第一章:転移と再会(続き4)
第一章:転移と再会(続き4)
――最初の一歩を、掘り起こせ――
「ここを拠点にする」
司の一言で、全員が動き出した。
荒れた村――いや、村の“跡地”。
住めそうな建物はほぼゼロ。水も食料も限界。
でも、それでもこの場所には、未来を作れる匂いがあった。
まずは、水の確保だ。
「井戸を掘ろう」
司の提案に、全員が頷いた。
中村瞬とムミョウが地中の水脈を探る。
師匠が即席の木製道具を作り、
司はひたすらシャベルを動かした。
土を掘り、石を運び、手が血まみれになっても、誰も文句を言わない。
「できない理由を探すな。できる方法を考えろ」
司の信念が、チーム全体に伝染していた。
二日目。
土の奥から、冷たい水が噴き出した。
「来た!」
瞬が叫んだ。
全員、自然と拍手が起きた。
こんなに小さなことが、こんなに嬉しいなんて、現代では想像できなかった。
次は畑づくりだ。
「腹が減っては戦も国作りもできん」
師匠の一声で、
土地を選び、雑草を抜き、鋤を振るった。
加代子と咲代は、薬草畑を提案した。
「万が一、また怪我人が増えても対応できるように」
司は感動した。
「長所が見えるって、こういうことなんだな」
一人ひとりが自分の強みを持ち寄り、
それが自然に未来を作っていく。
さらに、周囲の森を探検すると、
小さな難民グループに出会った。
飢えた親子、傷だらけの若者たち。
誰もが“希望”を諦めかけていた。
司は迷わず言った。
「ここに来い。今は何もないけど――一緒に作ろう。生きる場所を」
住民第一号たちが、拠点に加わった。
小さな村は、本当に小さな国家の卵になった。
夜、焚き火を囲みながら、司はふと口にした。
「この場所に名前をつけたい」
ムミョウが笑った。
「名前か。じゃあ、何がいい?」
司は空を見上げた。
満天の星、その中に小さな光を見つけながら、言った。
「ルミナス――光を失わない場所。そんな意味を込めて」
誰も反対しなかった。
こうして、
新たな拠点が生まれた。




