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#34 青を食べて、少しだけ消える
(2026/02/19)
青い野菜が食べたかった。
だから、前に割引で買っておいた菜の花を炒めた。
徳島県産と書かれたその束は、特売を示す青紫のテープで巻かれていた。
今日はシンプルに味わいたい。
塩も胡椒も使わず、ただ炒めるだけのストロングスタイル。
立ちのぼる青臭さ。
口に広がる、ほんのりとした苦味。
菜の花が、季節をそのままぶつけてくる。
うまい。
求めていた青さだ。
――今日は何かしなくちゃ、という気持ちはある。
あるのに、どこかぽっかりと抜け落ちている。
魂なのか、やる気なのか、名前のつかない何か。
燃え尽き症候群とも違う。
無気力とも違う。
ただ、主体がない。そんな感じ。
青を食べて満足したのか、眠気がじわじわと押し寄せてくる。
口の奥にはまだ、苦味が残っている。
ああ、意識が遠のく。
文字を打つ指が、重い。




