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呪われし転生者  作者: 青いヒヨコ
第二章
54/66

52 物語と日常



「ある女の子が居た。その子はハーフで、故郷では忌み嫌われた存在だった。しかしその母の人望もあり、避けられながらも一般の生活を送る事が出来た。

その子に流れる二つの血は、両方とも魔法が得意な種族の血だった。」



「何度も言うが、これはある物語だ。」


念押しする男はまた話し出した。


「その子の故郷に、奴隷商が訪れてしまった。彼女は故郷の皆を守るため、魔法を放った。一度も使った事が無い『闇魔法』を、使ってしまった。

闇魔法は暴走し、守る筈のヒトを傷つけた。結果、敵対者である奴隷商は全滅。だが、彼女は仲間を傷付けた。自分が忌み嫌われる存在であっても触れ続けてくれたヒト達を、殺した。

……その中には彼女の母親の姿もあった。」


「「っ…………」」


話す男の前に居る少年達が息を飲んだ。

それでも構わず話し続けた。


「彼女は悔い、嘆き、苦しんだ。自分が居るせいで母は死んだ。優しくしてくれた人達も死んだのだ、と……

故郷は彼女を追い出した。母親が居たからこそ彼女は住むことが出来た。その母親を自分で殺した彼女は、無気力に出ていった。引き留める声にも気付かぬまま。」


話していた男は立って告げた。


「今日は此処までね。続きが気になるのならまたおいで。本題には入ってないけど、ごめんね。明日、また話してあげる。」


紙の束が置いてある机に戻り、何かを書いてツムギに渡した。


「僕は此処から動けないからこの紙を教会に持っていきな。名前の届け出を出すときに役立つ。」


「ぁ………はい………」


「ユテアも、城に戻りな。お兄様が待っているよ。」


俯いていたユテアがぱっ、と顔をあげ、


「忘れていましたわ!」


「あ、今のは他言無用ね。ノアにも秘密だ。」


「「わかりました」」


「また明日おいで~」


「「は~い」」


ニコニコと手を振り返しながら扉を出ていった子供達。その足音が、騒がしい一階ギルドの中に消えていったのを確認すると、



「出てきたら?話を聞かない様にしてくれたのはありがたいけどさ、何か嫌だから出てきてよ。」


ノーマがそう言うと、部屋の隅に人影が出てきた。


「アヤノは居ないよ。問題を片付けに行ってるから。それとも、君の属する組織が問題なのかな?」


「…………流石はギルド長と言うべきか、言わぬべきか。俺に気付いたのは褒めたい所だが、もう一人居る事に、気付かないとはな……」


「んーん。気付いてるよ。どう反応するか気になっただけ。それとも、裏ギルドの御使いさんはそんな事も分からないのかい?」


人影は舌打ちをして、


「一週間後、会議がある。」


「了解した。卿にこれを。…………胃薬。最近胃が痛いって言ってたし。僕が作ったから効果は絶大。一日一錠な。」


「うん分かった。ありがとう。」


ノーマが取り出した紙袋。それを後ろから伸びてきた手が取る。


「じゃあ会議で会おうか、御使い兄弟さん。」


部屋の中の人影が二つ、どこかへ消えた。


ノーマは思案する。


『会議でわざわざ話す内容。十中八九、王女と王子の事だろう。デューアはちゃんと考えてるというのに……せっかちな連中め………

どう発言すべきか………別の僕が考えてくれるだろうから……ええと…

ギルドの会議もあるな。今回はランクの内容を決めるか……Sランク昇格希望が……うわ、面倒。


……他のSランク三人の推薦を取ること、今まで受けた依頼の内容……僕の承認……よし、こんなもんか。』



「失礼します、ギルド長。少々問題が起きまして………長を出せと受付嬢を脅しています……」


部屋の外から響いた声に頭を現実に引き戻されたノーマは今日も起こるギルドの揉め事を解決するのだった。

お読み頂きありがとうございます。

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