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拝啓 小説投稿サイトをご覧の皆様

作者: アカネコ

【小説投稿サイト運営様】

一時的に特殊な魔法陣を使用して、異世界よりサイトの無断借用をしています。いにしえの術式、この万物操りの魔方陣は今は亡き師の形見。

わたくし共の世界にも一枚しかない品でございます。

従いまして、今後はこのような野蛮な行為は一切行えません。

ご迷惑をおかけし、本当に申し訳ございません。

 はじめまして。わたくし、クラリスと申します。


 一年前まではマナリア国の公爵家長女、クラリージェンス・アンカートンでございました。


 ですが、マナリア王国、第一王子との婚約破棄にて、実家である公爵家から勘当…放逐されて、現在はひっそりと一平民として暮らしております。


 あまりにも膨大な魔力を授かって生まれついたため、その力を制御する為にと、高名な魔術師のもとで修行を続け、また、幼い頃よりマナリア国の結界の乙女としての務めも果たしてまいりました。


 その為、国王様の覚えもめでたく第一王子の婚約者になりましたが…ある日を境に突然、魔力が消失してしまい…さらに不義の相手と婚約を結びなおすと言った第一王子との婚約破棄。

 

 その不義の相手はわたくしの義妹、キララ。

 なにやらコソコソ動いている事は知っていましたが、気付けばマナリア国の社交界で、悪役令嬢と糾弾され醜聞ばかりの身の上になっておりました。

 何一つ真実ではない濡れ衣を着せられ、それを真に受けてしまった家族からは激しい叱責を受け…辺境へと身一つで放逐されてしまったのです。


 わたくしはその足で、隣国ザギ帝国へと逃れ、現在はジュスタ領アマートという小さな町の外れにある森の中で、一人、暮らしています。

 このままひっそりと暮らしていこうと思っていましたが…そうはいかなくなってしまいました。

 日に日に私は…この世のすべてが憎くなってしまったのです。


 わたくしが一人放逐された辺境は、魔界の入口と囁かれるくらい闇深く…足を踏み入れてはならない禁戒の地と言われておりました。

 わたくしは家族に…すぐに死ねるよう、せめてもの慈悲だと…馬車から投げ出され…そう、殺されたようなものなのです。

 そのまま死ねたなら、よほど良かった。私の為にも…この世界の為にも…。


 何故なら、なんという神のいたずらか…最近、少しずつですが、魔力が戻ってきているようなのです…まだ、内なる力を時折感じる程度ではございますが…。


 もし、以前のような膨大な魔力が戻ってきてしまったら、我を忘れて祖国へ、家族へ…マナリア国の王家へ…わたくしを嘲笑ったすべての貴族達への復讐の道を選んでしまうかもしれない。

 そしてこの憎しみの心は…この世界をも飲み込んでしまうかもしれない。


 でも…矛盾するようですが、この世界を滅亡させる事など…望んではいないのです。そして身勝手な考えですが、自分自身にも…そんな事はして欲しくない。


 そう思って、心穏やかに毎日を暮らそうとすればするほどに、わたくしの心の中には、醜い憎悪が芽生えてしまう。私を貶めた人間を、私を殺そうとした家族を…完膚なきまでに滅ぼしてしまいたい。

 

 膨れ上がるこの衝動を抑えきれなくなったわたくしは…自らの魂を異世界転送させる決意をしました。


 放逐の際、師匠の形見のマジックバックをドレスの下に隠し持っておけたのは、僥倖でございました。

 お母様や師の形見の品などを持ち出す事ができたのですから。

 そして、師の最高傑作…いにしえの秘術にて復活させた魂転送術式装置。


 これは魂転送術式装置に置いた体に、他の世界で生きてきた者の魂を転送させる装置です。

 もちろん禁じられた術式装置ではございますが、これを用いて転送の儀を執り行おうと思うのです。


 ですがこの儀式、転送の代価として、私の魂は転移という形で他の世界へと差し出さねばなりません。

 わたくしは自死は望みません。それに出来る事なら、まだまだ生きてみたい。

 この装置に…自分の運命を賭けてみたいのです。



 どなたか、わたくしの人生を過ごしてみませんか?



 当方、既往歴なしの健康な18歳です。

 現在は平民でございますが、マナリア国妃教育、マナリア国公爵家子女教育、語学全般、刺繍、ダンス、乗馬、教養など、一通りの淑女の嗜みは網羅、もちろん市井の処世術や言葉遣いも習得済みです。

 薬草学、調合、短剣術の心得もございます。


 とても小さいものですが、薬草畑と一人住める程度の小屋も持っております。小屋近辺の魔物でしたら簡単に狩る事ができ、解体も可能。食材には事欠きません。

 魔力が消失している為、使用はできませんが、当世界の魔法全般の知識もございます。


 これらの知識、身体機能は転送後、引き継がれます。

 転送時、私の今までの経験、体験が脳内に流れ込んできます。


 ご了承下さい。


 小屋とその周辺の土地に関しましては、購入済みにつき、そのままずっとお使いいただけます。

 小屋の中のもの、周辺の畑に関しましても同様、ご自由にお使いください。


 現在の職業は薬草売りです。

 クラリスの名で帝国への登録も済ませ、ギルド登録もしております。

 身分証代わりのギルドカードも、勿論そのままお使いいただけます。

 しがない薬草売りではございますが、森で暮らすぶんには、数ヵ月は困らない程度の蓄えがございます。


 転送後も、貴殿の記憶はすべてそのままとなりますが、ご使用になっている魔力、魔法、スキル、加護、星読み等の能力は使用できません。

 また、貴殿の世界に溢れている遠方通信装置に関しましては、非常に未発達であるとご理解ください。


 チート、超能力、俺TUEEE と言うものが、どういう発動条件の力なのか、不勉強で理解する事ができませんでしたが…恐らく転送後はその能力も消失いたします。


 重ねてご了承下さい。


 森の中ですので何もありませんが、緑溢れ、空気がとても綺麗なところです。

 薬草学の知識をいかして、小屋を店舗に薬草を使った調合薬販売なども、将来的には可能かと存じます。


 辛い過去はございましたが、今は一人の女性として、自由を謳歌できる人生を歩んでいます。


 こちらの投稿小説サイト内に、わたくしと似たような境遇で、婚約破棄をされた方の小説話が沢山ございましたので、シンクロいたしました。

 それ故、投稿という形でお誘いの手紙をしたためさせていただいております。


 大変に申し上げにくいのですが…わたくしよりよほど大変な思いをされている方の小説話を多数、拝見いたしました。

 貴方様の人生の代わりに、わたくしの人生を歩まれるも一興かと存じます。


 わたくしの立場をご理解下さって、それでも本当に異世界転送されても構わないという方は、下記のボタンを押してください。


 どうか、どうか、わたくしに力をお貸しください。


 *****


 ※本当に転送されます

 ※入れ替りではありません

 ※転送の際、転生か転移(死亡、もしくは失踪の偽装)が選べます

 ※希望者が複数人の場合、肉体的に一番親和性が高かった方が転送されます

 ※現状、戻れません(いにしえの術式は復活できませんが、今後の魔法発達によります)

※魂転送術式装置を使ったサイトの乗っ取りは犯罪です

※もちろんどんな方法でのサイトの乗っ取りも犯罪です

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