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【書籍化決定】悪役令嬢の無念はわたしが晴らします  作者: カナリア55
第三章

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衣装を作る 2

「どうするんですかエリザベート様! やはり今からでも戻って」

「嫌よ。アメリアも聞いたでしょ? あの店主の言葉。あんな所とは二度と付き合わないわ」

「でも、リュートゲールブティックは王都一番の人気店ですよ」

「そうかもしれないけれど、実は、それほど素敵なドレスを作っているわけではないのよね。人気店ではあるけれど、わたくしがあそこでばかり作っていたから『王太子の婚約者のお気に入りの店』という事で有名になったという面もあるわ。わたくしがあそこに決めていたのは、王太子殿下の衣装の情報を持っていて、それに合ったドレスを作ってもらえると、王室に紹介されたからなの。ドレスが気に入っていたわけじゃないわ」


 未練の無いエリザベートはあっさりと言ったが、ルークの耳は先ほどからずっと、ペタンと倒れたままだ。


「……私のせいで……申し訳ありません」

「なに言っているの、ルークは何も悪くないわ」

「でも、私が獣人だから……」

「かえって良かったくらいよ。リュートゲールブティックは高いし、縫製が雑だったり、余計な物まで買わされたりであまり好きじゃなかったけれど、新たな仕立て屋を探すのも面倒だから、ルークの事が無かったらこのまま作り続けていたと思うわ」


 さっきの店主の言葉を思い出すと再びムカムカしてきて、エリザベートは眉をキュッと寄せ険しい表情をした。


「そもそもあの店主は、わたくしが王太子殿下とうまくいっていない事を知って、あんな態度をとってきたのよ。あそこで頼み込んでどうにか作ってもらったとして、適当に作ったドレスを高額で売りつけられたでしょうね。これからは王太子殿下に合わせた衣装なんて必要ないから、いい機会だし縁を切るわ」

「……確かに、わたしも腹が立ちましたけど……」

「そうでしょう、アメリア。あんなところ、二度と使わないわ!」

「では……どう致しますか? エリザベート様とルークの衣装は」

「そうね……とりあえず、他の仕立て屋に聞いてみましょう」


 そうして一行は、王都の仕立て屋を何件もまわってみたのだが、




「……これほど、断られるとは思っていなかったわ……」

「そうですねぇ、色々と、問題があるんですねぇ……」


『今でもギリギリの注文量で、これ以上はとてもじゃないですが受けられません』

『いい布もレースも、在庫が無くなってしまって』

『無理です! 公爵令嬢様に着ていただくドレスなんて、うちでは無理です、作れません!』


「……王太子殿下の成年のパーティーだものね、普段より多くの注文が入っていて当然だわ」

「はい……どう致しましょう」

「わたくしのドレスは、着ていないものが沢山あるからそのどれかにするとして……問題はルークの衣装ね」

「あの……」


 ルークがおずおずと手を上げて発言する。


「式典用に、と作っていただいた制服がありますが、それではダメですか?」

「ああ、そういえば作ったわね。うーん……仕方ないわね、それで手を打ちましょうか。パートナーというより護衛感が増すけれど、しょうがないわ」

「申し訳ありません、私が獣人だから作ってもらう事ができず……」

「ルークが謝る事ではないわ。人それぞれの考えや事情があるのはしょうがない事。今回はもっと早くから準備をしていなかったわたくしの落ち度で」

「あっ! エリザベート様!」


 突如アメリアが声を上げ、エリザベートの話を遮った。


「ああっ、申し訳ございません、エリザベート様のお話し中に」

「いえ、いいのよ。それよりも、どうかしたの?」

「はい、今思いついたのですが、ゴーディ商会に相談してみるというのはどうでしょうか?」

「ゴーディ商会?」

「はい! あそこなら、獣人には作りたくないとか、王太子殿下の成年パーティーで注文が沢山入っているからとか、そんな事言わずに用意してくれるのではないでしょうか。注文作成は無理だとしても、素敵な衣装が沢山ありましたし」

「なるほど……良い考えだわ。アメリア、よく気がついたわね!」

「ルークが服を選ぶ時について行って、わたしもドレスを買って頂いたので色々見させてもらったのですが、本当に沢山の衣装があって、デザインも質も良い物がありました」

「そうと決まれば、早速これから行ってみるわよ!」


 三人を乗せた馬車は、ゴーディ商会へ向かって走り出した。

  



頼みの綱、ゴーディ商会。

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