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愛と悲しみのカルーラ  作者: ねこまんまときみどりのことり


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リンダの後継者候補

「リーネ、カルダゴフ語は覚えたかしら? 来週にはイザベラと組んで、フィギュアの売り込みに行って貰うわよ」


「はい、大丈夫ですわ。でも私が夫人の代理で出席なんてして、良いのでしょうか?」


「ふふふっ。貴女だから良いのよ。思う存分魅力を振りまいて、たくさん注文をブン取って来て頂戴。

 お給金は弾むわよ」


「そ、そうですね、頑張りますわ。でも魅力なんて、私にあるのかしら?」


「まあまあ、このお嬢さんは! 過ぎた謙遜は嫌みになるわよ。そんな時は取り合えずニッコリ微笑んで、ありがとうございますと言ってね」


「謙遜なんて、そんな。でも分かりましたわ。 “ありがとうございますですね”。やってみます!」


 リンダはアクアリーネに徹底して教育をし始めた。

 彼女(リンダ)が教える以外にも専門的な講師達を依頼し、王太子妃よりも専門的な分野を学ばせていた。

 ティンクミリィにも共に学ばせるが、アクアリーネだけが学ぶ分野が圧倒的に多かった。


 アクアリーネにしてみれば、「自分には不足な点が多いから、ミリィより学ぶことが多いのね」と思うのだが、彼女以外は気づいている。

 あの多量の学習を熟せる者はそうはいないと。

 ティンクミリィは、自分には無理だときちんと認識していた。


 一度聞いて理解し、その知識を別の情報に繋げる力を持つ能力は、今までの積み重ねの賜物だった。

 常にヒリヒリした環境で、いつ妹達の邪魔が入り学習が中断されるかもしれないという危機から、情報処理能力が発達していたのだ。

 元より優秀であるのは勿論であるも。


 それを知ったリンダの教育は加速していく。

 そしてワクワクとその様子を楽しむのだ。

 様子を見ながら無理のないように観察するも、未だ限界にはないようで、彼女はスマートに吸収していく。


 それには講師も舌を巻いていた。


「彼女への教育は秘密裏に行っていますが、この頭脳は国の財産です。

 既に王太子教育のレベルは越えていますわ。

 博士レベルの専門的な分野にも入りかけています。

 リンダ夫人、貴女は彼女をどうするおつもりですか?」


 ある女講師が、リンダに訪ねたことがある。

「その答えはまだ言えないわ」と、微笑むリンダだった。



 今回は内定ではなく、売り込みだ。


 以前の銀行内偵での処罰で、見逃すくらいの小さな悪さをしている職員は、勝手に更生しだした。

 少額の横領やソフトセクハラをやらしている者達は、お金を返したり女性達に詫びを入れたりしていた。

 粛清の前に改心してくれれば面倒はない。

 それに責任を問われる上司達も、以前よりも目を光らせてくれているらしい。




「リンダ様。若い人を苛めてはいけませんわ。真面目な子なんですから」

「あら、イザベラ。私は苛めてなんてないわ。

 期待しているだけ。何しろ、うふふふっ。

 あー、楽しいわ~」


(それだけ意気込んでいるのだわ。私も微力なりに力にならねば)と、アクアリーネもやる気だ。


 今回もメイクをし、アクアリーネだと気づかせることなく代表であるリンダの代理として、魅力を際立たせる肩を出したセクシードレスで参加する予定だ。


 戦闘能力の高いイザベラが付き添うので、滅多なことは起きないだろう。

 けれどなるべく手は貸さず、アクアリーネだけでさばくことが今回の裏テーマだ。


(商談なんて失敗しても良いの。今はただの練習の場よ。これからもっと強かに、海千山千を経験して貰うのだもの)


『貴女こそ、私の後を継ぐものよ!』



 アクアリーネの同意もなく、勝手に決めたリンダ。

そのことに彼女(アクアリーネ)は、微塵も気づいていないのだった。




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