眠りの先での再会
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「ただいま!」
夢月は家に帰るなり、声をかけるのもそこそこに自分の部屋へと駆け込んだ。
「はぁ、疲れたー……とりあえず夜ご飯まで寝ようかな。」
学校で眠っていたにもかかわらず、まだ体に染みついた眠気が抜けない。夢はベッドに飛び込むと、すぐさま瞼が重くなり、意識が遠のいていく。やがて彼女は、再び夢の世界へと引き込まれていった。
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「え、何で……?」
気がついたとき、目の前に『それ』が立っていた。昼間、学校で見たあの恐ろしい化け物。記憶の奥底に刻まれていた忌まわしい姿が目の前に現れ、思わず身が竦む。命の危険が身近に迫っているのを感じた瞬間、耳に飛び込んできた声があった。
「え、また夢月なのか?」
夢月は思わず振り返った。その先には、夢乃朝陽が立っていた。彼は何かぶつぶつと呟きながら、視線を鋭く前に向けている。しかし、その内容までは聞き取れなかった。だが、そんなことを気にしている余裕はない。目の前の危機をどうにかしなければならない。
「朝陽! 昼みたいに!助けてよ!」
「昼みたいに」と無意識に口をついて出た言葉に、夢月自身も驚いた。昼間の出来事はぼんやりとした記憶だったはずなのに、なぜ今ははっきりと口に出せたのだろうか。
「ん? なんで覚えてんだ……?」
朝陽も驚いた様子だったが、すぐに冷静な表情に戻ると、化け物に向かって手を伸ばした。その瞬間、眩い光が視界を覆い、化け物はふっと吹き飛ばされ、消えていった。信じられないような力が発動したその光景に、夢月は呆然とするばかりだったが、ただ助けられたということだけは理解できた。
「ありがとう……」
無意識に感謝の言葉がこぼれた。だが、朝陽はそれに答えることなく、淡々とした口調で言った。
「起きたとき、もし覚えていたら連絡してくれ。細かいことはそのとき話すから。」
そう言い残して、朝陽の姿はふっと消え去った。夢月はただ彼の言葉を反芻するように、呟いた。
「起きたときに、連絡……」
その言葉が最後の記憶となり、夢月の意識は再び深い闇へと落ちていった。
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