58 今、彼女は───
「───ふざけんな!!人はこんな風になる為に作られたんじゃない!!自由に生きる権利が誰にでもある!!誰かを貶めて生きるな!!!」
どこかの研究施設の中で女性の叫び声が響き渡った。
「じゃあ貴女は誰も殺していない?はは、そんなわけないですよね?だってそんなにも身に呪いを宿しているのですから。」
「…………確かに、私は何人も殺めているよ。だけどね……!人の存在までも踏みにじった覚えは無い………!!これは、人の生き方を、存在を、人としての在り方を踏みにじった行為だよ!」
彼女が見つめる方向には人が入れる位のカプセルが大量にあった。
その中には、赤子がいた。
何処かが欠けている赤子。それは、紛い物だった。
人の手で作られた、偽物。神の領域である人の生成を、人間がやってしまった。
「本来ならば到達してはいけなかった……!これは神のやるべき事だ……。…はは………君には……止める者が居なかったのだね……」
頬に一筋、涙が流れた。
対面する青年に手を伸ばし、あと少しで届くという時に、彼女は倒れた。
彼女の背後には困り顔の仮面を被った者が居た。
「………ありがとうテュファン」
「いえいえ~♡それにしてもこの人って主の師匠でしょう?こんな簡単にやられる人なのー?」
「………………いや、姉さんはもっと用心深かった。必ず何か、裏があるはずだ。何か───」
青年がぶつぶつと考えを巡らせていると何もない空中に扉が現れ、大きな音を立てて開かれた。
「大変です主様!マスター!!ドレットが動き出しました!まだ今日の整備も行っていません!!」
「な!?まさか……!!」
「姉さん……!やってくれましたね…!!」
ぱっと上げた顔をしかめる青年は姉と呼ぶ女性を立たせる。
「テュファン!この人を、貴女が使っているカプセルにでも放り込んで下さい。一日位使わなくても大丈夫でしょう?終わったらドレットを鎮める位の薬を持ってくるのですよ。僕はあれを止めにいきます。」
「主!ああもう!僕が行くまで持っててよぉ!?」
青年と仮面の者は走り出した。
仮面の者に担がれる女性、アヤノは少しだけ口角を上げ、魔力を放出した後、気を失った。
お読み頂きありがとうございます。
短いよね……。こっからツムギ達に繋げれなかったから終わらせます。
そして、“アヤノさん”は今後名前だけの登場ですね。はい。
どう進めるかなー……




