3話 後輩との出会い
中学2年の春、額の傷が治りかけ、私の右目が全力で疼く中、私は生物部の勧誘に勤しんでいた。
先輩方から、1人でも多くの新人を!力を!予算を!との命令を受け、下校途中の生徒に声をかけていくが、中々上手くいかない。
もともと私はコミュ障なのだ。
そんな中、私は1人の少年を見つけた。
前髪で顔の半分を隠した彼からはなんだか私と同じ匂いがする気がした。
私は去年の先輩の真似をした。
「君、名前は?」
あれ。こんなんだったっけ?というか、このセリフって某映画みたいだな、、、恥ずっ!と1人赤面していると、後輩がぽかんとした後、ポツリと何か呟いた。
「へ?なんて?」
聞き返す私に、苛立つことなく静かに彼は告げた。
「僕に近寄らない方がいい。僕は呪われているから。」
その瞬間、戦慄が走った。
まさか、まさか仲間がいるなんて!友は爆笑するだけで理解してくれないし、親も遠くを見るような微妙な顔しか向けてくれないのに、こんなところに同士がいたなんて!!!もっと話してみたい。近付きたい。
気付けば相手の両手を握りしめ、生物部への入部を押して押して押しまくっていた。
手を取り鼻息荒く迫る私がよほど怖かったのか、その後彼はすんなり名前教えてくれ、しかも入部届にその場でサインしてくれた。
そして彼は私の部活の後輩となったのだった。