血の洗礼
頭が、痛い。
身体が動かない。
(なんなの? なんでこんなに苦しいの? わたし、どうしちゃったの?)
目を開けようとしても、開かない。
(苦しい! 苦しすぎる!! わたし、死んじゃうの?)
「ガハッ!!」
咳込むと、口から何か出た。
ようやく薄く目を開ける事ができ、見ると、目の前は真っ赤だった。
「な、なにコレ血? ゲホッ、ゲホッ」
言葉と共にまた咳き込み、更に血をまき散らしてしまう。喉から胃まで焼けるように熱く、痛い。
ぼやける視界に、女性が何か大声で叫び、走り去る姿が見えた。
(何が、どうなってるの? ああ苦しい、水、水が欲しい……)
「ゲボッ、ガッ……」
焼けるような痛みに水を求めるが、声は出ず、血が溢れるだけ。
(水……水を……)
その時ふいに冷たい風が流れ、血に染まった両手に水が湧き出した。そしてそれは血を流し去り、どんどん湧き続ける。
(水だ!)
必死に両手を口元に近づけて水を飲むと、その冷たさに焼けただれるような痛みが少し和らぐ。
「ゲホッ、ゲホッ……ゲエーッ」
咳き込み、せっかく飲んだ水が一気に吐き出されたが、
(あ、これ……これが正解だ)
本能的にそう感じ、また飲めるだけ水を飲み、吐き出す。
最初は赤かった吐しゃ物がだんだんと薄くなり、その行為を何度か繰り返したところで完全な透明になり、今にも死にそうだった痛みもだいぶ和らいだ。
(……なんだったの、これ……夢?)
「お嬢様! お嬢様! 大丈夫ですか? お医者様が参りました! エリザベートお嬢様!」
(……お嬢様? エリザベート? ……夢だな、これは……)
そんな事をぼんやり考えながら、再び意識は薄れていった。
よろしくお願いいたします。




