表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛と悲しみのカルーラ  作者: ねこまんまときみどりのことり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/44

愛と悲しみの果てに (脚本ほぼ調整前)

 かずさは、脚本を考えていた。


 日本にいた時に家族と観た映画『愛と悲しみのカルーラ』は、ほぼこちらの世界のカルーラ・ドンマインの話だ。

 勿論、異世界転移前のカルーラの話である。


 ここで軽めに、物語の起承転結を説明。



 ☆まず『起』。

 カルーラが買い物から帰る途中、怪我をして踞る老齢の夫人(リンダ夫人)を見かける。

 転倒して膝を痛めた夫人を、彼女はハンカチを濡らして傷を洗浄し、「早く良くなるように」と思いを込めながら、別のハンカチを裂いて包帯のように巻つけた。


 すると夫人の患部が光り、傷を治癒していく。

 その後教会で認められ、聖女となってしまうのだ。


 カルーラは肩までの茶色の髪と瞳を持つ、いつも微笑んでいる愛らしい娘だった。



「素晴らしいわ。貴女こそ優しくて気高い、本当の聖女よ!」


 実はその老齢の夫人は、他家への影響力がある前侯爵夫人であり、感激した彼女は多くの謝礼を彼女に渡し、さらにその善行を多くの者に広めていく。


 その現場を見ていた一人が、サム・ロンベサール伯爵令息(見目麗しく紫の髪と金の瞳を持つ)で、彼は「聖女なら丁度良い。俺に似合うだろう」と、一方的にカルーラとの婚約を結ぶことに。


(可愛いし、誰とも知らぬうちに手当てをしていた、優しい女性だ。好きだ!)

「王子様みたいに綺麗なサム様。でも私は平民なのに……」


 美しいサムに好意を抱いていたカルーラだが、彼の冷たい態度や彼女を平民と馬鹿にしてくる、貴族達との付き合いに閉塞感を感じていた。


 特に侯爵令嬢のアクアリーネは、マリンに好かれており、一緒になってカルーラを貶した。

 彼女はサファイアのような、透き通った青い瞳と深紅の艶髪を持つステータス高き才女。


 それに比べカルーラは、礼儀作法や貴族教育をいくら頑張っても、マリンに叱責を受けるばかりで心が壊れていく。


「だから平民なんて、ダメなのよ。挨拶一つ身に付かないんだから。それに比べてアクアリーネ嬢は、なんて素晴らしいのかしら」

「カルーラ様は、もっと頑張って下さらないと。サム様が恥をかくことになりましてよ。ふふふふっ。

 あらっ、ごめんなさい。急に眩暈がして、貴方のドレスに紅茶をかけてしまったわ。ごめんあそばせ」


「良いのですよ、アクアリーネ嬢。その方がカルーラに似合ってますから」

「そ、そんなこと。あら、本当ですわね」

「そうでございしょう、おほほっ」


「(悔しい。けれどまだ知識の足りない私では、何も言い返せない……)ドレスが汚れましたので、今日は失礼致します」 


 習ったばかりのカーテシーも、体が揺れてうまくいかず、失笑されることに。


 彼女が婚約者教育を受ける名目で通う伯爵家から戻る時は、いつも泣きそうな顔だった。そして今日はドレスも茶色に染まり、頬には涙の後があった。


 見かねたカルーラの両親が婚約解消を打診するも、「聖女との婚約は名誉なので、このまま続けて欲しい」と、サムの父である伯爵シエンタに言われれば、断れない状態だった。


 本当は一目惚れだったサムだが、照れ屋な彼は好意も伝えぬまま、その後も威圧的にカルーラと関わっていく。


 それを見て歓喜したのが、彼の婚約に反対していた母マリンである。

「どうせ勢いで婚約してしまい、今になって後悔しているのでしょう。後の処理は、この母に任せて頂戴。おほほっ」


 マリンは、二人を引き離すことにした。



 ☆そして『承』。

 マリンは侯爵令嬢の家柄である、アクアリーネ・アクセランテとの婚約を目論んだ。

 彼女の父ビルネールは、お金の為に(アクアリーネ)をロンベサール伯爵家に嫁がせることに同意する。

 生家で不遇な状況であるアクアリーネは、父の言うことに拒否権はなく、サムと結婚すれば人並みの幸せを得られると思い、愛はないままにサムにアタックを繰り返す。


「私ならば、完璧に貴方をサポートできますわ。愛しています、サム様。どうか私を選んで下さい(父は愛人母子しか目に入っていない。ここで次期伯爵夫人となるしか、私に生きる道はないの)」


(彼女(アクアリーネ)は俺の地位しか見ていない。やっぱり俺にはカルーラしかいないんだ!)


 さらにサムの妹サフランも、天真爛漫でみんなに好かれるカルーラが気に入らない。


「平民女なんかに、お兄様は渡さないわ。虐めてやるんだから!」


 愛する兄の関心がカルーラに向くのを嫌い、貶める為に、自分の取り巻きをカルーラに向かわせた。

 サムがいながらはしたないと誹謗中傷し、淫乱だと嘘の噂を流し、アクアリーネの取り巻き令嬢からは暴力暴言を受け、後日には強姦未遂事件も起こった。


 何とか強姦未遂を防げたカルーラ。

 彼女は聖女の力により、全力で自らを数秒間発光させ、相手の目が眩んだところを、やっとの思いで逃げ出したのだった。


「もう、嫌だ。どうしてここまでするの。貴族なんて……うっ、ぐすっ、サム様なんて、庇ってもくれないのに……解放もしてくれないし……ばかぁ。でも嫌いになれないのはどうして……うぇ~ん……」



 悪いことは重なり、カルーラの両親は乗車中の馬車が横転し、腕や足の骨折する大怪我を負う。

 しかしそれは、アクアリーネの父ビルネールの罠だった。

 彼は殺害工作をする者を使用人として、ドンマイン家に潜り込ませ、馬車の車輪に細工をしたのだ。

 さらにカルーラの弟であるレノアにも、パーティーで男爵令嬢を襲ったと強姦騒ぎを立てられ、捕まってしまう。それもビルネールの罠だった。




 ☆さらに『転』

 カルーラは全てに絶望していた。

 聖女の力で家族の怪我を治し、サムが訴えたことでレノアは釈放された。


 それでもサムを信じきれないカルーラは、家族と相談し他国に逃げようとしていた。

 家族も彼女のことが大切だったので、代々受け継いで来た商会を仲間に売却し、準備を整えていく。


 そこへ現れたサムとリンダ夫人。


「ごめんなさい、カルーラ。私が貴女が聖女だと騒いだばかりに……。でも安心して、これからは全力で貴女を守るから」

「……夫人は悪くないですわ。感謝も謝礼も頂いたのですから……。お言葉だけでありがたいことです」


 ドンマイン一家は、深く頭を下げた。

 そんなこと言わないでと、呟くリンダ夫人。



 そしてサムも……。

「カルーラ、俺はお前が好きだ。お前しかいらないから、傍にいて欲しい。他国に行くなら、俺も一緒について行く。

 愛しているから、離れたくないんだ!」


「今さら、何だよ。さんざん放置して姉さんを泣かせたくせに。信じられないんだよ!」


「すまなかった。全ては意気地がない、俺のせいだ。でもこれからは守ると誓うから、許してくれないか?」



 プライドの強いサムに頭を下げられ、ドンマイン一家は絶句した。それほどまでに、今までとの態度と違っていたからだ。


「カルーラはどうなんだ。俺はこんな男に娘を託せない、託したくない! 今まで助けなかったくせに! でも、お前の意見はどうなんだい? このまま別れて良いのか?」


 ヴォクシアはカルーラの意見を尋ねた。

 どんな決断でも、娘が後悔しないように従おうと思ったのだ。


「わ、私は、私は、サム様が好き、好きなの……。お父さん、お母さん、ノア、ごめんなさい、ごめんなさい……

 少し、話をさせて…………」


「良いんだ。お前も苦しかったね」

「ああ、カルーラ。分かったわ。決着をつけなさい」

「姉さん。謝らないで良いんだ。僕はいつも一番の味方だよ」


「ありがとう、みんな。気持ちに折り合いを付けてくるよ」


 そして二人は話をした。

 彼女が望んだのは、名誉の回復だった。

 即ちそれは、マリン、ルフラン、アクアリーネ、ビルネール達の断罪だった。



「それでも良いのですか? サム様。私の願いは貴方の家族の破滅なんですよ!」


 苦しげな顔をしながら、サムは答える。

「当然のことだよ、君を苦しめてきたのだから」


 サムはカルーラの両手を強く握りしめて、「今まで済まなかった」と俯いて呟いた。

 握られた手には彼の涙が流れ落ち、カルーラも悲しさが溢れた。


 カルーラにきっぱりと伝えたサムは、リンダ夫人と協力してマリン達の罪の証拠を揃えていく。




 ☆最後に『結』

 貴族は信じられないと諦めていたドンマイン一家だが、希望の通りに彼らの罪が裁かれることになった。

  

 ただ貴族が平民にしたことの為、重い罰は与えられなかった。

 ただただ、行った事実が公表され罰金の指示が出された。


 罪の公表だけで、貴族の間では十分に醜聞となる。

 周囲の貴族からは「やるにしても、平民相手にもっとうまく出来なかったのか? 隠せなかったのか? 揉み消せなかったのか?」と、手腕が悪いことを貶められ、嘲笑われた。


 勿論行為そのものも、嫌悪する者も多かった。



「サム、どうして母を裏切ったの? そんなに憎かったと言うの?」

「母上は間違っていたのです。これが貴族相手なら、今頃死罪でしたよ。どうか反省して下さい」

「嫌よ、一番貴方のことを愛していたのに、酷いわ……うっ、うっ」



「お兄様は私が嫌いだったの? 酷いわ。もうお嫁にも行けないじゃない」

お前(ルフラン)のことは大事だよ。でもカルーラのことも大事なんだ。だから……悪いことをしたと謝罪して欲しい」

「ぐすっ、嫌いよ、もう、大嫌い!!!」



 アクセランテ家でも。

「醜聞の付いたお前(アクアリーネ)は、もう後妻にしか嫁げない。1か月後に、仕度金のいらないご隠居に嫁ぐことになった。

 うまくやれれば儲かったと言うのに、今回は大損害だ。

 ああ、結婚式はしないから、老人介護と思って働くんだな。

 もう戻って来るなよ」


 父の冷たい言葉が胸に刺さるが、もう覚悟は出来ていた。彼女もサムに嫁げなければ、令息に付きまとったことで普通の婚約や結婚は無理だと思っていたから。

 平民虐めの醜聞など、ただのおまけなのだから。


「はい、分かりました」


 そう言って、部屋を後にするアクアリーネ。

 彼女は何処に行っても、矜持を持って生きるだろう。

 ただ今回は賭けに破れただけなのだ。



 ビルネールはドンマイン家の馬車の事故と、レノアに強姦の容疑を着せた為、かなり多くの罰金刑を課された。


 アクアリーネの父の愛人ミルティア、義妹ウォンディーヌとサリヤは彼女(アクアリーネ)の結婚を嘲笑ったが、いつの間にかアクアリーネが家族に虐められていたことも、噂として流れていた。

 さすがに愛人の子を正妻の子だと偽っていることはでなかったが、彼らに不安が過ったのは言うまでもない。


「使用人には厳格に口止めしている。漏らしたら酷い罰があることも知っているはずだ。だとすれば、もっと高位貴族からの漏洩か? さすがにウォンディーヌ達のことは大丈夫だよな? これが漏れれば、どんな罰が下されるか分からんぞ! 怖すぎる!」


 調査したリンダ夫人は知っていたが、他の貴族も少なからずあるようなので、これ以上混乱を招くことしないつもりだ。

 反省しないビルネールの、抑止になれば良いと思っていた。


 平民であるも聖女を害した二家は、神殿からは敬遠された。家族に迫害されていたアクアリーネは、伯爵家に嫁ぐ為に父親に命じられたのだろうと、憐れまれることに。


 アクセランテ家に残った娘達は、性悪であると囁かれて求婚者が現れず、望むような結婚は出来なかった。




 そしてサムは父シエンタと相談し、次期後継者をジムニーに譲ることになった。

 後継者問題を避ける為に貴族籍を抜き、ドンマイン一家と隣国へ移住したのだった。


 移住後にそれを知ったマリンは、半狂乱でサムと叫び、ルフランは悲しくて涙した。

 シエンタは婚約を強制したことを後悔し、他に方法がなかったのかと思考を巡らせた。



 最終的にサムとカルーラは、多くを語り合い愛を深めた。俺様の様は霧散し、ただ愛を囁く男が誕生したのだ。


 ドンマイン一家は名誉を回復し、混乱を避ける為に生まれた地を離れた。きっと新しい毎日が待っているだろう。


 サムは高等教育は受けてきたが、商売は門外漢だったので、これから頑張ることになるだろう。でも彼には、愛するカルーラが傍にいる。


 ドンマイン一家にも土下座して、何とか受け入れて貰えたが、平民として暮らすこれからは、きっと大変だろう。


 けれど諦めなければ、いつか成功を掴めるはずだ。



「愛しているよ、カルーラ。もう離さない」

「私もです。サム様」

「サムと呼んでくれ、頼む」

「……分かりましたわ……サム」

「ありがとう。これから頑張るぞ、カルーラ」

「はい! 私も頑張ります」


 強く抱きあう二人は、幸福の中にいた。


 人生は、楽しいだけではないだろう。

 だが二人が選んだ道は、いつも温かな笑いに包まれていた。


《おわり》




「うん、映画を観たままじゃ使えない。実在のサムとカルーラもなんか違うし、やっぱり小説とか映画とは違うよね。

 これでもかなり修正したけど、名前もそうだけど聖女の部分も変えなきゃ。傷を治すなら、医者とか薬師が良いかな?

 でも医者と薬師で、貴族が嫁として欲しがる?

 貴族じゃなくて、富裕層か下位貴族にする。


 あー、どうするかな?」



◇◇◇

 カルーラはまだ、悩んでいるみたいです。

 現在演者達は、発生練習などをしているところです。

 華さんは最後席を借りきって、優雅に観覧する計画を立てているので、声は大事なのです。


 拡声器はあっても、ピンマイクはないのでした。

 魔道具で作られたマイクは、辛うじてあります。




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ