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波打ちぎわ~星砂の永遠、波音の祝福~

作者: Tom Eny



星砂の永遠、波音の祝福


夜の帳が降りた瞬間、この浜辺は天上の絵筆で彩られたような、息をのむ美しさに変わる。空からこぼれ落ちる無数の星屑は、砂浜に散らばり、まるで足元一面にダイヤモンドを敷き詰めたようだ。初めて君と出会ったあの日、視界に映るすべてが輝きを増し、僕たちは抗えない力に導かれるように、そっと指先を重ねた。その瞬間、触れた場所から淡い光が生まれ、互いの手のひらから温かな波動が伝わった。


寄せては返す波の音は、太古の時代から途切れることなく続く、愛の調べ。潮風が甘く香るその優しい旋律に包まれながら、僕たちは無意識のうちに、金色に輝く砂に互いの名前を綴った。僕の指が君の柔らかな名を、君の指が僕の力強い名を、丁寧に、心を込めてなぞる。その刹那、僕たちの周りの空気が温かい光を帯び、星々の粉のような祝福が降り注いだ。砂に刻まれた名前は、まるで内側から光を放つように輝き始め、永遠に消えることのない、魂の契約を静かに告げた。


「ねぇ、願い事を書いてみよう」君の瞳は星のように輝き、声は鈴を転がすように澄んでいた。僕たちは顔を見合わせ、美しさに満ちた未来を想い描きながら、砂に言葉を紡いだ。「永遠に、この温かい抱擁の中で」「どんな嵐が来ようとも、二人で手を取り合って」「喜びの音楽が、絶えることのない日々を」。願いを書き終え、そっと透明な波が砂浜を洗い清めた時、書かれた文字は消えるどころか、金色の光を放つ無数の泡となって、夜空の星々へと昇っていった。それは、僕たちの純粋な願いが、宇宙の呼吸と共鳴した証。


その夜から、僕たちの世界は愛と奇跡に満ち溢れた。浜辺には見たこともない素晴らしい花々が、まるで優しい音楽に合わせて咲き乱れ、夜空には僕たち二つの心を象徴する、寄り添う二つの輝く星座が現れた。人生には困難も訪れたけれど、その度に、まるで天からの力が僕たちを導くように、思いがけない恵みが舞い降り、道は常に光で照らされた。しかし、真の愛が試される夜は、突然訪れた。


一度だけ、全てが闇に包まれそうな嵐が訪れたことがある。轟く雷鳴、荒れ狂う波の咆哮が容赦なく浜辺を打ちつけ、砂に書いた僕たちの名前も願いも、跡形もなく消し去ってしまった。絶望の淵に立たされた僕たちは、ただ互いの存在だけを確かめるように、強く、強く抱きしめ合った。雨粒が頬を伝う冷たさの中で、君の温もりだけが、僕の最後の希望だった。その瞬間、信じられないことが起きた。僕たちの温かい抱擁から、まばゆい光が溢れ出し、荒れ果てた砂浜に、消えたはずの光り輝く文字が、再び、奇跡のように浮かび上がったのだ。「永遠」「愛」「奇跡」――それは、どんな力も消し去れない、僕たちの揺るぎない愛の証明だった。嵐は去り、夜明けの空には、二つの虹が架かっていた。


幾度となく季節は巡り、僕たちの髪には月光のような白い輝きが増したけれど、手を繋ぐ温もりは、あの日のまま。いや、時を重ねるごとに深く、宇宙の根源に触れるほどに強まっている。今も僕たちは、この浜辺を二人でゆっくりと歩く。足跡は淡い光の軌跡を残し、波の音はいつも、僕たちの愛の詩を優しく奏でる。そして、**浜辺の砂を握りしめるたび、その中から温かな奇跡が湧き出し、目には見えない光の粒となって、互いの心を祝福する。**その小さな光は、僕たちの日常に、今も魔法が生きていることを教えてくれる。


今日、私たちは再びこの魔法の浜辺に立っている。空には、あの夜と変わらぬ輝きで星々が瞬き、足元には、願いを聞き届ける波が穏やかに打ち寄せている。金色に輝く砂に、溢れる感謝の想いと、未来への希望を込めて、そっと互いの名前を書き記す。波が優しく砂浜を撫でた瞬間、僕たちの周りはダイヤモンドのような光で満たされ、遠くの水平線からは、七色の翼を持つ鳥たちが舞い上がり、天上の音楽を奏で始めた。


この浜辺で始まった僕たちの愛は、星砂のように透明で、波音のように永遠。砂に書いた願いは、宇宙の力となり、僕たちの道を幸福へと導き続けるだろう。星屑が僕たちを照らし、波が愛を囁くこの場所で、僕たちはこれからも永遠に、互いを愛し、支え合い、人生全体を温かい光で満たしていく。だって、この浜辺と、砂に書いた願いこそが、僕たち二つの魂だけに許された、甘く、そしてどこまでも幸せな、終わりのないファンタジーなのだから。

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