3 僕は今、跳んでいます
置き手紙の内容は省きます。
アヤノさんが「早く早く」とうるさいのです。この人を制御する人がいるなら会ってみたいですね。
………ところで、天窓から入って来たアヤノさんが常識的な行動をすると思いますか?
ええ、思いませんよね。そうですよね。
僕は今、アヤノさんに抱えられて空を飛んでいます。
「……何故僕は今、空を飛んでいるのですか?」
「んーとね。正確には違うよ?私は空の一部の空気を固定してそこを跳んでいるの。」
「………………はあ。」
規格外です。付いていける気がしません。やっぱり旅の話はなかったことにしたい……無理だけど。
「旅は無しにしたいとか思った?駄目だよ、無責任なことを「思う」のはいいけどねぇ?」
「それで自分や周りの人たちが不幸になるよ。」
「呪いは言葉にするだけで発動する物が多い。守護霊だったり自我を持つ物は別だけどね。自分が発する言葉には責任を持ちなさい。──お、着いたよ。」
アヤノさんが怖くなった。声色が変わって、空気が揺れた気がした。
アヤノさんはゆっくりと洞窟に降り立ってよく分からない原理で洞窟内を照らして火を着けた。
よく分からない原理で。
何故かテーブルやらイスやらがあった。というか家具が大体揃っていた。
あれ?ココって洞窟だよね?僕おかしくなったかな?
暫く沈黙が訪れた。
「あの、アヤノさん。さっきの話、呪いの話しをもっと詳しく、教えてください。出来れば、アヤノさんの力についても。」
ニコニコしていたアヤノさん。
そんなヒトが急に怖くなった。だから呪いの話も怖いだろうけど、聞かなくてはいけない。
「いーよ?教えてあげる。ちょっと長くなるけどね。」
お読み頂きありがとうございます。