一歩目
エピソードタイトルの大幅変更を行います。
「ふぅ、危なかったぁ」
夢月はホッとしつつも、口元についた米粒に気づかない。
「夢月、口元」
由紀が後ろから指摘し、夢月は慌てて口を拭った。
「夢月、何があったの?」
こそこそと探りを入れる由紀の声に、夢月は戸惑いながらチラリと朝陽の方を見た。
隣で朝陽がじっとこちらを見ている。まるで「余計なことは言うな」とでも言いたげな鋭い視線だ。
「ま、まぁ由紀の思う通りだよ」
曖昧に笑ってごまかす夢月に、由紀は「ほほぉ〜」と怪しむような表情を浮かべたが、それ以上は何も言わなかった。
一方の朝陽は、そのまま眠る体勢に入る。
(あぁ、早く授業終わってくださいよぉ……)
夢月は由紀のキラキラした視線をひたすらかわしつつ、一日を終えた。
――――――――
ついに放課後を迎え、教室には解放感が漂う。
「今日で授業も終わり、明日から夏休みだな。今年受験なんだから、毎日勉強しろよ」
担任の声に、教室のあちこちでため息や「はーい」といった気の抜けた返事が返ってくる。
浮足立つクラスメイトたちをよそに、夢月は机の下でこぶしを軽く握りしめていた。
(夏休みの間に、強くならなきゃ……)
「気合を入れるのはいいが、もう少し気楽にいったほうがいいぞ」
横から朝陽が声をかけてきた。
「うん、わかってる。でも今日から頑張っていくよ」
力強く答える夢月に、朝陽は微かに笑う。
「じゃあ、俺の家に行こうか」
二人は荷物をまとめ、静かに教室を後にした。
放課後の夕焼けが、彼らの背中を照らしていた。
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