1話 私が初めて死を意識した日 (挿絵あり)
「あぁ、ポノコちゃん…ボクの精液全部受け止めて」
「やめてえ、ああん、ゴムしてないのにぃ…」
「そんなの知らないよ…!あ、イクゥ!!」
「はぁ…はぁ…気持ちよかったぁ…」
「ボクもだよ…ポノコちゃんの身体最高だった…」
「私も気持ちよかったよぉ。」
「はい、これ、今日のお礼だよ。」
「やったぁ…!」
「またよろしくね…ポノコちゃん」
「・・・」
「ポノコちゃん?」
「おい、テメェ、なんだよこのしけてる金額は。」
「え?いや、約束通りの額だけど…」
「中に出しただろうが。」
「そ、それは勢いで…」
「私が妊娠したら責任取れるのか?」
「そんなのボク知らないよ…」
「あっ、そうだぁ!このことカエデさんに言っちゃおうかなぁ?」
「な、なんでキミがカエデさんの事を知ってるんだ!?もしかしてボクのスマホ見たのか!?」
ポノコは自分のスマホを取り出して見せた。
「もう私の電話番号に登録してるからな、今すぐ電話かけてやれるぞ?テレビ電話にしちゃおっかなー。」
「お前…大人を舐めるのも大概にしろよ!」
男が殴りかかってきたが、ポノコは隠し持っていたレンガを即座に取り出し、男の鼻に叩きつけ、レンガの角で腹を3発殴った。
全裸で倒れた男の姿を写真に撮る。
「なっさけなぁーい。」
「こんなの…傷害罪だ…通報してやるぞ…」
「ふーん?そしたら警察には私のことなんて話すの?」
「正直に話すさ…」
「じゃあ今の写真カエデさんに送っちゃうね。これでお見合いは破綻だねえ。」
「それだけはやめてくれ!!」
「私のこと通報したら多分この写真も見られるよ?あなたの立場は」
「わかった!わかった!もっと払うよ!!いくら欲しいんだよ!!」
ポノコは札束を数えながら道を歩く。
「私妊娠なんかしないのにこんなに払っちゃって…男ってマジで馬鹿で草。このお金で何買おうかなぁ?」
手元を見てると、つい自分の胸元に目が行き、平らな胸を撫でる。
「・・・・、デカくしたらやっぱもっと稼げるかな、でも界隈じゃ見破ってくるおっぱいソムリエもどんどん増えてるとも言われてるし…どうしよう。私童顔だし、ロリコンにはウケがいいのよね。」
すると突然、あたりが暗くなる。
「あれ?この道こんな暗かったっけ?」
見渡すといつも見えていたビル群が見えず、道路や住宅も周囲になかった。あるのはただの地面と暗闇だけ。
「あれ?なにここ?」
「皆の衆、少々驚かせてしまったかな。」
上空に鬼火のように浮かぶ、青白い巨大な頭蓋骨が現れ、ポノコは驚愕する。
「な、なによあれ。」
大勢に話しかけるかのように、どこか遠くを向きながら骸骨は口を動かす。
「お前たちはデスゲームの参加者に選ばれた。デスゲームがなんなのかは説明せずともわかるよな?」
「ひいぃ、なんかあれ怖い…!」
身を隠そうと辺りを見回すが、周囲はただ暗闇が続くだけ。
「ルールはとても簡単、東京都内に在住する参加者を探し出してもらい、殺すだけだ。期限は3ヶ月。」
するとポノコの左の手の甲が青白く発光し、何かの顔のマークがタトゥーのように黒く現れていた。
「何これ…馬?」
「今お前たちの体のどこかにマークを授けた、そのマークは参加者同士にしか見る事ができない。そのマークを目印に相手を殺せ。」
「簡単に言うわね。」
「そのマークは動物の頭蓋骨を元に作られたマークだ、それぞれ皆違う種類の動物になっている。」
「なんで私が馬なのよ。」
「ちなみに一つ一つ私がデザインしたものだ。」
「聞いてねーし。」
「タトゥーと見間違えそうになるかもしれないが、タッチで察してくれたまえ。そして、いかんせん参加者は多くてな、マニアックな動物になっちゃった人もいてなんの動物かわかりにくいと思うからあとでステータス表にマークのモデルも記載しておく。」
「ステータス表?」
「ただで殺し合えとは言わない、参加者全員に特殊能力を渡す。その能力を駆使してくれたまえ。一人一人口頭で発表するのもめんどうなんで、こちらもあとでステータス表を確認してくれ。」
「最初はあの骸骨怖かったけど、なんか馬鹿にしてる態度がだんだん腹立ってきたわね。」
「そして、このマークが刻まれたデスゲームの参加者は、死んでも遺体が残らず灰化する。間違えて一般人を殺すと面倒な事になるから気をつけるように。警察に捕まる、東京都から大きく離れるなど、殺し合いが完全に不可能な環境下に入ったと私が見なした人間も灰化するので行動は慎重に。」
「言い方がなんか曖昧ね。」
「そして最後に、お待ちかねのセリフを、この殺し合いで最後の1人になったものは願いを1つ叶える権利が与えられる!3ヶ月後の7月31日までに複数人生き残っていた場合は願いが叶わず全滅だ。さあ、ふるって殺し合いたまえ!!」
そしてあたりの景色が戻った。左手の甲を確認すると、やはり馬のようなマークがある。
「夢ではなさそう?そいえばステータス云々とか言ってたけど、どうやって見るのよ。」
ポノコはネット小説でお決まりのあのセリフが頭に浮かぶ。
「ステータスオープン!!」
そう叫んだが、何も出て来なかった。
「ど、どういうことよこれ。」
実感のわかぬまま自宅アパートへ帰ると、ドアポストの中に封筒が入っていた。
中身を開けるとそこにはステータス表と書かれた身分証風のカードが入っていた。
「いやいや、アナログすぎるって。」
カードには自分の名前、マークのモチーフ、そして能力が書かれていた。
「陸藻ポノコ、モチーフはオカピ、能力は超絶身体。」
・・・、このマーク馬じゃなかったんだ!?」
裏面を見てみると能力の説明が書かれていた。
「超絶身体、常時発動型の能力。通常の人体を遥かに凌駕する身体能力を持つ。それに伴い肉体も頑丈。」
ポノコは違和感に気づいた。
「そいえば、私のバッグ、全然重く感じなくなってる!?」
ポノコのバッグはレンガなどの護身用グッズが色々入っており、かなり重かったのだ。
ポノコは床に置きっぱなしにしていた皿をキッチンに起き、素手で叩き割ってみる。
「嘘…」
軽い力で簡単に割れ、破片を握ると痛みを感じずに粉々にしてしまった。
これまで全て漠然と非現実的だったが、それでありながら全てが現実である事を実感する。
「私、本当に殺し合いをしなきゃいけないの?」
「死にたくないよ。」




