第三章:世界に動き出す(続き・特別編)
第三章:世界に動き出す(続き・特別編)
――覚醒、神谷助太郎――
条約締結式の夜。
司が広場を巡回していると、助太郎が一人、静かに星を見上げていた。
「助太郎、どうした?」
司が声をかけると、助太郎はゆっくりと振り返った。
「司様、少し……お話しせねばならないことがあります」
その表情は、いつも以上に硬かった。
助太郎は語り出した。
「実は、私は元々――ダンジョンマスターによって創られた存在です」
「え?」
司が眉をひそめる。
「さらに、万一“前のダンマス(ダンジョンマスター)”が倒れた場合、
“次代マスター”に昇格する緊急設定が施されていたのです」
「つまり……今、助太郎、お前は?」
助太郎は静かに頷いた。
「正式に、この世界の特定領域を統べるダンジョンマスターになりました」
そして――
助太郎は、司にだけ見えるシステムメニューを開いた。
そこには、
【召喚権限:人型兵士部隊】【ゴーレム部隊起動】の選択肢が並んでいた。
「司様。
これより、貴国防衛のため、我が権限を行使します」
助太郎が宣言した。
――召喚、始まる――
まず、広場に魔方陣が出現。
そして、
無数の人型兵士たちが次々と姿を現した。
完全な人間型。
食事も睡眠も不要。
任務のためだけに設計された、忠実な兵士。
その数、三千体。
さらに。
身長170センチ前後。
魔力で動く精巧な人型ゴーレム。
その数、五百体。
静かに整列し、司に敬礼した。
村人たちは一瞬、恐怖に震えたが、
司が静かに右手を上げた。
「彼らは、俺たちの仲間だ」
その一言で、緊張が解けた。
司は助太郎に言った。
「ありがとう、助太郎。
でも忘れるな。
“兵力”で守るんじゃない。“心”で守るんだ」
助太郎は、初めてほんの少しだけ笑った。
「承知しております、司様」
――そして、嵐の前夜へ――
その直後。
王国からの正式な脅迫状が届いた。
「貴国《ルミナス連合》は、王国の領土である。
即時の降伏と統治権の返還を要求する。
拒否すれば、武力行使に及ぶ」
明確な、宣戦布告だった。
司は、皆を集めて宣言した。
「俺たちは、屈しない。
ここに生きる人々を、未来を、守るために――戦う!」
新たに加わった三千の兵士たちと、五百体のゴーレムを背に、
ルミナスは、最大の戦いへと歩み出した。




