54 白髪の少年
「よっし。君の用事は終わったね?これで君は僕の客人になったわけだ。はい!うちにおいで!」
「はぁ……急に活発になられて嬉しかったのが……こんなに理不尽になられると、私は困惑してしまいます……」
「いいの!人の目気にしない事にしたの。僕はやりたい事をやる!ユテアに全部背負わせないのだ!」
ふふん、とドヤ顔でアーテルと呼ばれた執事をみる白髪の少年。ツムギの手を引き、自分が乗ってきた馬車に乗せる。
「じゃあね、教皇様!胃薬の事は後で追及するからそのつもりで!アーテル、しゅっぱぁつ!」
「?? ???」
馬車に乗せられたツムギは目が?である。
ガタガタとした道から、安定した道に入ってから聞いた。
「あ、あのぅ。僕はどこへ、連れ去られるの、でしょうか?」
「嫌だなぁ。連れ去ってないよぉ。僕の家に招待するだけさぁ。君の悩みも解消するし、僕の研究にも付き合ってもらう。うぃんうぃんの関係だ。」
「家?向かってるの、城……」
「あははっ僕の家ったら僕の家!」
強引にも僕の家認識させる少年。この少年、一度本作に出たことあります。性格だいぶ違いますが本人です。
閑話休題。
すぐに城門に着いた。他の馬車が避けていたからであるが。門番が中を見る。
「ええ………いつ此処を出られたのでしょうか……?そしてその小動物のように震えている少年は……?」
「僕の友人でユテアの兄弟弟子!入れていいよね?研究を手伝って貰うんだ!」
「抜け出した事は言わないのですね……そう簡単に出られると俺たちが困るんですよ……入れてもいいですけど、お父上に確認取って下さいね。」
「大丈夫!ちゃんとする!」
だいぶ緩い城門警備……この国大丈夫かと問いたいが、王であるデューアが決めたものなので誰も文句言えない。
馬車から降り、白髪の少年に連れられて城の中を歩き回る。
途中ではしゃぎすぎたのか少年が疲れはて、立っていられなくなってしまったので、黒髪の執事が少年を横抱きしている。
いわゆるお姫様抱っこなのだが、通りすぎる使用人達は当たり前の様に受け入れている。それどころか執事の後ろをくっついて歩いているツムギに気を取られている。
少年曰く、広い城内をあんなに歩き回って疲れない方がおかしい。何でツムギは僕より年下なのに平気なの?だそうだ。
鍛えているから、としか言いようがない。
ツムギは苦笑いしながら、執事の方を見て、
「何故人一人抱えているのに疲れないのですか?」
と質問する。
「執事だからです。執事たるもの、主を連れることが出来るのが当たり前、と教えられました。」
答えを淀みなく返す位、余裕そうだ。
「今度鍛練をご一緒しても良いですか?敬語の勉強もしたいのです。」
「良いですが……私の今週の鍛練は主の部屋の片付けなんです。」
「……………殿下……。」
「!?残念そうな視線を向けないで頂きたい!僕は体力が無いだけなので!!というか何で王子だとばれてるの!?」
ツムギはますます残念そうな視線を向ける。
「あれだけ使用人さんが頭下げていたら……位の高い人だと分かるでしょう?教皇様より偉くて、上物の服着ているアーテルさんが主と呼ぶ男の子って……王子様しか居なくないですか?」
「むう……」
不貞腐れたような表情をツムギに向ける少年………王子。
「着きましたよ。主、鍵を。」
「うん。ツムギ、離れててねぇ。」
執事から降りた少年は鍵を取り出してドアにかける。執事も下がったのを確認して、鍵を開けた。
ドサァァァァァ────
本が流れ出てきた。その中には原稿用紙のような字がびっしりと書き込まれた紙もある。本などの山の頂点には一匹の小鳥が居た。
「オカエリ!ティアルオカエリ!!」
「うん、ただいま。さて、お仕事の時間です。迎える為なので、ツムギも手伝って♪」
こうして、迎えられる筈のツムギは本の片付けを手伝うことになりました。
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