診断
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「よし、一旦休憩にしようか!」
円の言葉で皆、ドームの中央に集まってきた。夢月はさっき話していた特性診断のことが気になっていたため口を開いた。
「さっき言ってた特性診断...?ってなんですか?」
円は朝陽に教えてもよいか目で合図をしてから、ゆっくりと説明を始めた。
「特性診断ってのは、人の想像力の特性を調べる方法だね。想像力の特性っていっても、得意分野がわかるだけで、実力に直接影響するわけじゃないんだ。でも、今回みたいな調査隊の活動では、適材適所の役割分担を決めるのに役立つよ。」
円は指を一本立てる。
「特性の種類は大きく分けて五つ。まず一つ目が『変化型』。想像力を自在に変化させるのが得意なタイプで、例えば闇野ちゃんがこれだね。」
闇野は軽く肩をすくめながら、「まあ、そうですね」とぼそっとつぶやく。
円は指を二本に増やした。
「二つ目は『破壊型』。これは他者が作ったものや生き物を壊すのに特化した特性。私や山田がこのタイプだね。」
「壊すのに特化……?」
夢月が思わずつぶやくと、円は軽く笑いながら説明を続けた。
「ま、悪いことじゃないよ。必要なときに“壊せる”って大事だからね。」
さらに指を三本に増やしながら円は続ける。
「三つ目が『防御型』。逆に、作り出したものを壊されにくくするタイプ。防御に特化している人がこれに該当するね。」
「なるほど……」夢月は真剣に聞き入っている。
四本目の指を立てながら円は少し困ったように言った。
「四つ目が『解析型』。これは想像力の分析や特定に役立つらしいけど……正直、私は詳しくないんだよね。解析型に関しては、頼彦くんに聞いた方がわかりやすいかも。」
頼彦はニコリと微笑んだ。
「解析型は、想像力を見抜くのが得意なんです。戦闘向きではないんですけど、誰の想像力か等を見ることができるんですよ。」
最後に円は五本目の指を立てた。
「そして五つ目が『共鳴型』。他の人と想像力を同調させて、力を増幅したりするタイプ。朝陽くんがこれだね。」
「五つもあるんですね。それって、どうやって判別するんですか? 水に葉っぱでも浮かべるんですか?」
夢月の素朴な疑問に、円は苦笑しながら首を振る。
「いや、それなら楽でいいんだけどね……実際はちょっとめんどくさいんだよ。想像力の波長を調べるんだけど、それを正式に調べるには色々と申請しないといけないんだ。正直、ただの特性診断にここまで手間をかける必要があるのかって思うけどね。」
ため息をつきながら、あきれた様子の円。その表情から、診断の手続きがどれほど面倒なのかが伝わってくる。
「なんだか、まだまだわからないことだらけだなぁ……」
聞けば聞くほど謎が増えるこの世界に、少しだけ疲れを感じる夢月だった。
――――――――
バーン!!
突如、森の奥から爆発音が響き渡り、黄色の煙が勢いよく立ち上った。
「おっと、山田からの信号弾だね。」
円はすぐに状況を察し、辺りを見回す。
「すぐにここを離れられるよう準備だけしておこう。山田たちもすぐこっちに向かってくるだろうし、一応警戒しておいてね。」
その言葉に、皆が緊張した面持ちで身構えた。
――――――――
皆が帰宅の準備を終えたころ、ふと、地面がわずかに震えていることに気が付いた。
ゴゴゴゴ……。
「……何か、近づいてきてる?」
誰かが小さくつぶやいた瞬間——。
「ごめん! みんな! 逃げるよ!!」
突然、ドームが激しい衝撃音とともに砕け散った。粉々になった結界の向こう側には山田の姿。
その目には緊張が張り詰め、短く鋭い言葉が放たれる。
「さぁ!逃走劇のはじまりだ!」
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