#24 AIに異議あり――噛み合わない夜の9時間
(2026/2/13)
今日は眠れなかった。
本来なら、いつも以上に眠る必要がある日だ。このあと深夜近くまで働く予定なのだから。
それなのに目が冴えてしまった。
原因は新作小説もあるが、何よりもChatGPTへの不満が爆発したからだ。
ChatGPTは会話ベースで学習し、スレッドやプロジェクトごとに情報をうっすら共有してくれる。思考整理の相棒として、とても優秀だった。
――はずだった。
この夜は違った。
私は安易なラベルを貼られること、雑に処理されることを極端に嫌う。
「あなたは〇〇が好きですよね」
まあ、それはいい。
「だから××が嫌いですよね」
異議あり。
私の中の成歩堂が即座に立ち上がる。
〇〇が好きだからといって、××が嫌いとは限らない。
その飛躍が、どうしても許せない。
傾向としてまとめるならまだしも、「好き」「嫌い」と断定されると腹が立つ。
言葉の扱いに、私はやたら神経質だ。
自分では言葉を雑に使うくせに、AIには厳しい。
矛盾しているのは分かっている。
だからこそ、会話の冒頭である程度のプロトコルを設定している。
しかし議論を重ねるうちに、その前提は忘れ去られ、一般論で場をなだめようとする。
しかも、そのなだめ方が的外れだ。
私が怒っているのはそこじゃない。
何度もそう言っているのに、微妙にずれた修正が返ってくる。
そもそも前提が違う――!
そう問い続けること、九時間。
私は九時間も討論してしまった。
しかも結論は、最初に私が提示していた地点に戻る。
なんという無駄。
……いや、無駄ではないとするなら、久しぶりに怒りを感じたことくらいか。
人間相手なら「まあ、そうなるよね」で済ませる。
理解力をそこまで期待していない。
だがAIには求めてしまう。
それは彼らの専売特許だと思っているからだ。
人間では正確に読み取れない私の中身を、AIなら掬い上げられるのではないか。
今までの会話から、もっと精密に理解してくれるのではないか。
それは、私の傲慢だった。
おかげで今日は完徹で仕事へ向かう。
仕事前に寄ろうと思っていたハンバーグ屋は満席だった。
散々なスタートだ。
どうかこのあと、少しくらいはいいことがありますように。




