表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻  作者: 小枝の小指
16/26

起き方

不定期更新で申し訳ございません。

夢月はふと気づくと、目の前に二人の男の人がいた。


「あれ? 朝陽が二人? いや、ちょっと違う?」


 学生服と着物姿の、どこか似た二人が自分の顔を覗き込んでいた。


「む、少し混乱しておるのか。朝陽が二人に見えておるようじゃのぉ。」


「いや、じいちゃんが若い姿だからわかりにくくなってるんだよ。」


 学生服姿の朝陽の言葉で、着物姿の朝陽に似た人物が孝晴であることに気付いた。


「そういうことかぁ。なら体調などに問題は無さそうじゃのぉ。」


「それもそうだな。夢月、最初の特訓だ。起きてみて。」


 朝陽の言葉を聞いて、夢月は今、自分が夢の世界にいるのだと自覚した。


 周囲を見渡すと、広大な平原が広がっていた。所々に、白いかまくらのような光を放つドームが点在している。


「ここが……夢の世界、なんだよね?」


 夢月は、現実世界との違いがよく分からず、戸惑いながら尋ねた。


「そうじゃ。ここが夢の世界じゃ。じゃから、起きることができるはずなんじゃが……分かるかのぉ?」


 夢月は、すでに起きている感覚なのに「起きる」という行動の方法が分からずにいた。


「まぁ、焦らなくて大丈夫だぞ。最初はそんなもんだ。起き方は人それぞれだから、教えようにも難しいんだよな、これが。」


 朝陽の言葉に、夢月は少し落ち着きを取り戻した。


 いろいろと試行錯誤する夢月を見ながら、孝晴が声をかけた。


「起きた時、体が動かず焦るかもしれんが、安心するんじゃぞ。麻酔のようなもので眠らせておるから、時間が経つまで動けんのじゃ。時間まで暇じゃろうから、また眠ってこっちの世界に来ればよい。」


「分かった!」


 力強く返事をした夢月は、精神を落ち着かせた。呼吸を整えながら、自分の存在を確かめるように手を握ったり開いたりする。身体の輪郭があいまいなような、どこか不安定な感覚が残る。だが、恐れずに受け入れようと決めた。


 ――――――――


 少し時間が経った頃、孝晴と朝陽は組手をしながら時間を潰していた。


「にしても、夢月ちゃんも制服なんじゃのぉ。なんでみんな制服姿なんじゃ?」


「そりゃ、ほぼ毎日来てるんだからしょうがないってことよ。」


 そんな話をしながら組手を続けていると、突如として夢月の気配が消えた。


「む? 無事に起きれたかのぉ?」


「そのようですね。無事に戻ってこれるといいですね。」


 ――――――――

 

 気づくと、暗闇が広がっていた。


(あぁ、起きたのか。本当に体が動かないや……)


 全身が鉛のように重く、まるで自分の体ではないような感覚だった。指先を動かそうとするが、微動だにしない。思考だけが鮮明に働き、目だけが開いていることを自覚する。


(これが孝晴さんの言っていた状態か……)


 焦りそうになる気持ちを必死に抑え、深呼吸するように意識を落ち着かせる。呼吸ができているわけではないが、そうイメージするだけで少し安心できた。


(……もう一度戻ろう)


 そう思った瞬間、意識がふっと遠のき、再び夢の世界へと向かっていった。

お読みいただきありがとうございます。感想等よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ