43 何も分からない僕だけど
目の前に仮面を被ったヒトがいる。
僕は座り込んでいるから見上げる形になっていて、そのヒトの行動がすぐに分かる。
冒険者の人達が身に付けていた剣というものとは少し違う、刀身が反っているモノを鞘から抜いている。
分かった。
このヒトは僕と隣にいるヒトを殺す気なんだ。
でも、その事を僕は隣のヒトに伝えることが出来なかった。
震えていたんだ。
どうやっても止まることのない震え。
ああ、これは恐怖を感じているんだ。
剣のようなモノが振り下ろされるのが遅く見えた。
その時、僕の体は倒れた。
誰かに押された。隣のヒトか。
隣のヒトは僕を押して、僕が居た場所に座り込んで笑った。
「良かった、これでアヤノさんに褒めてもらえる。」
隣のヒトはそう言っていた。
僕は隣のヒトを殺そうとしている仮面のヒトを見た。────笑っていた。
仮面で口元が見えないけど、笑っていた。
コイツは、隣のヒトが僕を庇うと分かっていて僕を狙ったのか。
目の前が熱くなった。体が叫んでいた。
これは怒りか。
手を出した。隣のヒトに振り下ろされる刃を受け止めた。
手のひらが熱かった。熱い部分から赤い液体が出てきた。
痛い。
もちろん、仮面のヒトが僕みたいな子供の小さな妨害で止まるハズもなく、僕の手ごと隣のヒトを切ろうとした。
片方の手を出した。
隣のヒトの様な華奢な女の子が僕を守ってくれたんだ。両手ぐらい、どうにでもなれ!
刃が止まった。
僕の妨害がうるさく感じたのか、僕に狙いを定めてきた。
そう、それでいい。
僕は武器も何も持っていない。
けれど身を挺してヒトを守る位はできる。
刃が僕に振り下ろされる。
さっき僕を守ってくれたヒトは仮面のヒトの後ろ。だから僕を押して庇う事は出来ない。
これでいいんだ。
こうやって時間を稼げば誰か来てくれる。
彼女が言っていたアヤノさんというヒトも、ルナさんも、来てくれる。
けれど、もう一人。
今すぐにでも来てほしかったな。
目の前に迫った刃が、もっと近づいてくる。
ぎゅっと目を閉じて少女の今後の幸せを願った。
………僕らしくもないな。
ガキィィィン─────
金属がもっと固いものに擦れるような音がした。
仮面のヒトの刃が来なかった。
僕はおそるおそる目を開けた。
するとそこには─────────
「ユテア君を守ったね。よくやった、少年。」
白髪の、綺麗な男性がいたんだ。
やっぱ短いですよね。次は比較的長めにしますんでどうか御容赦を(((^_^;)
お読み頂きありがとうございます。




