31 問題はっせーい
「問題?何が起きた。それに第四の庭は警備が厳重だったぞ。」
「ハッ、私も詳しくは聞けておらず、只問題が発生したとしか……」
「分かった、すぐに行く。それと、私の隣の者は気にするな。」
「は……はあ……了解致しました。それでは案内します。」
「案内はよい。城内なら把握している。それより、私より速く着き、問題解決に勤めるのだ。」
「ハッ!」
兵士……少し偉い兵が報告に来て、去って行ったのを見届けてから、デューアはアヤノに聞いた。
「……………どう思う?」
「はい、まず私が思うのは三つの可能性です。一つ目は兵の喧嘩、二つ目は訓練での誤射等のミス、三つ目、これは考えたくないですが……罠という可能性もあります。どういたしますか?」
「行く。」
「承知しました。」
あくまでも淡々と話す二人。その間に私情は無く、他から見れば上司と部下の関係だけが見える。
二人は部屋から出て早歩きで廊下を抜ける。その足取りに迷いは無い。当たり前である。二人は城を知り尽くしているのだから。
そして第四の庭と呼ばれる場所へ出た。そこは兵の訓練場であり、問題は見当たらない。
兵がきっちりと揃い、入り口───二人が居る方向へ銃口を向けている以外は。
「「……………………」」
「王よ!!貴方には呆れた!!公務を投げ、冒険者を重宝し過ぎ、果ては女に入れ込んだ!!その振る舞いは王とは思えぬ!!よって!我ら正義が!お前の首を落としてくれよう!!」
「………我らの王に何たる無礼。それに加えそのおかしな情報はどこから出た?お前らが正義だとして、民はどう思うかな?」
アヤノはノリノリだ。
「グッ………き、貴様は誰だ!!我ら正義の前に立ちはだかり!その愚物を王と呼ぶ!!民はどう思うかだと!!?我らを正義と称えてくれるだろう!!」
「ほお。安定しているこの国を、反乱を興して滅茶苦茶にする。そんなものを称えるなんて、民はしないだろう。それに情報が割かれている。」
アヤノは更に淡々と告げる。
「公務を投げた?書類ばかりでは分からない街の現状を王自ら視察に行ったのだが?冒険者を重宝し過ぎ?重宝して何が悪い。王国を命を懸けて魔物から守ってくれている者を重宝して何が悪い?女に入れ込んだ?それ程お前達の目が節穴なことはない。第一王子の穴を埋める逸材を探していたのだ。なのにそれをお前らは………」
この間、一息である。呆れたように言うアヤノとドンドン追い詰められていく兵士達。そのリーダーは顔が真っ赤である。
「うるさい!うるさいうるさい!何が悪い!!そこのが勘違いされるような行動をとるのが悪いのだ!!私は……」
「ハイハイハイ、すぐに怒る。すぐに人のせいにする。それに勘違いって認めたし。バカだよね。時間稼ぎは終わったからもういいか。」
「…………は?」
いつの間にかアヤノの後ろには黒い格好をした者達がいた。デザインはアヤノの格好に似ており、きちんとした部隊を思わされる。
「……………いつの間に暗影は制服になった?」
アヤノは後ろをチラッと見てから間を開けて言った。その反応に後ろの隊員達は少し笑い、先頭のアリスが答え、服を見せた。
「一昨日かそれくらいに出来上がりました。筆頭の分もありますよ?着ます?」
「………………………………着る。」
ずっと考えてアヤノが放った言葉に隊員達は嬉しそうな表情を浮かべた。そして指をパチンと鳴らし、着るアヤノは心なしか嬉しそうで、デューアも微笑ましそうに見ている。
「……………………なにを見ている。仕事だ。さっさと動け。減給にするぞ。」
黒モードに入ったアヤノに焦る隊員達。それに加え「減給」が入ったのだから動くしかない。
しかし、焦っているはずのその動きは止まり、指示を待っているかのようだ。
「……!…………仕事だ………。この私に楯突くものを捕らえよ………。決して……殺すな……!」
デューアはその指示を待つ動きに気付き、悔しそうに指示を放った。
その表情は辛そうで、悲しそうで────デューアの心を表していた。
お読み頂きありがとうございます。
ちょっといつもと違った気がします。
評価お願いします。




