起き方
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夢月はふと気づくと、目の前に二人の男の人がいた。
「あれ? 朝陽が二人? いや、ちょっと違う?」
学生服と着物姿の、どこか似た二人が自分の顔を覗き込んでいた。
「む、少し混乱しておるのか。朝陽が二人に見えておるようじゃのぉ。」
「いや、じいちゃんが若い姿だからわかりにくくなってるんだよ。」
学生服姿の朝陽の言葉で、着物姿の朝陽に似た人物が孝晴であることに気付いた。
「そういうことかぁ。なら体調などに問題は無さそうじゃのぉ。」
「それもそうだな。夢月、最初の特訓だ。起きてみて。」
朝陽の言葉を聞いて、夢月は今、自分が夢の世界にいるのだと自覚した。
周囲を見渡すと、広大な平原が広がっていた。所々に、白いかまくらのような光を放つドームが点在している。
「ここが……夢の世界、なんだよね?」
夢月は、現実世界との違いがよく分からず、戸惑いながら尋ねた。
「そうじゃ。ここが夢の世界じゃ。じゃから、起きることができるはずなんじゃが……分かるかのぉ?」
夢月は、すでに起きている感覚なのに「起きる」という行動の方法が分からずにいた。
「まぁ、焦らなくて大丈夫だぞ。最初はそんなもんだ。起き方は人それぞれだから、教えようにも難しいんだよな、これが。」
朝陽の言葉に、夢月は少し落ち着きを取り戻した。
いろいろと試行錯誤する夢月を見ながら、孝晴が声をかけた。
「起きた時、体が動かず焦るかもしれんが、安心するんじゃぞ。麻酔のようなもので眠らせておるから、時間が経つまで動けんのじゃ。時間まで暇じゃろうから、また眠ってこっちの世界に来ればよい。」
「分かった!」
力強く返事をした夢月は、精神を落ち着かせた。呼吸を整えながら、自分の存在を確かめるように手を握ったり開いたりする。身体の輪郭があいまいなような、どこか不安定な感覚が残る。だが、恐れずに受け入れようと決めた。
――――――――
少し時間が経った頃、孝晴と朝陽は組手をしながら時間を潰していた。
「にしても、夢月ちゃんも制服なんじゃのぉ。なんでみんな制服姿なんじゃ?」
「そりゃ、ほぼ毎日来てるんだからしょうがないってことよ。」
そんな話をしながら組手を続けていると、突如として夢月の気配が消えた。
「む? 無事に起きれたかのぉ?」
「そのようですね。無事に戻ってこれるといいですね。」
――――――――
気づくと、暗闇が広がっていた。
(あぁ、起きたのか。本当に体が動かないや……)
全身が鉛のように重く、まるで自分の体ではないような感覚だった。指先を動かそうとするが、微動だにしない。思考だけが鮮明に働き、目だけが開いていることを自覚する。
(これが孝晴さんの言っていた状態か……)
焦りそうになる気持ちを必死に抑え、深呼吸するように意識を落ち着かせる。呼吸ができているわけではないが、そうイメージするだけで少し安心できた。
(……もう一度戻ろう)
そう思った瞬間、意識がふっと遠のき、再び夢の世界へと向かっていった。
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