表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】悪役令嬢の無念はわたしが晴らします  作者: カナリア55
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/124

しばしの休憩

(嫌な場面を思い出したせいで、気分が悪くなったわ……まだ、話は終わっていないのに……散々言ってしまったけれど、不敬罪に問われないわよね? わたしだけなら仕方がないけれど、家にまで影響が出ては……可愛いアルフォンスに影響があっては困るもの……)


 意識が朦朧とする中、そんな事を考えていると、両脇に手が入れられた。脇を持ち上げ立たせられると、そのまま横に抱きあげられた。


「あ……少し休めば、だいじょう、ぶ……」

「いいから黙っていろ」

「え……おとう、さま……?」


 重い瞼をどうにか上げて見ると、すぐそばに自分と同じ色の髪と目をした父親の顔があった。


「そこ、扉を開けろ」


 その指示に、護衛騎士が慌てて従う。


「待ってお父様、会議が……」

「お前を休ませたらすぐ戻る。参加していないと、勝手に何を決められるかわかったものじゃないからな。まったく、散々煽っておいて倒れるとは責任感の無い」

「すみませんね、か弱く、繊細なものですから。そんな小娘が意見しなければならないほどお粗末な話し合いは、しないでほしいものですわ」

「まったく……口ばかりは達者だ」

「お褒めいただいてありがとうございます」

「褒めていない! オイお前!」


 廊下に出てすぐそう声を上げると、誰か駆け寄ってくる気配がした。


「エリザベート様! どうされたのですか!」

「心配しなくても、興奮しすぎだろう。連れていって休ませろ」


 そう言うと、ルークにエリザベートを渡す。


「かしこまりました」


 しっかりと抱きかかえ、ルークが歩き出す。


「ルーク! 大丈夫よ、一人で歩けるわ、降ろして頂戴」

「いえ、お部屋までお運びします」

「いいから! 重いから!」

「いえ、まったく重くありません」


 横抱きしたままズンズン歩いて行くルークに、エリザベートは恥ずかしさで少し抵抗したが、降ろす気がなさそうなので大人しく諦める事にした。


「……重くなったら、無理しないで降ろしてよ。絶対落とさないでね」

「もちろんです、エリザベート様を落とすなんてそんな事ありえません」

「揺れて怖いから……首に腕を回させて」

「はい」


 少し頭を下げたルークの首に両腕を伸ばし、キュッと身体を密着させて抱きつくと、体温が伝わってきて心臓がキュッと縮んだ気がした。


(……ルークの事、やっぱり好きだわ……)


 そう思いながら見上げるルークの顔は、真っすぐ前を向いていて、照れているとか、動揺しているだとか、そういう感情は一切見られ無い。


(こんなに密着する事なんて無いのに……好きなら、少しは意識するわよね。やっぱり、もうそういう感情ではないのかしら……そうね、だって拒否されたんですもの、そんなの思い違いだ、と言われて。そう言われたら諦めるだろうし、改めて考えたら違うな、と思ったのかもしれないし。そうよそうよ、わたしの望んだとおりじゃない。これで良かったじゃない。良かった良かった)


 自分に言い聞かせるように心の中で繰り返しているうちに、滞在している部屋に着いた。

 ベッドまで運び、寝かしつけ、ルークはペコリと頭を下げた。


「私は部屋の外におりますので、安心してお休み下さい」

「また、廊下に立っているつもり?」

「はい、そうですが……」

「それなら、部屋にいて頂戴。入り口付近で椅子に座っていて」

「でもそれじゃあ」

「ドアを開けたままにしておけばいいわ。廊下には護衛騎士もいるでしょう?」

「……はい、かしこまりました」


 言われた通り、開けたままのドアのそばに椅子を置き、ルークが座ったのを確認して、エリザベートは目を閉じた。




 目を開けると、まだ昼間だが、少し日の光が弱まっているように感じられた。

 身体を起こすと、椅子に座っていたルークがベッドの横にやって来た。


「……どれくらい、眠っていたのかしら」

「二時間弱です」

「そう……会議の方はどうなったのかしら。皆は……」

「会議はわかりませんが、皆さんは昨日集まっていた客室です。さっき、ヴィクトリア様とクリスティーナ様がいらっしゃって、教えて下さいました」

「……そう、心配をかけてしまったようね。それじゃあわたくし達も、行ってみましょうか」

「動いても大丈夫ですか?」

「ええ、ひと眠りしたらスッキリしたわ」


 少し身だしなみを整えてから、エリザベートとルークは皆がいる客室へ行ってみた。




「リザ! 倒れたと聞いたけれど、もう大丈夫なの?」

「ええ。横になったら良くなったわ。ヴィヴィとクリス、部屋まで来てくれたそうね、ありがとう」

「体調が良くなって良かったです、リザ様。お茶をお願いして参りますね」


 そう言うとクリスティーナは、部屋の端に控えている侍女にお茶を頼みに行った。


「それにしてもリザ、倒れたなんて、何かあったの?」

「ああ……ちょっと、嫌な事を思い出して……というか、思い出さないようにしていたその事を、事細かに言わなければならなくて、気持ちが悪くなってしまったわ」

「まあ……」


 心配気に眉間に皺を寄せるヴィクトリア。


「我々が先に言うべきだったな」

「そうだね。辛い役割をさせてしまったね」


 テオールとエドワードがすまなそうに言い、エリザベートは首を横に振った。


「いいえ、最初に気づいて見たのは、わたくしですから。お二人はわたくしの様子がおかしいと見に来て、その場から引き離してくれた時に、ちらりと見ただけでしょう? お二人も、その話を聞かれました?」

「ああ、確認の為に呼ばれた」

「ほとんどテオールに任せちゃったけど」

「自分の兄の事は話しにくいだろう。第二王子が王太子の座を狙って第一王子に不利な事を、とか言ってくる奴らもいるしな」


 エドワードが赤くなって項垂れ、テオールは飄々と言った。


「呼びに来た方は、生徒会準備室での件を知っている人、と言っていたけれど……どのようなお話かは尋ねない方が良さそうね」

「そうね、気分の良い話ではないから」

「わかったわ」


 少し気になったようだが、ヴィクトリアは深く尋ねる事なく新しく入れられた紅茶を飲み、エリザベートもカップに手を伸ばした。


「……ふう……美味しいわ」

「良かったです、リザ様」


 にっこりと微笑むクリスティーナに癒されながら、今の状況を聞く。


「会議はずっと続いているよ。僕とテオールが呼ばれて話をして、その後はオニキス先生とクリスティーナ嬢が呼ばれたんだ」

「ルチア・ローズに言われた事について話をした」

「お兄様が、わたしのせいで家に居辛くなったと嘘をつかれた事です」

「僕とヴィヴィちゃんとダニエルはまだ呼ばれてないけど、まあ、そんなに話す事もないからね」

「そうですね。心配で残ったようなものですから」

「いいじゃない、それで。わたくし達、生徒会の仲間なんですから」

「わっ! 良い事言いますね、ヴィクトリア先輩! 仰るとおりです!」


 そんな事を話していると、扉がノックされた。

 護衛騎士が扉を開け、何やら外の騎士と話をし、エリザベートの前に来ると片膝をついて頭を下げた。


「恐れ入ります、エリザベート様。レオンハルト殿下が、面会をご希望でございます」





お姫様抱っこって、けっこう恐くないんでしょうか、不安定で。された事ないのでわからないんですけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ