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【書籍化決定】悪役令嬢の無念はわたしが晴らします  作者: カナリア55
第四章

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今後の事

「……では、今後の事についてですが」

 

 アクア侯爵は淡々と話を進めていく。


「このような問題を起こした事から、ルチア・ローズ男爵令嬢は王太子妃には相応しくないという判断になりました。王太子殿下との婚約は破棄されます」

「そんな! さっき厳重注意と謝罪金の支払いだと言っていただろう!?」

「先ほどのはルチア・ローズ男爵令嬢個人とローズ男爵家への決定であり、王太子の婚約は国事ですので、また別の話です」

「そんな……そんなのおかしい!」

「ううっ……」


 レオンハルトが抗議の声を上げ、ルチアは泣き出す。

 重臣達は特に反応がないので、大人達で話し合われた結果を当事者に伝える場なのだろう。


「ルチアは悪くない! 反省もしているのだから今回は大目に」

「大目に見るなんて、できるわけなかろう。何をどうすれば、悪くないなどと言えるんだ。もう、レオンハルトは黙っていろ」

「…………」


 悔しそうに顔を歪め、それでもレオンハルトは守るかのようにルチアの肩を抱いた。


「うえっ……うっうっ……わたし、本当にそんなつもりじゃなかったのにぃ……」

「大丈夫だ、ルチア。俺が守ってみせる!」


(あー、はいはい、好きなようにして下さい。わたしには関係の無い事だわ)


「この事により、空席となった王太子の婚約者ですが、協議の結果、エリザベート・スピネル公爵令嬢が再び就くのが最善という事になりましたが、」

「はいっ?」


 突然名前を出され、エリザベートは驚いて国王を、そして重臣達を見回した。


「そ、んな……まさか、本気でそんな事を……」

「色々と思う所はあるだろう。しかし、これが一番良い選択なのだ。レオンハルトにはきちんと言って聞かせる故、承諾してはくれまいか」

「そんな……だって……」


 チラリとレオンハルトの方を見ると、それはもう、憎々し気にエリザベートを睨んでいる。


(う、嘘でしょう? 何言ってるの?)


「なぜそういう事になるのです!? わたくしは嫌です! 待って待って、ようやく婚約破棄できたというのに……婚約者には戻りません! お断り致します!」


 きっぱりと言ったのだが、重臣達は『まあまあ』と笑う。


「そんな意地を張らずとも良いではありませんか」

「王太子殿下も謝罪されたのですし」

「謝罪? あれのどこが謝罪だと? 自身の行いは顧みる事なく、わたくしのせいにしているではございませんか!」

「まあまあ、そんなに怒らずに。スピネル公爵も何か仰って下さい。良かったではないですか、ご令嬢が王家に嫁ぐとなれば、スピネル公爵家は安泰だ。一度諦めた幸運が再びめぐってくるとはなんと羨ましい」


(なんて失礼な事を!)


 文句を言ってやろうかと思った時、


「娘に言う事は無い」

「いやいや、言う事が無いなど。お嬢さんに、頑なにならずにありがたく話を受けるようにと」

「ありがたくだって? これ程、軽んじられて、何を喜べと? 先ほどの話し合いでも言ったが、娘が再び婚約者となる事に私は反対だ」

「スピネル公爵! それは不敬な発言では?!」

「そうですぞ! 公爵がそのような事を仰っては」

「いや、スピネル公爵の言う通りだ」


 騒ぎを収めたのは、国王だった。


「スピネル公爵には断られたが、令嬢本人の意見を聞きたいと言ったのはこちらだ。そうだろう? 皆の者」

「陛下の仰る通りです。スピネル公爵令嬢、今一度、令嬢の意向を確認させて下さい」


 宰相の言葉に、エリザベートは頷き、『お断りします』とはっきり言った。


「わたくしは、レオンハルト殿下の婚約者になりません」


 その場の重臣達が『そんな!』『ありえない』と騒ぎ出す。


「なぜだ! こんな名誉な事を断るだなんて!」

「そうだ! 意地を張るのも程々になさい! ああ私が親ならば、娘にこんな我が儘は許さないが」

「わかっているのか? 王太子妃になれば、いずれ王妃になり、王子が誕生すればそれこそ安泰。まあ、色々と思う所はあるとは思うが、ここはひとつ、大人になってだなぁ」


 口々に騒ぎ立てる重臣達に、エリザベートの我慢が限界に達した。


「……レオンハルト殿下と結婚しても、わたくしが王子……というか、子を授かる事はないですわ」

「はっ?」


 エリザベートの言葉に、場が静まる。


「あー……と、子を、授かる事はない、と?」

「ええ」

「それは……どういう……」

「レオンハルト殿下は、わたくしとはそういう事をするつもりはないそうですので。ねえ、殿下」

「はっ? エリザベート、そなた何を」

「あら、ご自分で仰っていたのに、覚えていらっしゃらないのですか?」


 エリザベートは、にっこりと笑った。


(ああもうこうなったら、とことんやってやるわ! レオンハルトも、この腹が立つ重臣達も、わたしの事を軽んじた事を後悔させてやる!)  





もう絶対巻き込まれない!

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