

「じゃあ、そこ写したら帰りましょうか」

「ええ!?」

「もうすぐ暗くなりますよ。こんなところに泊まりこむつもりですか?」

「せ、せめてこのフロアだけでも……」

「却下。本当に日が暮れますよ」



 行きと同じ階段を、気持ち早足でおりる。

 ななめ後ろのユーリは、未練がましく上の階をちらちらとふりかえっていた。

「ほら、置いていきますよ」

「うー……人類の英知とロマンが……」

「命あってのものだねですよ。倒壊さえしなければ、いつでも来れます」


 残りたがるユーリの手を引いて、古代の塔を出る。すでにあたりは暗くなり始めていた。

 ふと、背後の遺跡群を振り返る。

 800年前ここには、あの大きなビルを埋めるほどの人がいたというのに、今にも崩れ落ちんばかりのそれは、まるで石の王。



 かつて、人類の手からこぼれ落ちていった魔法の力。

 原因は不明。

 わずか70年の間に、旧文明を使い物にならなくさせた。


 あの忘却は、なぜ起きたのか。

 もしかして、人類には何か、魔法を忘れなくてはいけない事情があったのではないだろうか。

 私達が今魔法を思い出すことは、はたして人類にとって()いことなのだろうか……?

暗黒大陸(ムー)は架空の出版物であり、実在する人物、団体、社会現象、およびミステリー情報誌とは一切関係がありません。

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