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【書籍化決定】悪役令嬢の無念はわたしが晴らします  作者: カナリア55
第二章

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反省すべきは 2

「コホン……とにかく……」


 咳ばらいをし、王太子の事から目の前の人物の話へ戻す。


「オリバー・カーネリアン様、あなたはヴィクトリア様を責めましたが、果たして、その資格があるのでしょうか。ご自身の行いは正しいものだと、自信を持って言えますか? そもそも、ヴィクトリア様が本当にルチア嬢に嫌がらせをしたかどうかは、はっきりしているのですか? わたくしだって、婚約者のいる男性と人目のない所で過ごすのはマナーに反すると苦言を呈しただけで、酷い嫌がらせをした事になっていましたわ。そうそう、あの時は、オリバー様もレオンハルト様や他の方々と一緒になって、わたくしを罵りましたわよね」

「当然の事だ! ルチアから聞いたぞ! お前はレオンと仲良くしているルチアに嫉妬して、妾の子と罵り、マナーがなってないと言い、突き飛ばしたそうじゃないか! ルチアは転んで怪我をしていた! それからヴィクトリアは、一年生の下級貴族の娘に命じて、インクを零したり、水をかけたりさせたそうじゃないか!」

「わたくし、生まれの事など言っておりませんし、彼女には指一本触れておりませんよ?」


 そう言ってチラリとヴィクトリアを見ると、彼女は俯いたままだった。


(うーん……こちらは、やってるわね)


 そう察しつつ、エリザベートはオリバーに視線を戻した。


「ヴィクトリア様の事はわかりません。ですがもし、オリバー様が仰ったような事をしていたとして、その原因は貴方でしょう? オリバー様がちゃんとしていたら、そんな事はしなかったはずですよね」

「なんだと?」

「もしかして彼女は、わたくしの姿に自分の姿を重ねてしまったのかもしれないですね。婚約者が別の女性に心を移したことにより、傷つき、死にかけていたわたくしと。自殺を図ったと噂されていたようですし、そうはなりたくないと思ったかもしれませんね」


(まあ、もう学園に来ないだろうから罪を被せてしまえ、と企んだのが正しいと思うけれど)


「……とにかくオリバー様、先ほどの件、謝罪して頂けますか?」

「なんだと!?」

「だって、オリバー様がわたくしに言った事は、本当の事ではなかったのですもの。ねえ、ヴィクトリア様?」


 いくら可哀そうでも、この事はハッキリさせなければならないと、エリザベートはヴィクトリアに声をかけた。


「わたくしに命じられたというのは、嘘ですよね?」

「……は、はい……エリザベート様からは、何も、指示されておりません……」

「ヴィクトリア! よくもお前!」

「オリバー様? そちらの件は後にして下さい。わたくし、今日は先に職員室へ行かなければならないんです。時間がないので、早く謝って下さいませ」


 微笑みながらそう言うエリザベートを憎々しげに見て、オリバーは『悪かった』とボソリと呟いた。


「オリバー様? そんなの謝罪ではありませんわ。きちんと謝って下さい!」


 そう責めると、オリバーはクルリと背を向け、その場から離れた。


「エリザベート様、引き止めますか?」


 オロオロするルークに、首を横に振る。


「あんな馬鹿は放っておきましょう。ここでワーワー騒がれるより、面倒がなくていいから。……ごめんなさいねルーク。初日の朝からこんな……驚いたでしょう?」

「いえ、あの、僕、何もできなくて……エリザベート様の護衛なのに……」


 耳が横に倒れ、気落ちしているルークに、エリザベートは胸がキュッとした。


(あ~もう、なんて可愛いの! 礼儀作法の講習を受けて、自分の事は『私』と言うようになってたのに、動揺して僕って言ってるじゃない。可哀そうだけど、とんでもなく可愛いわ!)


「いいのよルーク。相手は貴族。わたくしの身に危険が及ばない限り、あなたは控えていていいの。さあ、行きましょう」


 そう言って校舎に向かおうとしたが、


「エリザベート様!」


 名前を呼ばれ振り返ると、ヴィクトリアの肩を抱いたリアムがペコリと頭を下げた。


「兄が失礼な事をし、本当にすみません。謝罪は改めて、きちんとさせていただきます」

「いいのよ。それに、あなたの責任ではないのだし」

「ですが……ヴィヴィちゃ……ヴィクトリア様の事も庇っていただき……」


 ヴィクトリアは、ヒクヒクと泣いている。


「まあ……ヴィクトリア様とは、似たような立場だから……とにかく、気にしなくていいわ。それじゃあ、お先に」


 こうして、ようやくエリザベートは校舎へ向かう事ができた。




オリバーの弟は良い子。

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