36/56
#35 タイトルを変えた夜
(2026/02/19)
長い眠りから覚めたあと、私は魂を売った。
カクヨムに公開している作品のタイトルを変えたのだ。
朝と昼を合わせて十四時間の睡眠。
目覚めた私の耳元で、悪魔がささやく。
――だから読まれないんだよ。
作品にいちばん似合うと思って、頭を抱えて唸りながら付けたタイトルだった。
それでも、内容がどうこう以前に、クリックされない。
クリックされなければ、読まれない。
それはいちばん、可哀想じゃないか。
我が子が。
泣きそうになりながら、タイトルを変更した。
せめてもの抵抗として、あらすじの冒頭に元のタイトルは残した。
ここは譲れなかった。
読まれてくれ。
これは承認欲求なのだろうか。
自分が認められたいからなのだろうか。
いや、違う。
違うと言い張りたい。
せっかく生まれてきたのに、読まれないのが可哀想なのだ。
それは承認欲求ではなく、同情だ。
……と、言いながら。
誰か。
誰か読んでくれ。
そして♡や☆で、読んだことを教えてくれ。
それだけで、私は報われる。
気がする。




