8 鬼ィ!!(ココロの声)
「速いっ、速いです、アヤノさんっ。」
「おや?洞窟出てからずっとこの速度だよ?結構イケる子だと思ってたのに。」
鬼っ、鬼がいるっ、此処にっ。
「そうは、言っても、ず、っと、この、ペー、スだと、ングッ、死にます、ってっ。」
「あらー。じゃ、ゆっくり止まって。急に止まらないでね。」
ゆっくり、とま、れた。
「街まで、あと、どれくらい、ですかっ?」
「んー。あと……2キロってとこかな。歩いていこうか。」
「はい。……………何ですかコレ。」
「んー?重り。私の方で調節は自由だから。安心していいよ。」
安心なんて出来ない。この人の事だから物凄く重くするんだ。絶対。
「さすがに私も大人だからね。重くしすぎたら成長を妨げる。やらないよ。……あれ?普通に話してる。………そうか。へぇ、面白い。」
アヤノさんが物凄い笑顔で僕を見ている。ん?僕の後ろ?何も無いけど。アヤノさんには見えるのかな。幽霊ってやつが。それにしてもアヤノさんの笑顔が怖い。
「さて、落ち着いたかな?では、早歩きで行こうか。」
速っ。大体時速50は出てるよ?あれがアヤノさんのホントの早歩きだとは思いたくない。怖い。ヤバい。
「あと5分位で着くかなー。速く来なさーい。」
……鬼。
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