55 城の中、王子の部屋
ちょっと短いですかねぇ……
「ツムギ君。何をバテているのです。そんなものでは、主の近くに居ることが出来ませんよ。」
「はぁ───はぁぁぁ──つかれ、ました。というか、僕なんかが、殿下の、近くに、いるなんて、無理ですぅ……」
「え!?僕の部屋に来てるんだから側仕えか騎士か友人だよ?来る人なんてアーテルしか居ないしね!」
「殿下……騙しましたか……」
「んーん、騙してないよ?聞かれてないもん。」
「そんな子供みたいに言わないで……」
「側仕え……騎士………ツムギ君。」
急にツムギに近づいてきた執事。目がギラギラしていて、思わず王子も引いてしまう。
「貴方、主の側仕えをしませんか?主は今学園の生徒なのですが、学園に危険が無いとは言いきれなくてですね。
私は成人済みですし城に使える者ですから生徒としても、教師としても学園に潜り込めず……主も護衛はいらないと言いますし……そこへ精霊使いで強く、主に気に入られている貴方がいれば、全てが解決するのですよ。
鍛練に付き合って差し上げますし、勉学だって教えます。ですから──」
「すとぉっぷ。アーテルー、引くわーそんな必死になる問題じゃないし。そもそもツムギまだ七歳位だし。」
「ああいえ、大丈夫です。……本当に、勉学を教えてくれる、んですか?」
「ええ、教えます。他にも教えられるもの全てを教えます。」
目がマジだった。
「僕は、今よりも強く、なれますか?」
「なれます。魔法の才を伸ばし、精霊との絆を深めるのです。必ず、今よりも強くなるでしょう。」
「分かりました!学園、入ります!殿下をお守りします!」
そう叫ぶ様に声を出し、続けて言った。
「ノーマさんが、特待生枠?と言うもので、学園に入れるそうです。ちょうど良かった位です。」
ふわりと微笑むツムギ。それを聞き、もー!と声をあげた王子。
「特待生枠があるのは知っていたけどさー、ギルド長がそれを使うの?初耳なんだけど!護衛はいらないのに………それもこれもアーテルのせいだぁー!」
取り乱しました、とアーテルが本の片付けを再開する。その顔には少しだけ安堵の表情があった。
「明日はノーマさんのお話を聞いたり冒険者活動もしなくてはならないので……早くても明後日からですかね…」
「ふむ。一週間後には手続きを終わらせたい所ですね。編入や側仕えの試験等もありますし……ですが取り敢えずこの整理を終わらせましょう。」
「…………そうですね……殿下は……体力無いですもんね………」
「ええ。研究に没頭しすぎて仮眠も食事も摂らない時まであるのです。まぁ、ツムギ君がいれば大体解決しますね。」
「ねえツムギー。」
話しながら整理していたツムギに声がかかる。
「はい、殿下。」
「名前で呼んで。」
「はい?」
「いやだから、名前で呼んでって。」
「何故?」
「何故って………」
にっこりとしながら会話をする二人。執事は黙々と整理を進める。
「アーテルは主としか言ってくれないし、他の人達は全員殿下としか呼ばないんだもん。」
「いや、殿下ですから。」
「なんか寂しい。だから一人位はぁ、敬いながらも名前で呼んでくれる人が欲しい。」
ツムギが助けを求めてアーテルを見るも、呼んでやって下さい、とでも言いたげに視線を合わせない。
「分かりました、分かりましたよティアル殿下!これで良いでしょう!」
「…………殿下は要らない。」
どんよりとした空気を醸し出す王子。
「ええ………ティアル様とでも呼ばせたいのですかぁ?」
「んーん。あだ名がいい。安直でも良い。」
自棄になって言うツムギ。
「…………アル。これで良いでしょう?アル様。」
パアァァァ、と天使の様な光を出すティアル。じゃあさ、と、もっと無茶振りする。
「この三人もしくは二人きりの時は様つけないで呼んで!」
無理ですよぉぉぉ!!
と絶叫が響いたのは余談である。
ちなみに今後はこのお願いをちゃんと聞いてあげているツムギであった。
お読み頂きありがとうございます。
昨日のpv(アクセス数)が二百越えているのは私の幻覚でしょうか……??




