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夢幻  作者: 小枝の小指
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夢幻隊

お読みいただきありがとうございます。設定がややこしくなってきて自分でも把握できていない点や矛盾がある可能性もあるため、問題がございましたら教えていただけるとありがたいです。

「いい感じじゃないかな。ねぇ、じいちゃん。」


「ん、そうじゃのぉ。」


 朝陽の言葉に対し、孝晴はどこか上の空だった。しかし、そんな様子を気にすることなく、朝陽は夢月に目を向け、満足げに頷いた。


「まさか一日でこんなにもうまく起床ができるとは思わなかったよ。」


「なんか変な感じだよ。起きてるのに、もう一度起きるって感覚? どっちが現実かわからなくなりそうだよ……。」


 夢月は軽くため息をつきながら、ぼんやりとした表情で自分の手を見つめた。どちらが夢でどちらが現実なのか、境界線が曖昧になっていくような感覚に、軽いめまいを覚える。


「まぁ、一日で起床と降り立つ場所の指定までやるなんて、俺は思ってもいなかったよ。俺なんて十日くらいかかったかな?」


 朝陽は感心したように笑いながら言ったが、夢月の表情は晴れない。


「どれだけ頑張っても、起きるまでに一瞬時間がかかるし、精神を安定させなきゃ無理だし……これで、もし襲われたときに起きて回避とかできる気がしないんだけど。大丈夫なの?」


 不安を滲ませる夢月の言葉に、朝陽はしばし考え込むように目を細めた。そして、少し難しい顔をして答える。


「危険な状況で起きるっていう選択は、基本的に難しいな。夢月の言う通り、瞬間的に起きるのは間に合わないことのほうが多い。むしろ、焦ることで余計に時間がかかる場合もある。だから、戦うなら敵を追い払うか、時間を稼ぐことに集中するのが一般的だ。焦って無理に起きるよりも、落ち着いて対処するほうが、精神的にも安定するしな。」


「そういうことかぁ……。じゃあ、次は敵を追い払う方法を教えてくれるってこと?」


 夢月は少し不安を感じながらも、どこか期待するように朝陽を見つめた。しかし、朝陽は彼女の期待とは裏腹に、ゆっくりと首を横に振る。


「いや、まずは身を守る方法が先だ。これは簡単だけど、応用が効くから面白いんだよ。守り特化にしている人もいるくらいだからね。」


「分かった! 頑張ってみる!」


 少しずつ夢の世界に慣れてきた実感があるのか、夢月の声には先ほどまでの不安よりも、前向きな意志が感じられた。そして、ふと気になっていたことを思い出し、質問を投げかける。


「ねぇ、夢の世界で活動してる人って、他にもいるんだよね?」


 彼女の脳裏には、以前見かけた白衣の人物の姿がよぎる。朝陽と孝晴の二人だけが特別なのではなく、もっと多くの人間がこの世界に関わっているのではないか——そんな疑念が頭から離れなかった。


「あぁ、もちろんいるさ。俺らは国に雇われてるんだ。大手企業の支えとかもあったりして、今こうして活動している。」


 朝陽の口調はどこか誇らしげだった。


「俺たちの仕事は、夢の世界を平和に保ち続けること。主な依頼は、悪夢を見せないようにすることだよ。怨念とかって、夢の世界でも影響をもたらすからな。政治家なんかは特に嫌われやすいもんで、その手の悪夢をよく見るんだ。」


 夢月は驚いたように目を見開いた。まさか、そんな形で夢の世界が現実と繋がっているとは思いもしなかった。


「それで、国は夢の世界に影響を及ぼせる俺たちを監視する名目で雇ってる。こういう特殊な人を集めた団体の名前が『夢幻隊』っていうんだ。まぁ、極秘部隊だから調べたところで何も出てこないけどな。」


 朝陽は肩をすくめながら笑うが、夢月の表情はそれどころではなかった。


「……他のメンバーにも会うことになるんじゃないか? じいちゃん、夢月のためにって連絡取ってたみたいだし。」


「え、私、このままその『夢幻隊』っていうのに入隊させられるの……?」


 夢月は息を呑んだ。まさかこんなことになるなんて——単に夢の世界で身を守る方法を身に着けようとしただけなのに、気づけば自分の未来まで決められてしまうのではないかという不安が押し寄せる。


「いや、そこまではせんでええぞ。」


 今まで黙って話を聞いていた孝晴が、穏やかな声で口を開いた。


「まぁ、一応登録はしてもらうことになるじゃろうが、登録だけってやつも多いし、登録したところで夢の世界で働く気がなけりゃ関係ないじゃろうから、安心せい。」


 孝晴の言葉に、夢月は少しだけ肩の力を抜いたが、それでも不安は完全には拭えなかった。


「まぁ今日のところは一旦終わりにしよう。そろそろ起きようか」


 朝陽のその言葉により三人は夢の世界から姿を消した。

今回もお読みいただきありがとうございます。感想等お待ちしております。不定期更新となりますが次回もよろしくお願いします。

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