成長速度
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「よし、じゃあ一旦ドームを貼りなおそうか」
円の言葉で我に返った夢月は再び大きなドームを作成した。
「いい感じだねぇ。じゃあ居残り組で自己紹介しようか!」
円の言葉で円の周りに残った人たちが集まった。
「よし、まずは私からかな?円って言います!まぁさっき言ったから流石に覚えてるか!」
「次は僕ですかね?名前は頼彦って言います。朝陽さんとは前会いましたね!あんまり戦うのは得意じゃないんですけど、知りたいことがあれば教えるんで聞いてくださいね。」
「いいか、あのイカれた山田の調査隊の人間だ。戦うのが苦手なわけないから気をつけなよ、夢月」
まったく頼彦の発言に疑問を持っていなかった夢月は、ふと彼の顔を見て、その笑顔が山田と酷似していることに気づいた。
「えっ?そうなんですか……?」
驚いたように頼彦を見つめる夢月に、頼彦は肩をすくめて笑う。
「まぁ冗談は置いといて、いつでも聞いてもらっていいからね。」
さっきまでの黒いオーラが消えた頼彦が穏やかに微笑む。夢月は少し戸惑いつつも苦笑いを返した。
「最後は、闇野ちゃんだね。ちょっと人見知りだから、これから少しずつ打ち解けていこうか」
円は黒髪の少女を見ながら代わりに紹介をした。
「あ、はい。今紹介された闇野です。人見知りってよく言われるんですけど、傷つくのでやめてほしいですね。一応大の大人なんで、自分で名前ぐらい言えますし、まぁ気遣ってくれてるの分かるので指摘しづらいんですよね。」
なんだか先ほどとは違う暗いオーラを漂わせながら、ぶつぶつとつぶやいている。
「えっと……よろしくお願いします。」
夢月は少し気圧されながらも頭を下げた。
「じゃあ夢月ちゃんも自己紹介しよっか!特訓はそのあとからだね!」
闇野の発言を完全に無視しながら、円は自己紹介を進めた。
――――――
「いい感じいい感じ!ドームの精度が高いから、より活用できるようになれば完璧だね!」
自己紹介も終わり、夢月と円はドームの扱いを磨く特訓を続けていた。
「にしても、夢月さんはすごいねぇ。僕じゃあそこまで速くうまくドームを扱えてなかったっすよ。」
少し離れたところで朝陽と話していた頼彦は、夢月の想像力操作の成長速度に驚いていた。
「そうなんだよな、ドームに関しちゃ一人前なんだ。だから、次に何を教えようかなって思ってたんだけど、身を守る技術を教えたらそれで終わりにするつもりだった。でも、なんか楽しんでるっぽいんだよな、この夢の世界。」
「なら、想像力を物に変えることでも教えたらどうです?それとも想像力の特性診断をやりますか?」
「「うわぁぁ!びっくりしたぁ!」」
朝陽の後ろに突如現れた闇野に、二人は驚きの声を上げた。
「あの制御力なら、色々やりたい放題かな?想像力の多さはかなりのものと予想できるし、どんな特性を持つんだろうな。朝陽は夢月の特性を知ってるのか?」
「いや、まだそこまではやってないが、もう少ししたら特性診断もしなきゃだよな。」
――――――――
夢月は円に教えてもらいながら、ドームの複数生成を習得していた。
「すごいね。強度をさらに上げることと、出力を上げて発射することができたら、それだけで武器になるよ。じゃあ、あの木に向かって飛ばしてみて。」
円はスポンジのように吸収していく夢月の成長を見て、次々と課題を与えていく。
「わ、分かりました!飛ばせばいいんですよね?」
そう言うと、夢月は手元の小さなドームをふわふわと前に押し出した。
「うーん、なんか違うなぁ。考え方がダメなのかなぁ……?」
一人で考え込む夢月を満足そうに見つめる円は、ふと朝陽たちの会話に耳を傾けていた。
(ふーん、まだ特性診断していないんだ。まだまだ伸びしろはあるんだねぇ。)
夢月の可能性の広がりに、笑いを抑えるのがやっとの円だった。
ドゴーン!!
突如として轟音が響き渡る。
意識が朝陽たちへと向いていたその瞬間、近くにあった木が粉砕されていた。
「あぁぁぁ!ごめんなさい!朝陽たちの会話に気を取られてて、ちょっと力んだら吹き飛ばしちゃって……制御の練習したのに、また力入れすぎちゃいました……。」
爆発音とともに立ち込めた砂ぼこりの中から、必死に謝る夢月が姿を現した。頭を何度も下げるたびに風が巻き起こる。
「あはは!やるねぇ夢月ちゃん!しっかり見ていなかった私の責任でもあるんだ!謝ってる時間があるなら、特訓しようか!」
夢月の成長速度に笑いが抑えられない円とは対照的に、朝陽たちは目の前の光景に言葉を失っていた。
頼彦は口元に手を当て、「こんな短時間でここまで……?」と息を呑む。
闇野は驚きのあまり目を細め、じっと夢月を観察する。
朝陽は腕を組みながら、小さく頷く。「……こりゃ、とんでもない才能かもしれないな。」
三人は、目の前の少女が持つ異常なまでの成長速度に、ただただ圧倒されていた。
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