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愛と悲しみのカルーラ  作者: ねこまんまときみどりのことり


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ドラゴン姉妹、水樹の転移に気づく

「何とか期日に間に合ったな。

 我がフィギュアメーカー『ドンマイン』の初の大仕事完了だ! 

 みんな、ありがとう!」


 水樹(レノア)の立ち上げた、趣味から会社になった店『フィギュアメーカー ドンマイン』は、今や熟練20名+1(ジムニー)が在籍する、誰からも認められる商会となった。


 今日は水樹とジムニーで、ミニスケールフィギュアを配達しに行く。


 ドラゴン姉妹のウミナリ(俗称:ミナさん)、ライメイ(俗称:イメお姉さま)に会いたい職員はたくさんいたが、女性に免疫のない職員ではテンションが上がり、失礼があってはいけないと言うことでこの人選。


 一応ジムニーは職員の中では一番の高位貴族なので、新人ながら抜擢されたのだった。


 たぶん受け取りは、弟のカザナミだろうけれど。


「くれぐれも失礼のないようにな」

「可能ならサインも貰って!」

「姉妹の私物欲しい~」


「無理に決まってるでしょ! 仕事なんだからね、もう」


 無理な注文やひやかす職員を笑いながらかわし、船で姉妹の住む国へ渡る。

 旅券と通行証が送られてきたので、のんびり旅行の始まりである。



◇◇◇

 日本からドンマイン家族に転移して来た水樹(レノア)は、よく知らなかったが、この時代はドラゴンは普通に存在しているらしく、伝説ではなく認知されているそうだ。


 水樹(レノア)は最初ドラゴンなんて俗称で、リングネームみたいなものだと思っていた(失礼)。

 けれど船上でジムニーに聞くと魔力の強い魔物は人化が可能で、過去にはドラゴンと人間の混血児も多くいたと話をされた。

 やはり混血児は人間よりも寿命が長く魔力も多いので、過去に敵国から国を守った英雄になる者もいたのだとか。



「貴族じゃなくてもお伽噺くらいは知っているんじゃない?」と、

 不思議そうに聞かれたけれど、残念俺は日本人。

 この世界の歴史は詳しくないのだ。

 こっちのレノアの記憶を探っても、それらしいものは見つからないから、知らないのかもしれない。

 平民にはあんまり関係のない学問?なのだろうし。


 てな感じで王宮に着いた僕らは、通行証を門番に渡す。

 すると中から、キャラウェイさんと名乗る文官のような制服を着た男性が出てきて、ドラゴン姉妹のマンションに案内するから一緒に行こうと言われて、ついていくことになった。


「遠いところご苦労様です。

 輸送して貰えば良いのだけど、姉妹関係のグッズは盗難が多くて。

 直接持って来て貰えて助かります。

 イメお姉さま怒ると怖いんで!」


「ぜんぜん問題ありませんよ。

 我が商会は高額で取り引きして頂いて感謝しています。

 本当にありがとうございます」


「僕もドラゴン姉妹のファンなんです。

 お仕事楽しかったです」

「そう言って頂けると助かりますよ」



 なんて感じで、歩いて移動すること30分。

 以前に姉カルーラとお世話になったマンションに到着した。


「あれ? 君確か、レノアだよね。

 久しぶりだけど、また姉関係? 

 こき使われて大変だね」


 金髪碧眼のドラゴン姉妹の弟カザナミが、笑いながらレノアに声をかけてきた。


「ああ、カザナミ。久しぶりだね。

 お姉さん達には仕事を貰って助かってるよ。

 でも高値で取り引きして貰って、損してないか不安だよ」


 姉に苦労させられてる同盟の2人は、気安げに言葉を交わす。

 前回の交流で意気投合していたからだ。


「そんなこと心配しなくて良いよ。

 レノアのフィギュア自体が人気だし、姉関係のグッズはすごく売れてるからね。

 時々孤児院の寄付用にオークションとかしたら、天井知らずだし。

 最悪何にもなくなっても、国防や魔石への魔力補給代として国からお金が支給されるしさ」


 さすがドラゴンだね。

 なんてさらっと流すことにした水樹(レノア)

 あの美しい2人が飽きられることはないだろうし、これからも信者が増える未来しか見えない。


 そんなことを話ながら、ドラゴン姉妹の隣の部屋へ商品を運ぶ水樹(レノア)

 この間はここにかずさと泊まり、木彫りの人形を作りまくったことを思い出した。

 商品を運び終わり、カザナミにお茶でも飲んでよと部屋へ案内される。


 そこにはメイクを終えたドラゴン姉妹、ミナさんとイメお姉さまがいらした。


「遠くまでご苦労様です。

 ゆっくり休んでいってくださいね」

「いつも美しく作って下さって、ありがとう」



 輝くオーラに、水樹(レノア)とジムニーは言葉を失った。

(至近距離やばいね。これって、ドラゴンだからなの?)

(すまん、俺には分からん。うわぁ、良い匂い。

 それに美しい。本当に美の化身だあ)


 前にも会ったのに、その迫力に吹き飛ばされそうな水樹と初見のジムニー。

 これオーラのせい?


 そしてイメお姉さまが、ふと呟く。

「あら、貴方。珍しい魂の輝きね。

 転移かしら? それにしても全く別人の記憶もあるし。

 不思議ね?」


「ちょっと、お姉さま。

 人前ではいけませんわ。

 レノアさんと個別に話しませんと」


(うわぁ、ドラゴンってすごい。

 一瞬でわかるんだ。

 たぶん前回は、こんなにゆっくり対面で座ることなかったから、気付かれなかったのかな?)


 そう今のソファーの座り席、ドラゴン姉妹が向こう側に2人。

 俺とジムニーがその正面で、お誕生日席に1人ずつキャラウェイさんとカザナミが座ってるの。

 真ん中のテーブルには、お菓子とコーヒーが置かれている状態。


 姉妹のファンが知ったら、大金を出しても譲って欲しいと言われるだろう。

 俺も今、幸せです。

 今日の2人は青と黒のニットワンピと、黒いタイツを履いていた。

 胸元は鎖骨が見えるくらい緩く、服の丈は短くて、細かい編み模様と星のような魔石が、夜空のように散りばめられている。

 楽チン部屋着みたいなものだろうか?


 完全プライベート空間だった。




◇◇◇

 そしてキャラウェイは、ジムニーをつれて外出して行った。

 残される俺とドラゴン姉弟。

 きっと話しやすいように、ジムニーを離してくれたんだろう。


「ねえ、貴方。

 貴方がいないといろいろ不便になるけど、これも何かの縁だから聞くわね。

 元の世界に戻りたいかしら?」

 イメお姉さまが妖艶な赤い唇で、俺に突然の提案をしてくる。


「え! 戻れるんですか? マジで!」

 驚く俺に、彼女達は続けた。


「私達は貴方の職人技に期待しております。

 ですがその技術を弟子の方に伝授して頂ければ、時空を繋げて送り出すことは可能です。

 私達も何でもできる訳ではないですが、幸いなことに向こうの家族と繋がる魂の片鱗が見えますので」


「そ、そうなんですね! 

 えーと、向こうと言うのは本当のドンマイン家族ですよね。

 じゃあ、生きてるんですね」


 コクンと頷く、イメお姉さま。

「勿論よ。向こうの家族も楽しそうに生きているわ。

 戻らなくても、お話してみるのも良いかもね」


「そんなこと出来るんですか? スゴいです。

 さすが伝説のドラゴン様ですね! 

 綺麗で能力もあるなんて憧れる!」

 完全に興奮する水樹に、姉弟が微笑む。


「お前の真名は水樹か。

 水と樹なんて、すごく生命力に溢れる文字だ。

 良い名だな」

「本当ですね」

「ご両親のセンスが良いわ」



 知らぬ間に気に入られてい水樹は、美しい姉弟に褒められて逆にタジタジしていた。

「あ、ありがとう、ございます。

 家族とも相談してみます」


 その後は、微笑む彼女達とフィギュアやグッズの仕事の話をした水樹。

 今後も暫く忙しくなる。

 今度はアクリルスタンドと共に、文房具にイラストを付ける依頼だった。

 クリアファイルやペンケースのイラスト作成は、かずさに頼んで描いて貰い、手紙でやり取りすることになった。


 そしてキャラウェイと散歩から戻ってきたジムニーと一緒にそこを去り、翌日1日観光して元の国に帰ったのだった。


 ドラゴン姉妹の国を旅行中。


「僕ももっとお話したかったな。

 でもレノアは彼女達と知りあいなんだね。

 今度来る時は優遇してね」

「ああ、今度な。本当にごめんなジムニー。

 イメお姉さまが唐突に前世占い始めたからさ。

 やっぱ恥ずかしいもんだよ、占い聞かれるのさ」


「ええっ。ドラゴンの占い? 

 占いと言うか、寿命からしてその前世の時代も生きていたんじゃないの? 

 占いとコンボなら事実っぽいもんね。

 そりゃ人に聞かせられないよ。

 そんなの謝らないで良いよ。

 僕も占いして欲しいな!」


 なんか誤魔化せたようだ。

 ジムニーは、一緒にお茶しただけで満足みたい。


 そんなこんなで名物の魔獣肉を食し、飾り用のクズ魔石を大量に購入して姉と母に喜ばれた水樹。

 職員にはサインを配り、なんか良い匂いする~とか喜ばれた。



 姉妹からの提案に、今後どうするか決めることになったドンマイン家族改め二宮家族だった。





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