告白ライン
場所はいつも彼女といる教室、時間帯は太陽も寝る準備をしている夕方。
至って見る限りいつも通りの風景が、今日は重力が倍にも増して感じている。
なんせ今日は、お互いの胸にしまっている秘密を明かす時間だ。まるで早打ち対決にも見えるけど、そんな単純なことじゃない。でも複雑と言えばそこまででもないこと。でも実行するのには、決断力が必要だ。
僕はこの沈黙の瞬間を後悔している。自分が大事な話がある、と自ら言っておきながら失敗してクリティカルダメージを喰らうことを恐れている。
言うはずだった言葉を忘れる。そもそも自分がさっきまで何をやっていたのかさえも忘れていた。
唇が乾燥している。頭がくらくらする。そんな些細な症状でも僕の心は揺らいでいる。
今日で、良かったのか? それとも、もうちょっと時間をかけて自分に自信を持つようになれば良かったのか、と今更遅い判断を考えてしまっていた。
幼馴染の顔を見てみる。彼女の表情は、良くも悪くもない、いつも通りの顔だ。ニコッと笑顔を見せている。
それで、僕の精神状態は悪化した。精神と言うよりも頭の方がパニックを起こしている。彼女はどんなことを考えているのだろう。それだけが怖い。
自分のへたれを呪った。なんでこうなんだろう。なんではっきり言えないのだろう。
でも今はそんな自分を責める前に、やらなくては行けないことをしなければならない。
だからやっとのことで決意し、口を動かして――――
あの雰囲気の中で発した告白からの記憶は、はっきり言ってあまり残っていない。
でも今の彼女の表情から多分、自分の思いは伝わったと思う。
一緒に机に座って、手をぎゅっと握りしめて、夕焼けを二人で見ていたのだから。
前に投稿した夕焼けに手を、の告白版です。前作を投稿したら滅茶苦茶こういうのが書きたくなりまして、ざっと書いて見直したものです(*っ´ω`c*)