爆発
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「うーん、いまいち上手くできないな……」
夢月は大の字になり、ため息をついた。頭上には薄く霞むドームの名残が漂っている。初めは順調だったものの、どうしてもドーム内を想像力で満たすことができず、時間だけが過ぎていた。
「最初から完璧にできるわけじゃないさ。むしろ、ここまで進んでるのはすごい方だよ。」
そう言いながら、朝陽はどこか安心したような表情で夢月を見下ろしていた。彼自身、初めての時は何日もかけてようやく形になったのだ。それを思えば、夢月の進歩は驚異的だった。
しかし、そのとき──
バキンッ!
突如としてドームが砕け散る。
「おお、やっておるかのう、夢月ちゃんや。」
落ち着いた声とともに現れたのは孝晴だった。彼の手元から微かに霧のような残滓が漂っていることから、どうやら彼がドームを壊したらしい。
「じいちゃん……びっくりするからやめてよ。」 「いやいや、驚かすつもりはなかったんじゃ。だがまあ、こんなに大きなドームは久しぶりに見たぞ。」
孝晴は目を細め、感心したように頷いた。
「うまくドームは作れるんだけど、中を想像力で満たせないんだよね。」
夢月は起き上がりながらそう呟く。ドーム自体の構築は問題なくできるのに、その内部を想像力で満たすとなると、どうしても上手くいかないのだ。
「ふむ、なるほどのぉ……まずは、いきなり大きなドームで練習するのをやめたほうがよさそうじゃな。広いほど埋め尽くすのが難しくなるからのぉ。あと、先に想像力の形を変える練習をしたほうがやりやすいかもしれん。」
孝晴はそう言うと、手のひらを軽くかざした。次の瞬間、淡く紫色の煙のようなものが手元に集まり、小さな球体を形成する。
「色を変える……?」
夢月はその光景を食い入るように見つめ、そして何かを閃いたかのように目を輝かせた。
「なるほど!じゃあ、やってみる!」
勢いよく飛び起きると、彼女の手元にも水晶のような透明な球体が現れた。そこへ少しずつ、紫色の煙が流れ込んでいく。
「ほぉ、なかなか見事じゃのぉ……おい朝陽、こやつ、お前より才能あるんじゃないのか?」 「じいちゃん、そういうこと言わないでくださいよ……俺、ちょっと気にしてるんですから。」
孝晴と朝陽の軽口をよそに、夢月は真剣な眼差しで球体を凝視し続ける。そして──
「……できた!」
彼女の手には、完全に紫色に染まった球体が浮かんでいた。
「ほぉ、とてつもない速さじゃのぉ。」
孝晴は驚嘆の声を漏らした。しかし、その瞬間──
ピシッ……
微かな音とともに、球体の表面にひびが入る。
「えっ──」
バキンッ!!
大きな音を立てて球体が弾け飛び、紫色の煙が辺りに広がる。瞬く間に霧のように立ち込めたそれは、視界を一気に染め上げた。
「ま、まだ完璧に操れるわけじゃないんだな……」
朝陽は思わず苦笑した。本人としては驚くべき速さで習得しているとは思うものの、やはり完璧とはいかないらしい。しかし、なぜか彼の声色には僅かな嬉しさが混じっていた。
「あああっ、ごめんなさいっ!元に戻さなきゃ……!」
夢月は慌てふためきながら、必死に紫色の煙を振り払おうとする。しかし、なかなか思い通りにはいかず、場はますます混乱していく。
そんな彼女の姿を眺めていた孝晴は、ふと口元に微かな笑みを浮かべ、ゆっくりと口を開いた。
お読みいただきありがとうございます。孝晴の提案から今後の展開がどうなるのか、お楽しみください。




