決意
更新遅くなり申し訳ございません。最後まで読んでいただけるありがたいです。
「ふわぁ……」
夢月は大きな欠伸をしながら、いつもの足取りで学校に向かって歩いていた。その姿は、まるで悪夢にうなされる前の日常が戻ったかのように見えた。
「その様子だと、よく眠れたみたいだな。」
「うん、眠れたよぉ。」
夢月の横を歩くのは、幼馴染の朝陽だった。半分寝ぼけたような夢月の様子に、軽く肩をすくめながら続ける。
「とりあえず眠れてよかったけど……実は少し、良くない知らせがある。」
その一言に、夢月は眠気を吹き飛ばされ、朝陽の顔をじっと見つめた。
「昨日の夜、じいちゃんと一緒に調査したんだが、お前を狙って動いている獏がいた。今までは、ただ距離をとらせて追い払うだけにしてきたが、今回も同じ個体である可能性が高いと思う。」
夢月の心拍数が上がるのを感じながら、朝陽はさらに言葉を続ける。
「俺たちで捕獲して調査しようとしたんだが……捕まえた直後に、誰かに殺されちまった。」
「えっ……それじゃ、もうあの化け物はいないってこと?」
少し安堵した様子を見せる夢月に、朝陽は苦い顔をして首を横に振る。
「まぁ、それはそうなんだが……大事なのはそこじゃない。獏を捕まえた直後に誰かが殺したってことだ。つまり、人為的に獏を操っているか、狂暴化させている奴がいる可能性が高い。」
その言葉に、夢月は再び青ざめる。狂暴化した獏の姿が脳裏に蘇り、冷たい汗が背筋を伝った。
「じゃあ、またあいつが襲ってくるってこと?」
「その可能性は否定できない。」
朝陽の真剣な表情に、夢月は息をのむ。そして、昨日孝晴から言われた言葉を思い出した。「自分を守る力をつけろ」
「このままだとまた襲われるんだよね……なら、自分を守るくらいの力をつけたい!」
震えていた先ほどまでとは違い、夢月の目には強い決意が宿っていた。
「分かった。今日の放課後、またうちに来てくれ。じいちゃんにも話を通しておく。」
朝陽の言葉に、夢月は力強くうなずいた。
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