45 危ないヒト達
ヴァイヤがテュファンと戦っている時、子供達は懸命にルナを起こそうとしていた。
「ルナさん、起きて、お願いします、起きてください……」
ユテアが泣きながらルナを揺らす。
もう一人の少年はヴァイヤの戦いをじっと見つめていた。
何か力を持てるように。もう無力だと思わないように。
ヴァイヤがナイフに貫かれた。
少年はひゅっ、と声をたて、ユテアはもっと強くルナを揺すぶった。
「ルナさん……!お願いします……!起きて…!」
ルナの目が、薄く開いた。
「むぐ……う……主………これを、小僧に………」
そう言って取り出したのは真っ赤なビン。
いや、真っ赤な液体の入ったビンだった。
「飲ませろ……それで少しは………」
それを少年に渡し、ルナはまた意識を失った。
ビンを取り、振り返って走りだした少年が見たのは、力が抜け、目から光が消えていくヴァイヤだった。
「ヴァイヤさん!!」
少年がヴァイヤの元にたどり着く。
テュファンは邪魔をしなかった。
ヴァイヤの口にビンを突っ込み、赤い液体を無理やり飲ませる。
「お願、い、ヴァイヤさん。起きて。」
少年はテュファンの方を気にしながらヴァイヤの傍にいる。
「ゲホッゴホッ、うぐ…………あー、少年か。ありがとう。」
薄く目を開けたヴァイヤは眩しそうにしながらも自分を助けた少年に感謝していた。
心配そうな表情を顔に浮かべた少年だが、すぐにユテアの所へ戻ろうと歩きだした。
「あ、少年。これをアヤノに。中身は見ないで渡してくれたまえ。」
ヴァイヤは器用に紙に何か書いて、少年に渡した。少年は不思議そうな顔をたが、頷いて紙を受け取り、ユテアの所へ戻っていった。
「それで?魔族サン復活、カナ?ナイフ刺さったのに。」
「うーん……完全ではないんだけど……」
「……?口調変わった?」
「ああ、この眼を使っているからね。性格浸蝕する割に効果地味なんだよ。」
そうヴァイヤは額の眼を指して言った。
「へー?じゃあ、少しは期待出来るかなぁ?」
テュファンは地面を蹴り、ヴァイヤの方へ黒い何かを飛ばす。
栗だ。まだ剥いていないやつ。
「何で栗?って思うだろうけどさ、結構痛いんだよ?毬栗って。」
あっさりと避けるヴァイヤに向かって言う。
「それくらい分かっているさ。だから警戒しているんじゃないか。」
後ろの木に刺さった毬栗が震え始め、真っ直ぐヴァイヤに向かってくる。
それも避けたヴァイヤはテュファンの方へ体の向きを変えた。
「そーいえばさ、魔族サンの名前、ちゃんと聞いてなかったや。」
「……………」
「んー、人を殺そうとした人に名乗る名は無いってー?」
「…………」
「……つまんなぁい。魔族サン、終わらせていい?」
笑ってテュファンはナイフを出した。
先程とは比べ物にならない速度で投げる───
────しかし、ナイフは止まった。
ヴァイヤに刺さった訳でもなく、避けられて木等に当たった訳でもない。
空中で、静止していた。
テュファンは目を見開き、そしてすぐに笑った。
「あははははっ面白い!魔眼持ちだったんだ!なるほどね!!久しぶりに魔眼持ちに会ったよ!前の人は駄目だったけど、魔族サンなら大丈夫そう!!あははっ」
「…………前の人?………ふふっ、そうか。君が我が弟子の仇か。」
ナイフを止めたヴァイヤは、笑うテュファンの放った言葉に震えていた。
「あはっ そっかそっか、あの子のお師匠様だったか。運命ってば過酷だねぇ!」
「ああ、ようやく見つけた。ははっ……ファナ……私はもうすぐ、君のいる場所に行けそうだ。」
ヴァイヤは音を立て、テュファンでも見えない速度で、彼女の体を貫いた。
お読み頂きありがとうございます。
ものすごぉく遅れてすいません。
………他のユーザーさん、どうしてあんなに書けるんだろう。




