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#21 一袋は一個じゃない ――冬とネオバターロールの罠
(2026/2/11)
このあいだ、スーパーで何となくバターロールを手に取った。
普段は米派の私だが、寒くなると無性に小麦が恋しくなる。
湯気の立つごはんではなく、ほんのり甘いパンの匂いを求めてしまうのだ。
そしてそれは、魔性だった。
「ネオバターロール、フジパン♪」
一週間、毎朝の楽しみにしようと思っていたはずなのに。
気づけば一日、いや一食で姿を消していた。
形あるものはいつか無くなるというけれど、こんなにも早く別れが来るとは思わなかった。
自分の腹をさすりながら、静かに嘆く。
さらに追い打ちをかけたのが、たまたま冷蔵庫にあったkiriのクリームチーズである。
なぜあんなにもクリーミーで、コクがあり、ほどよい酸味を備えているのか。
そしてなぜ、バターにあれほど合ってしまうのか。
罪深い。あまりにも罪深い。
本来なら一つで足りるはずのバターロール。
それが途中から「エネルギー補給」ではなく「心の栄養補給」へと誤変換される。
気づけば一個が一袋に変わっていた。
私は冬眠を必要としない種族のはずだ。
それなのに、この身体機能はなんなのだろう。
そう嘆きながらも、脳内ではすでに予定が組み立てられている。
エコバッグを持つ。財布を入れる。目的地はスーパー。
やはり、あいつは魔性だ。




