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愛と悲しみのカルーラ  作者: ねこまんまときみどりのことり


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19/44

ジムニーの涙

2/5 8時 誤字報告をありがとうございました。

まさかこんなにとは。大変助かりました(*´∀`)

 ルフランはジムニーの職場に赴く。

 

 ジムニーからシエンタに、除籍しても良いと手紙が来たが、そんなことは勿論されていない。

 名実共にルフランとジムニーは兄妹だ。


「お兄様。こんなところにいたのですね。

 …………心配しましたよ」


 連絡なしに訪れた妹に、ジムニーは困惑した。


「ルフラン…………。どうしたんだ、ここに来るなんて。  

 何かあったのか? まさか、また父上に何か言われたのか?」


 離れて暮らしても、共に育った妹が気になるジムニー。

 ルフランの計画が失敗して自らドンマイン家に乗り込み、ミイラ取りがミイラになった(ジムニー)だが、妹のことは今でも大切に思っている。


 彼は妹を伯爵家に残してきたことだけが、心残りだった。

 ジムニーと顔を合わせた途端、急にホロホロと泣き出したルフラン。


「お、お兄様はもう、私が嫌いになったのね。

 だから私だけ置いて行ったのでしょ?」

「違う。違うぞ、ルフラン。

 確かに僕は家を出たが、それは本当にやりたいことが出来たからなんだ。

 僕はもう伯爵家に行けないが、お前からならいつでも遊びに来て良いんだぞ!」


 ややいつも強気の妹の涙に混乱し、わたわたするジムニーは、妹のことが大事なのだろう。


 応接室にいる2人に、たまたまドラゴン姉妹の件で相談に来たかずさ(カルーラ)がお茶を出しに現れた。


 コンコンッ。

「失礼します。お茶をお持ちしました。

 あらっ、ジムニーさんの妹さんですか? 

 いらっしゃい」


 ジムニーは身分を平民と偽ってレストランに潜入したので、水樹(レノア)もかずさ(カルーラ)も彼を平民だと思っている。

 彼の妹だから、ルフランも平民だと思われているのだ。


 以前に水樹(レノア)に声をかけてきたルフランだが、ジムニーの妹で本当に仕事を探していたんだと思い直した水樹(レノア)は、偏見をなくしていた(面倒くさいのでなくすことにした)。

「きっと何かあれば、あいつ(ジムニー)が何とかするだろう」と、開き直ったのだ。


 それに本当のレノアも、ルフランに(もジムニーにも)会ったことがないから、身元に繋がる手がかりはなかった。



「えっ、貴女はカルーラ…さん。どうして此処にいるんですか?」

「えっ! 私のこと知ってるの? 照れるなあ」

「それはそうですよ。クレヨンや絵の具を開発し、漫画やイラストを広めた第一人者ですからね」


 何となく身分を隠そうとするジムニーと、今は正体を隠した方が賢明だと思い直すルフラン。

 本当のカルーラも、直接サフランと顔合わせはしていないのでバレることはなかった。


(この女のせいで私がお父様に見捨てられたら、年上の成金爺に嫁がされるかもしれないのに。

 何のん気に笑っているのよ。

 一人だけ幸せそうな顔をして。

 サムお兄様に婚約破棄された癖に…………。

 何で少しもへこんでないのよ…………。

 ふぇーん)


 感情が高まり再び泣き出すルフランに、かずさ(カルーラ)は驚いて声をかけた。


「大丈夫? きっとお兄さんが家からここの寮に入って、寂しかったのね。

 仲が良かったらそうなるわよね。

 でもいつでも来れば良いのだもの。

 泣くことないわ」


 ハンカチをルフランに渡し、親身に声をかけるかずさ(カルーラ)に、余計に嗚咽が強くなるルフラン。


「ど、どうして、ヒック、そんなに優しいの? 

 わ、私、私は(貴女が嫌いなのに)…………」


「ヨシヨシ、辛かったね。泣いても良いんだよ。

 これからも遊びにおいで。

 それに私で良ければ、いつでも頼ってくれて良いからね」


 朗らかに微笑むかずさ(カルーラ)は、咄嗟に彼女を抱きしめて「大丈夫だよ。もう寂しくないからね。お兄さんに会えて安心したね」と慰めた。


「なん、なんで、そんなこと言うの? 

 えぐっ、ひぐっ、うぅ、わ、私は貴女を(貶めるつもりだったのに)…………」


 理由など見つけられないかずさ(カルーラ)だが、いつも見慣れた水樹のフィギュアに似ていたからだろうか?

(なんて可愛いのかしら? こんな子が現実にいるなんて、至福過ぎる~♡)


 心のままに手を差し伸べたかずさ(カルーラ)の手を、ルフランは振り払うことなく受け止めた。

(なんて良い人なのかしら。サムお兄様が好きな理由が、少し分かった気がするわ)


(良かったな、ルフラン。

 そうか、ずっと寂しかったんだな。

 気づいてやれなくて済まなかった。

 僕も忙しくてあまり構えなかったし。

 侍っていた男達は、お前の心を支えられなかったようだな。

 それにしてもさすが聖女のカルーラさんだ。

 一瞬で妹の心を掴んだみたいだし、それに美しいな)


「カルーラお姉様と呼んで良いですか?」

「ええ、勿論よ。サフランさん」

「…………ありがとうございます。

 嬉しいです。うえ~ん」


 2人を見て、不覚にも涙が溢れたジムニー。

(ああ、ルフラン。これからは僕もお前を守るよ)


 こうしてロンベサール伯爵家の兄妹2人が、ドンマインファミリーへ仲間入りしたのだった。




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