32 ヴァイヤさん宅
「───えぇとね……?この字の発音は──で、こちらは──と出すんだ。………何故エルフ語の勉強をしているのだ……。いくらアヤノがエルフの血を引いているからといって使う機会なんてないと思うのだよねぇ……」
「ご迷惑をおかけします、ヴァイヤさん……ハハ……」
「まずだねぇユテア君、君は喋り方を統一した方がよい!後は動きが所々に穴がある。なんとかしないと外国に舐められるぞ?」
「しょ、精進致しますわ………」
全てが木で造られた部屋の中で机に突っ伏している子供二人。男児はユテアの勉強の量に付いていけずに突っ伏し、そのユテアはヴァイヤに言いくるめられて突っ伏した。
「………!さて、二人とも。鍛練の時間だよ。此れに着替えて、外においで。」
そう言ってヴァイヤは笑い、運動に最適な服───まぁジャージなのだが………ジャージを置いて出ていった。
見たこと無いジャージでも、直ぐに着替えられる事に疑問を持つが、まぁ気にしないのが子供である。
「うーん………」
「? どうかしましたか?ユテアさん。」
「いえ、どうもしないのですけれど、ヴァイヤさん、笑う前に驚いたような表情をしていた気がしまして………」
ユテアは心配そうな表情でヴァイヤが出ていった戸を見る。
「……………」
「ま、まぁ?私の勘違いという可能性もありますし?お気になさらずとも良いのですわ。」
「そうですか」
淡々と答える男児。微妙にアヤノに似てきてしまった。
着替えが終わり、外に行くと、あらビックリ。
血だらけの魔物が血だらけのヴァイヤの周りに散乱しています。
「ああ、気にしないで。私のこれは返り血のようなものだからね。ああそうだ、鍛練だ。ええと……」
疲れた様子もなく鍛練に意識を持っていく。ユテアは気付いた「コイツもやばい」。
「………まずは適性を調べよう。アヤノからは結界術に適性があると聞いたが……ノアという少女が鍛えると言っていたからね。私は武術の方を鍛えよう。そっちに色々あるから試しに持ってみてくれ。」
ヴァイヤが指を指す方を見てみるとたくさんの武器(刃は潰されている)が並んでいる。子供二人は「選べない………」という感情が思いっきり顔に出ている。
そういう時は大体こうなる。
「「…………………ヴァイヤさんのおすすめはどれですか?」」
見事にハモるのだ。
「私のおすすめかい?うむ……ユテア君は相手を殺さない方が良いだろうし、棒系かなぁ……モノによっては縮むから、隠し持つことも可能だよ。…………少年は…………アヤノの独学から学ぶといい。あれは体が小さな頃からやっていたからね。ちょうどいいよ。」
「棒系?ですか?見たところ二種類あるのですが……」
「……アヤノさ…………ねえさんのどくがく………こわそうです………ヤバそう………」
今更だが、第三者から見ると可愛いのだ。ヴァイヤがかがんでニッコリと質問に答え、クリクリとした目でそれに返す(精神年齢が)幼い少女。その横で頭を抱え、目がグルグル回っている少年。
まるで幼稚園。ヴァイヤがエプロンをしていたら普通にそれだ。
アヤノが偶然通り過ぎたら爆笑している。
「只、まぁ………そうだね……アヤノが仕事だから………今は体を丈夫にすることに専念しよう。」
「は、はい。よかったです。」
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