#9 うちのZO-3(ゾウさん)と、諦めない私。
(2026/2/6)
去年の夏、ある日突然、強烈にギターが弾きたくなった。
思い立ったらすぐ、私は巨大な中古ショップへと走り、フェルナンデスの「ZO-3」を買ってきた。緑色の、ゾウの形をしたミニエレキギターだ。他にも何色かあったが、一番ゾウさんっぽく見えた緑を選んだ。
私の音楽歴は、小学校の音楽会で念願の大太鼓を叩いた一年生の頃がピークである。今の私が自信を持って演奏できるのは「腹太鼓」くらいだ。よく響く。
そんな私が「人生で一度くらい楽器ができるようになりたい」と欲を出した。
アンプ内蔵、検品済み。
そう書かれていたはずの私のゾウさんは、電池を入れても全く音が出なかった。けれど、そんなポンコツなところも「ロー」な時の自分を見ているようで愛おしく、最初の数ヶ月はアプリを使いながら熱心にペロンペロンと弦を弾いていた。
それから半年。
私のゾウさんは今、共に買った(けれど絶妙にサイズの合わない)ケースの中で、大切に大切に冬眠している。
そんな彼女に、突然、日の目を見るチャンスが訪れた。
親友の結婚式。余興バンドのギター担当が、本番を前にして方向性の違い(やる気の問題とも言う)で難航しているらしい。そこで、私に白羽の矢が立ちつつあるのだ。
モチベーションが爆上がりして、正直うれぴ。
もちろん、すぐに投げ出してしまうかもしれない。指が届かないかもしれない。そもそも私のリズム感は壊滅的かもしれない。
不安は尽きないけれど、まだやってもいないのだ。もしかしたら私の中に、超絶ギタリストの才能が眠っている可能性だって、ゼロではない。
「諦めたら、そこで試合終了よ」
安西先生ではなく、脳内の桃井かおりが囁く。
あなたのお肌、諦めないで。私のZO-3、諦めないわ。
夜中のテンションで、メルカリにてギターの教本を数冊買い込んだ。
友から送られてきたバンドスコアを眺め、まずは「令和の布袋寅泰」を目指して、少しずつ指を動かしてみることにする。
布袋さんはまだまだ現役バリバリだけど、私のゾウさんも、ようやく眠りから覚める時が来たようだ。




