1話 ポップコーン
最近暑いよね
そして最近暑いよね
明日生きてるか心配になる暑さです
誰にも気づかれずに溶けて消えちゃうかもしれない
機械って冷たくてきもちいよね
「!」
何かから覚めた、おそらく眠っていたのだろう。
俺は血まみれのベッドの上で仰向けになっている。
少し広い部屋には小さなテーブルがあり、ベッドの奥の壁には俺の身長より大きいモニターがある。
(この部屋はなにをする場所なのだろう、何故そこに俺がいるのだろう)
俺はこの部屋をもっと調べる事にした
小さなテーブルの上には知らない機械が置いてある。
「うぐっ.....血生臭い、この機械で一体何をしたんだ?」
「ここはもういい、別の所を·······」
扉の隣に洗面台があった、洗面台を見たって特に何も無いだろう、だが、吸い込まれる様に覗いてしまった。
「嘘だろ.....」
洗面台には栓がしてあり赤黒い血が溢れそうなくらい溜まっていた。
「なんなんだよ、さっきの機械といいこの洗面台まで、この部屋はどうなってんだよ」
「ボリボリバリボリ」
「!」
後ろのモニターから菓子の様な物を貪る音がする
「ははは、オモロ、バリバリボリボリ、ポップコーン美味、ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ」
「なんだお前」
"そいつ"は右手で目元を覆いながら左手でポップコーンを掴んでいた手を止めた
「ちょいまちちょいまち」
"そいつ"は目元を隠したまま席を外し、大きな眼が彫ってある不気味なカメレオンの様な仮面を付けて戻ってきた
「ただいまハニー」
「お前、ジョークのつもりか?」
「はは、そこはおかえりダーリンって言えよ、ははは」
なんだか腹が立って来た
「おいお前、質問するからちゃんと答えろよ」
「いいぜハニー」
「俺の名前はなんだ?というかあるか?」
「ああそっからか、お前の名前はハニ.....じゃなかった
マグだ」
「マグ、それが俺の名前か。」
「ダッセエ名前だよなあ?」
「お前さっきから失礼だぞ?」
「まあまあカリカリすんなよ、後でポップコーンやるからな」
「要らん!!!」
「おぉうっ!かっこいいねぇ、じゃそろそろ自己紹介しねえとなぁ?」
「俺の名前はジヒド、"災い"の王だ」
「ああ、これも教えた方がいいか、まずこの世界には王が20人いる、これは古くから言い伝えられている。正確には20人"まで”生まれる。」
「だから俺も5人しか自分を含めて王の存在を知らない。」
「俺も王って奴なのか?」
「残念だが多分王では無いな、魔力はあるらしいが王にしちゃあちと強さが足りん、ちなみにお前は重力を操作出来るぞ」
「何故わかるんだ?」
「そりゃおめえ、その部屋血だらけだろ?俺が"検査"してやったんだよ」
「畜生.....!」
「あああ!まてまてまってくれ!早まるなよ、そのモニターの為に俺が何ヶ月かけたと思ってんだ!お前俺の月給知ってんのか?!」
「今だけ特別に堪えてやるよ.......」
「ああ、ありがとう、俺は優しい人が大好きだ愛してるぞ」
「お前が言った事の中で1番信用出来ねえな」
「当たり前だ、嘘だからな笑笑
さて、"お仕事”の時間がやって来たぞ、お前もさっさとそこを出ろ」
「はっ、言われなくても出てやるさ、じゃあなクソッタレジヒド」
「マグ、お前口悪いぞ?女の子にはもう少し優しくするもんだぜ?」
「は?女の子?」
「おう!俺は天才美少女ジヒド!仮面をつけてるからわからなかっただろう?その部屋には最低限の装備と地図があるぞじゃ、またどこかで」
モニターが真っ暗になった。
俺は扉を開けて外へ出た。
「すげえ....」
崖から見下ろすとそこには太陽に照らされて黄緑色に輝く森が広がっていた。
「そういえばジヒドが重力を操作出来るって言ってたっけ。」
頭の中で想像する、自分が飛んでいる姿を、森を空中から見下ろす姿を。
「うおっ!飛べた!飛べた!じゃ先ずは」
地図を観察する
「西の都"イスカンダル"が近いな、じゃあそこまで飛んじまうか」
次回へ続く